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映画の完成披露試写会の正しい楽しみ方

唐突ですが、carouselは皆、スクールゾーンの大ファンです。
特に好きなシリーズの一つに「映画の完成披露試写会ネタ」があります。


これは山田孝之さんと真木よう子さんかな。

こちらは、話題の若葉竜也さんかな。


これはちょっと人間が丸くなってきた30代後半あたりのオダジョーさんかな


結構、今は動画で完成試写会の模様が見られるので、気になる映画とか
好きな俳優の動画をチェックするのですが、思うのは

「完成試写会で役者が話すエピソードは驚くほど毒にも薬にもならない
 事ばかり!」

です。それを見事にスクールゾーンはネタとして結晶化しているという訳です(最初の動画の毒にも薬にもならなさの秀逸さたるや!)

「毒にも薬にもならない」という事は乱暴に斬って捨てると「つまらねえ」
という事です。
「生で喋っている姿を見られれば幸せ!」という役者の推しの方以外に
通用しないのですが
しかし、この考えは間違っていた!と反省しきりのcarouselで
ございます。

反省の一つは「これはおもしろハラスメントの視点で見ていた」
です。

俳優稼業は良い芝居をするのが仕事なのであって
面白い話を短い時間でする事は彼らの本業ではないのです。
しかし人前に出る仕事である以上、それをするのが義務であるという
不思議な刷り込みが我々にはあります。
これは多分、90~00年代のTVバラエティ番組の影響があると思います。
芸人さんやタレントさんのような面白トークが本業に含まれる人
以外(文化人、ミュージシャン、俳優、素人、等々)が
さんまさんやDTにいじられて面白いエピソードを披露し
テロップで話の面白さを強化する演出を取られ、それが
人前で話す時のスタンダードだと思われちゃった奴です。

「オチはないのか?」「そのネタはフリになっているのか?」
「2分で終わるエピソードなのか」「言い方、話し方はそれでいいのか」
みたいな芸人さんが気にする事を一般の人々も気にするようになって
しまった。
いわゆる「おもしろハラスメント(話に必ずオチや面白さを求められる)」
が根幹にあったと反省しています。
最近、若葉竜也さんがドラマの番宣でTVの生放送に出演しSNS上で火あぶりの刑になってしまったそうですが、彼の本業は芝居する事で笑顔で面白トークする事ではないのです。
この辺り、昔、オダジョーさんが番宣バラエティの出演拒否をして
叩かれていたテレビ至上主義の名残りがあるような気がします。

そしてもう一つ反省点として
「自分は映画の完成披露試写会の正しい楽しみ方を知らなかった」
です。

よく考えたら去年、人生で
初めて映画の完成披露試写会を拝見しました。
(正しくは「映画祭で出演者の登壇トークを生まれて初めて見た」
ですが)

↓その模様はこちら

それで「あ、こういう事か、毒にも薬にもならないトークでもいいんだ!」
とヘレンケラーの「ウォーター!」並みの気づきを得たのであります。

そもそもデビュー作としては鮮烈すぎる
「ケンとカズ」を撮った小路紘史監督の第二作「辰巳」は
どんな出来であったか?を動機に見に行ったら、ラッキーな事に
上映後に出演者と監督による登壇トークが付いていて
今まで動画で見ていたものを初めて生で拝見する事が出来ました。
(↑の記事にその模様の動画も貼ってあります)

で、出演者が出てきた時「うえええ!?」と思わず声を出してしまい
ました。
まずうざい悪党「竜二」を演じた倉本朋幸さんがめっちゃニコニコ
してて「こんな人なの?てか本当にこの人が演じてたの?」とびっくりし、
荒くれ狂犬みたいに吠えまくる「葵」を演じる森田想ちゃんのデニムファッションのキュートさに「めっちゃ綺麗なお姉さんになっとる!」とびっくりし、遠藤雄弥さんは「うおーやっぱ華とオーラがある!ジャケットがディオールオムに見える」と思い、後藤剛範さんは質量を感じさせる躰つきで
「ああ大抵の役者なら着られてしまう石岡瑛子が作った衣装を余裕で着こなしてしまいそう」と思い
とにかく生身の姿に釘付けで、彼らが何を喋ったのか覚えてないくらいです。

つまり映画が長いフリになっていて、出演者は
登場するだけで(役が抜けて
別人となった姿を晒すだけで)オチとなっている。
(まさに出オチ)

完成披露試写会における役者の挨拶って、なくても
ただそこにいるだけで成立するんだな(その場にいる観客にとって)
と腹落ちした次第です。

それを楽しめるのはやはりその会場まで脚を運んだ人の特権で
あり、次に映画を見た人の特権であると思います。

なので「動画で見る完成披露試写会で役者の話すエピソードは
毒にも薬にもならない」
と思ったのは
フリを飛ばしてオチだけ見て「たいした意味ねえわ、つまらねえわ」
とイチャモンを言う行為に近いんだな、と反省いたしました。

という事で、役者はドラマや映画の番宣にその体を晒していてくれる
だけでありがたいのです。
「つまらねえ!」だの「愛想悪い」
だのヤクザや総会屋みたいな言いがかりをつけず
ひとまずフリである本編を見てから
役柄と本人のギャップを楽しみましょう。

という事で関係者でも回し者でもありませんが
日本映画の最後の砦「辰巳」を劇場まで
見に行く事をお勧めいたします。
(その後、登壇トーク動画見るとめちゃくちゃ面白いです)


(こちらはmacotyさんが出版に向けて、ただいま推敲中であります)

(こちらはただいま連載に向けて推敲中であります)


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