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2023年の振り返りだけではわからない、自分の中で印象に残ったゲームSwitch編

毎年恒例の企画が始まった。

各ハードメーカーが、ゲームのプレイ時間や実績をデータ化して、今年1年遊んだゲームを振り返ろうという企画である。

ちょうどいい機会なので乗っかるつもりだが、これはあくまでも「長時間プレイした」ゲームが中心である。短時間で遊ぶアドベンチャーや、数分でも心に刺さり続けるような尖ったゲームはデータとして出てこない。仕方がないことだが、長時間遊べるRPGや対戦型のゲームなどが有利だ。

だが、しかし。長く遊んだゲームだけが心に残るわけじゃない。

短いゲームだって、心に残るものがある。
別に出来が良い必要だってない。
心に引っ掛かるゲームは、数字に表れないものだってあるだろう。

だから、今回は俺のデータの「振り返り」を見つつ、振り返りだけではわからない2023年のゲームの想い出を語らせていただくことにした。

Switchで長く遊んだのは『ゼルダ』だが……?

まずは、Nintendo Switchの振り返りから見ていこう。総プレイ時間は660時間だ。俺は、今年ものすごく落ち込んでいたので、ゲームを全然遊んでいなかった。……そんな書き出しから始めようと思ったのだが、660時間は十分である。どうやら、思ったよりも長い時間Switchを遊んでいたようだ。

660時間は、それまでの年の半分

最初に遊んだのは『XCOM2』である。確かに買ったしプレイもしたことはした。そのはずなのに、今の今まで完全に忘れていたのである。ものすごく安い値段のセールで買ったことすら覚えていなかった。記憶があいまいだ。

わすれていました

今年最初に遊んだソフトすら覚えてないので、もっともあそんだソフトの予想もはずれていた。記憶力がおじいちゃんである。『ゼルダの伝説』はともかく、ハマりにハマってずっと遊んでいたはずの『ドラゴンクエストビルダーズ2』すら忘れていた。楽しかったという記憶すら忘れてしまうなら、自分はなぜ、ゲームを遊んでいたのだろうか。少し考えてしまう事態だ。

それはともかく『ゼルダの伝説』は確かに名作であったし、未だに『ドラゴンクエストビルダーズ』も語り草になるほど面白い。
ではあるが、俺が推したいのはこの3本ではない。
誰もが遊んでいるし、いまさら俺ごときが語るものではない。

この3本の次に長時間遊んだ『ゼノブレイド』は、それまで積んでいたのを後悔するくらいには面白かったし、『スーパーマリオブラザーズワンダー』だって良かった。ただ、データだけでは浮かんでこないものが想い出だ。

記録とは無関係に、俺の心にもっとも残っている作品を上げるとしたら『真夜中のかんしょく』になってしまう。俺の記憶に鮮烈に残っている。

『真夜中のかんしょく』は、おじさんたちの毛を食べる妖精を操作して、リズミカルに毛を抜いていくリズムゲームだ。かわいい、キュートな絵面のリズムゲームが多いこの世の中で、唯一無二と言っていい汚い絵面のリズムゲームという個性を獲得している。おそらく、真似されることがない個性だ。

真似しなくて良い。

デフォルメしてちょっぴり汚い世界観をうたっているが、デフォルメしようがおじさんの肌なので、絵面としてはとても汚い。ショップ店員もゴキブリだし、汚さだけで敬遠されてしまいそうなゲームなのだが、中身は割と真面目に作られたリズムゲームだ。ミニゲームなどもしっかりある。

イボとか毛とか、いくらデフォルメしてもきたない

むしろ、裸のおじさんの毛を抜くという汚すぎる絵面以外は、なかなか良く出来たリズムゲームだ。汚すぎることが明確なマイナスであり、汚すぎることが個性でもあり作品のベースでもある。正直、話題にはしにくい。

『ツクールシリーズ Angel's Gear』のような尖りに尖ったメトロイドヴァニアもある。ドットの雰囲気も好きだし、クセだらけの作風も良い。最近はアクションゲームツクール作品にも個性的なものが増えて良い傾向である。

短めで、パッと遊んだだけで過ぎ去っていったゲームも確かに多い。けれども、それは2023年のなかで確かに遊んできたものだ。振り返りで残るのは長時間遊べるゲームなので、どうしてもRPGや長く遊ぶアクションアドベンチャーが引っ掛かかってしまう。だが、それだけでは語れないものもある。

140円で買える『Tough Law』は、段ボールで出来たキャラクターが戦うベルトスクロールアクションだ。倒れたときに裏側が見えるのもいい。適当にボタンを押してるだけでコンボになるし、極論を言うとジャンプキックの繰り返しで勝ててしまうのだが、このアイデアに140円は確実に払える。

開発者によると、最初はすべて本物の段ボールで作っていたようだが途中から3Dで作っているらしい。荒々しいがアイデアの源流が感じられた。

新作のシューティングも、Next Fesのデモを遊んだユーザーから視点がわかりづらいといった意見が出ている。だが、荒々しさはあれど、独自のものを作ろうとしているのが感じられた。

短めの良質なアドベンチャーも数多く遊んだが、やはり振り返りの記録としては残らない。『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズの第2シーズン以降の初移植によって、当時よりも第2シーズンの評価は自分のなかで上がっている。あらためて読み直すと、第1シーズンまでのライターとは違う(第1シーズンは、パラノマサイトの石山貴也氏)なりの工夫が感じられた。

配信当時、都内の小学校でうさぎの殺害が連続したというニュースがモチーフと思われる

1本が1時間程度で終わるという『和階堂真の事件簿』も、4本セットとはいえ10時間かからない。それ故に振り返りのデータとしては残らないが、推理ゲームが好きな人なら間違いなく楽しめるゲームだ。どの話にも、しっかりと理屈付けとギミックが仕込まれているので、飽きずに最後まで読める。

自分は1話をクリアした時点で、このゲームをずっとメタ読みしてしまったのだが、そうしたメタ読みをしても変にはずさず「やっぱり、こういう仕掛けを持ってきたか」と納得させてくれる、良く出来たミステリーであった。

こうした短くても印象に残るゲームを遊び、楽しかったという記憶は大きな記録だと残りにくい。最近は、誰かに語るほどの気力がないので心のなかに留めがちだが、出力することで記録に残すことも忘れないためには必要なのかもしれない。ちなみに、時期的に記録としても出てこないのだが、12月にSwitchで1番遊んでいたのは初代『戦場のヴァルキュリア』だったりする。

もともと、自分の仕事場での評価が高かった。辛口で有名な先輩が絶賛していて、暇さえあればSランクを狙って再プレイしていた作品だったので、自分もいつかやろうと出るたびに全シリーズを買ってはいるものの、いろいろあって積んでいた。正確には『戦場のヴァルキュリア2』と『蒼き革命のヴァルキュリア』を途中まで遊んで放置していた。そろそろもう1度向き合うべきだと思ったので、せっかくだから初代からやり直してみようとSwitch版を買って立ち上げたところ、すごくハマって今に至る。

この世のすべてのゲームを追うことはできないので、古いゲームにもどうしてもやり残したゲームは存在する。シリーズとして気になっていても、とくに理由がないまま遊ばないものもある。古い作品をリマスターや移植で現代に残し、今の時代でもずっと遊べるようにしておくことは重要だ。自分のように遊び時を逃した人間が触れて、もう1度再評価するかもしれない。来年は、これまで積んでいたゲームを中心に遊んでいこうかと思っている。

PSとXboxの振り返りは、また書きたくなったら書くことにしよう。


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