古着でワクチンが楽ちん

母は90歳パーキンソン病ヤールⅣ、要介護5で、
特別養護老人ホームに入居している。

国語国文学者で、万葉集を専門としていたようだ。
わりと有名な国語学者の大野晋の弟子ってところだ。

音声学は第一人者の服部四郎に師事したようだ。
服部先生の紹介で、奄美大島の方言辞典の編纂をし、
その後は沖縄の方言調査に関わった。

大学の講師をしていた。
それで、ヨソイキの服がたくさん有る。
山ほど有る。

押し入れの中には、いくつもの衣装ケースが有り、
開けても開けても母のお衣装が詰まっているので驚く。

洋箪笥の中もスーツやコートがたくさん掛かっている。
あ、そうだ、
この洋箪笥は、師匠である大野晋先生が結婚祝いに買ってくれたものだそうだ。
「無垢材かと思ったらベニヤだった。
案外、安物だったみたい。
先生も若かったし、あまり良い物は買えなかったんでしょ」などと
なんだか無礼な感じのことを母は言っていたっけ。

パーキンソン病で、身体の動きが悪い。
動かないと認知症も進む。
着心地のゆったりとした服を好む性質が強まってきている。
着替えも困難だ。
もう、ヨソイキの服を着ることは無いだろう。

というわけで、片付けをする。

母が特別養護老人ホームに入居して3年半以上が経つので、
遅まきと言っていいくらいだ。
片付けるぞ。

いや、片付けたい片付けたいとずっと思っていたが、
ただ捨てるのももったいない気がして、どうしたもんか
と思ううちに、
他のこと(大量の蔵書の処分など)を優先して、
今になってしまったのだ。

同級生Yが教えてくれた。
「Tが教えてくれたんだけど、TもUから教わったんだって。
ネットから申し込みすると、古着を送るためのキットが送られてくるんだって。
送料なんかの費用で、3000円。
古着を売りに行くとか言ってて溜め込むくらいなら、これがいいよね。」

発展途上国の雇用とワクチン購入につながると言う。

服をただ捨てるのはもったいない。
という悶々とした気持ちから解放される。パアアアアア。キラキラキラキラ

薄ぺたい段ボールの箱が届く。
中には、折り畳まれた紙袋が入っている。
開いてみると、布団袋くらいでっかい、丈夫な紙袋なのだ。

この袋に、服をばんばん詰め込んでいく。
靴やバッグもOKだ。
室内履きやスリッパもOK。ありがたい。

綿入れの半纏なんかも有る。
浴衣や帯も出てくる。

あっという間に袋は一杯になった。
なんとか掴んで持ち上げて、体重計に乗ってみる。
荷物は22㎏くらい有った。

キットと同時に届いたメールに、
集荷依頼のためのリンクが貼ってある。便利。
飛んでみると、自分の名前や住所は入力済のフォームが表示される。便利。
あとは日時指定するだけ。便利。

至れり尽くせりだなあ。

調べてみると、同様の手法で寄付を募っている団体は複数有る。
食器などもOKという所も有る。
宅配での集荷だけでなく、持ち込みOKの所も見付かる。

食器は荷造りが面倒だから、持ち込みOKの所に行こうかな。

どんどん片付けて、生活を新しくしていくのだ。

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