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「誰の、何の問題を解決するか」サプライチェーン全体から“できること”を探求する | フードシェアリングサービス「TABETE」川越一磨さん

サステナビリティを継続的に学ぶラーニングコミュニティ「Sustainability College」。

月に2回の授業のうち、1回は多種多様なフィールドで活躍されているゲストをお招きした「講師回」、そして2回目は生徒同士の交流や知恵を交換し合う「ゼミ回」を行っています!

「#サスカレ授業参観」マガジンでは、講師回のダイジェストをお届け!講師による45分間の講義とそれを受けた生徒たちからとめどなくあふれる質問…。「Sustainability College」が普段どんなふうに学びを高めているのか、その様子をレポートしていきます!

現在は受講生を募集しておりませんが、2022年6月頃を目処に6期生の募集を行う予定です。受講を希望する方には事務局よりご案内をいたしますので、下記HPの「メール登録」フォームに連絡先の登録をお願いいたします。

川越一磨(かわごえかずま)
東京生まれ。慶應SFC卒。料理人修行、大手飲食企業でホール勤務を経て、山梨県に移住。株式会社コークッキングを起業、料理を使ったワークショップ等を展開。その後スローフード活動にも参画、一般社団法人日本スローフード協会理事就任。食の未来をつくるべく、フードシェアサービス「TABETE」の事業化に取り組む。

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2022年4月、今回から5期生を迎えパワーアップしたサスカレの講師回へお越しいただいたのは、「TABETE」の川越一磨さん。フードシェアリングサービス「TABETE」は、飲食店がその日に余ってしまいそうな食品を出品し、ユーザーが買い取ること(アプリでは「レスキュー」と呼ばれています)でフードロスを削減するマッチングサービスです。

サスカレ生の中にも、当日までに「レスキュー」してきた生徒もちらほら。生活者が楽しく、そしてお得にフードロス削減に貢献できます。

日本では1人、1日1.5個分のおにぎりに匹敵する量を廃棄していると言われる「フードロス」。この問題は、生産から流通、販売、消費など、食のサプライチェーン全体のあらゆる段階で発生しています。「誰の、何のフードロスを解決するのか」を突き詰めないと、自分ができることが見つからない。それほど複雑な問題であると川越さんは言います。

Q1.「TABETE」は、その中で飲食店や消費者向けのサービスになりますが、サプライチェーン全体で見た時にいろいろなアプローチがあるなか、川越さんがなぜその部分を選択したのか、教えてほしいです!

僕は飲食出身なので、最初はその経験を生かして自分ができることを探していました。しかし、食品ロスへの僕なりの解釈を磨き続けた今は、「顧客との接点」にフォーカスしたいという想いが明確になっています。一般の方と飲食店をつなぐ「BtoBtoC」のようなものをやっていきたいです。

よく「TABETE」の仕組みを使って「toB」サービスをやったほうが儲かるんじゃないの?と言われることがあるんですが、僕としてはあまり興味がないんですよね(笑)。食品ロスが捌ければ何でもいいわけではなくて。いかに、サービスを通じて一生活者に小さな一歩を踏み出させるか。そういう小さな積み重ねが社会運動の本質だと思っていますし、僕としてはそこに力を注ぎ続けたいと思っています。

Q2.最初は「お得だから」という理由で使い始めたユーザーさんも、使っていくうちに意識が変わってくることが「TABETE」の社会的インパクトとして大きな部分なのではないかなと想像しています。ユーザーの意識変化として、何か受けている声があればお聞かせください!

最近は、「レスキューしたよ!」ってSNSで呟いてくれるユーザーさんがかなり増えてきました。そういう方々が家でのロス削減、例えば「冷蔵庫を見てから買い出しに行くようになった」という声を聞きます。

事業者さん側だと、「TABETE」でロス削減をしていたけど、そもそもロスが出ないような仕組みに変えたので「TABETE」を卒業しますという方もいらっしゃいました。困ったときに使ってもらえればいいと思っているので、そのニュースはすごく嬉しかったですね。

Q3.アプリという手軽なサービスを使った啓蒙活動として、何か意識されていることはありますか?

サービス自体が啓蒙ツールになることが一番理想だと僕たちは思っていて。なので、今のプロダクトが完成形だとは全く思っていないですし、今後も磨き込みをしていく必要があると思っています。

何か生活者向けの啓蒙サービスを始めるときに大切なのが、アプリのような誰でも入りやすく、生活者を巻き込める仕組みを作ること。ただ、そこには生活者にとって経済的なメリットが不可欠なのが現状です。「お得だから」というメリットで入ってきた人たちも、「TABETE」を使い続けることによって、少しずつ価値観が変わっていくサービスになれるように、終わりない改善を続けていきます。

今回のように、講演活動も続けてはいきますが、それはそこにいる人たちにしか伝わらないので。アプリは僕がいないところでも、勝手に啓蒙してくれる。それがITのメリットだと思っています。

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「Sustainability College」の講師回では、毎回講師からの宿題が出されます。今回は、こちら!ぜひこの記事を読んでくださったあなたも、考えてみてくださいね!

また、現在「TABETE」では法人営業メンバーを募集中。ITとビジネスの力を使った社会ムーブメントを推し進めるお仕事です!

生徒からの感想まとめ from #サスカレ

【おまけ】今月のサスカレニュース

サスカレの受講生や学級委員長の最近の取り組みなど、ちょっとしたニュースを毎月お届け!

・インクルーシブファッションブランド「SOLIT!」世界最高峰のデザインアワード「A’ Design Award & Competition」ソーシャルデザイン部門にてブロンズを受賞

・ビール職人の髙羽開さんコラム「自分の立場でできることを。環境問題への楽しい向き合い方」

・TSUMUGIはしかよこさんコラム「肉じゃがが教えてくれた、水に関するビックリした話」

執筆:佐藤 伶

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