アクセルとブレーキ、車と人。私は今スーパーカブが欲しい。
7年くらい前に普通自動車の運転免許を取るために教習所に通っていた。
そこそこ思い入れがあるのでFacebookの学歴の欄にもこの自動車学校の名前を刻んでいる。
そこで教官のおっちゃんと程よく仲良くなりクラウンコンフォート(MT)でドライブしていた。
コンフォート以外の車にも乗るという路上教習では、
15分区切りくらいでグループで順番に路上に出るという内容だった。
グループは3人
俺(22歳 委託社員 MTコース 原付免許は持っているカブに乗っている)
女子(大学生くらい AT限定コース)
男子 田中くん(仮名 今回の主役:学生・・・か? AT限定コース)
女子の方は普通だったけど、男子の方は見た目からして「仲間だ!」と思う程度にはわかりやすい陰キャ系で教習が始まる前からそわそわしてる。
普段の教習車とは違うセルシオでドライブ。
ハンドブレーキが手で引くタイプではなく足で押すタイプというのを教官から教わる。
「そういうのもあるのか」と感心してると一人目は田中くんと教官に指名される。
教習所から実際の道路に出る役である。結構重いミッションを課せられた田中くんのそわそわ度はあがる。
田中くんが運転席に乗り込み、僕と女子は後部座席へ。
左右確認!シート確認!ミラー確認!
いざエンジンオン!アクセルオン! おい!ハンドブレーキ!!!
大きく揺れる車内!助手席ブレーキを踏む教官!
教官「サイドブレーキは!?」
田中くん「え!?あっ(シフト横のサイドブレーキのレバーを探す仕草)」
教官「足元にあるって言ったよね!?」
田中くん「え、、、、これクラッチ?」
教官「サイドブレーキって教えただろ!」
※なんでAT限定なのにクラッチは知ってんだ?と思ったら、後々教官から田中くんはMT操作が全くできずAT限定コースに変えていたらしいと聞く。
出鼻をくじいた田中くんの緊張はマックスになり地獄一歩手前へのドライブが始まる。
教習所の前の道路は交通量の割に細い2車線かつ教習所側が坂道になっているので緊張ポイントである。
かなり時間をかけてガッツで道路に出る田中くん、だがすぐ前の信号は青だがプチ渋滞で前の車は止まっている。
信号は確認しても前の車が止まっていることに気づかない田中くん。
教官「前の車止まってるよ、ブレーキ踏んで。」
田中くん「え!?」
アクセルをベタ踏む田中くん唸りをあげるセルシオ!
再び助手席ブレーキを踏む教官!
教官「なにやってんの!?免許取れても死ぬよ!?ていうか僕たちが死ぬところだったよ!」
女子「ぅぉぉぉ・・・」と小声で唸る。
半年前に原付乗ってたら車に轢かれたことがある俺あの日を思い出す。
ちなみにこの教官は僕の担任(そういうシステムだった)だったので普段からドライブしてるけどそんな怒ったりしないです。
教官「危ないな・・・次のコンビニのところで路肩に止めて、交代!」
本来15分ほど乗るのを5分程度で切り上げられる田中くん。
女子と交代!つつがなく進む。俺と交代!信号待ち中に隣の車線で止まるおっさんに怒鳴られる!
2限目はエスティマでドライブ、最初の運転は俺、セルシオと違って目線が高くなって怖い。
教官と「86がほしい」という世間話をしながら終える。
女子と交代、教官ハンドルの持ち方を注意するも短めに終わらせる。
教官「さっき田中くん短かったから長めにね」
と田中君と交代。
左右確認!シート確認!ミラー確認!
いざエンジンオン!アクセルオン! だから!ハンドブレーキ!!!
公道で大きく揺れるエスティマ!
助手席ブレーキを踏む教官!!
教官「ハンドブレーキは!?!?」
田中くん「足元になかったから・・・」
教官「これは手でやるんだよ!ハンドブレーキ無いわけないだろ!」
再び走る出すエスティマはガードレールギリギリを走ったり、信号を見落としたりしたもののなんとか学校に戻る。
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後日卒検で田中くんと再会、学校内のS字クランクで脱輪していた。
車というより人である。
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