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水道水は安全で飲めます。脱プラスチックと環境問題の視点からミネラルウォーター生活を再考してみませんか。

ペットボトルの水と水道水は価格も約2000倍違います。世界ではまだ22億人の人がきれいな飲料水を確保できていません。その人たちが水を手に入れるよりも多くのコストや資源を使って、ペットボトル入りのミネラルウォーターを飲む贅沢をしていいのでしょうか。そして、ペットボトルが環境中で分解するには少なくとも450年かかります。

いつの間にかミネラルウォーター

ミネラルウォーターは私たちの飲料用の水という概念をすっかり変えてしまっています。何百億というペットボトル入りのミネラルウォーターが清涼飲料や水道水と比べると髪や肌、健康に良くて、安全で美味しいと宣伝されて売られています。消費者は水筒を持ち歩かずにいつでもどこでも水が欲しい時にすぐペットボトルで水を手に入るべきだという考え方はいつの間にか広く受け入れられています。

清涼飲料水(販売されているソフトドリンクのこと)の中でのミネラルウォーターの地位は年々上がってきており、現在ではコーヒーを抜いて第二位となっています。

ミネラルウォーターとは?

ミネラルウォーター類は、水の成分と人工的な処理の程度によって4つに分類されます。

(1)ナチュラルウォーター
ナチュラルウォーターは、特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理が施されていない水です。ミネラル成分が含有されていない場合もあります。

(2)ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターはナチュラルウォーターのうち、ミネラル成分が溶け込んでいるものです。ナチュラルミネラルウォーターのミネラル成分は、地中の鉱物など自然由来のものに限られます。いわゆる「天然水」に当てはまるのはナチュラルウォーター(ナチュラルミネラルウォーター)だけです。

(3)ミネラルウォーター
天然水のミネラル成分を人工的に調整した水、または何種類かのナチュラルミネラルウォーターを混合したものです。沈殿、ろ過のほかにも、オゾン殺菌や紫外線殺菌、水への空気の混入などの調整が行われる場合があります。

(4)ボトルドウォーター
蒸留水・河川の表層水など、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外で飲むことができる水の総称です。

↓具体的にどのブランドがどの種類かは以下のサイトにあります。https://my-best.com/127

日本で売られているミネラルウォーターが上記のどれに当たるかというとほとんどがナチュラルミネラルウォーターになります。きれいで美味しそうな気がしますよね。でもちょっと考えてみてください。地球の裏側の山奥の水源にて石油で作ったボトルに詰められて、石油を燃やして持ってこられた水です。自重(自分の重さのこと)であなたの蛇口まで流れてくる水道水はどちらが環境に優しいでしょうか。

ミネラルウォーターの問題

以前「ペットボトルと環境問題について原因から対策までを分かりやすく解説」で書きましたが、ペットボトルの水を生産するには水道水の2000倍エネルギーが必要で、ペットボトルに1/4の石油を満たせばそれがその容器の生産に使った石油の量と等しくなります。ペットボトルの水と水道水は価格も約2000倍違います。

とある会社が「1L for 10L」というプログラムをしていました。1Lのミネラルウォーターを買うと、発展途上国の人が生活に必要な水を10L作る支援をするというものです。具体的には井戸を設置する等をしていたようです。

冷静に考えれば分かると思いますが、生活に必要な水10L作るのに必要なコストとエネルギーをはるかに上回るコストとエネルギーがペットボトル入りのミネラルウォーター1Lには投入されているということです。想像してください、地球にはまだ飢えで苦しむ人がたくさんいるのに我々はたくさんの食品を廃棄して生きています。水が無くて安全な飲み水にも事欠く人がいるのに、その人たちが水を手に入れるよりも多くのコストや資源を使って、ペットボトル入りのミネラルウォーターを飲む贅沢をしていいのでしょうか。

世界ではまだ22億人の人がきれいな飲料水を確保できていません。ボトル入りの飲料が唯一の飲み水の選択肢である地域もあります。日本国内にいればいつでもどこでも安全な水道水が手に入ります。ボトル入り飲料はきれいな水が飲めない人たちに譲ってあげるべきなのではないでしょうか。

また、使い捨てられたペットボトルはごみとなり一部は環境に流出します。ペットボトルが環境中で分解するには少なくとも450年かかると言われており、世界中の海でペットボトルゴミが観察されています。「海洋プラスチック汚染となるプラスチックごみはどこから来る?」で書いた通り、日本の漂着ゴミの個数第一位はペットボトルです。海にプラスチックが流れ着くとどのようなことが起きるかは「脱プラスチックで一番初めに知って欲しいこと「プラスチックが海に流れつくとどうなるか」」で書いた通りです。

水道水は安全に飲めます

水道水の消毒

水道水最大の特徴は塩素です。水道水は川や湖から水を引いていますが、これらには微生物がいる可能性があり、塩素で消毒することでこれらの微生物を殺しています。ミネラルウォーターも色々な水源からボトル詰めされてますが、微生物の可能性があるので消毒しています。ただし、ろ過や加熱で塩素の添加はしていません。

どうして水道水に匂いが分かる塩素が残っているかと言うと、消毒の効果を持続させるためです。ろ過、加熱、オゾン、紫外線などの他の消毒剤の作用は全て一時的なものです。しかし、塩素消毒は残留塩素が蛇口まで水道水を清浄で微生物的に安全な状態を保ってくれます。水道水は飲み水だけでなく、風呂、洗濯、掃除などに使われて、水道水の洗浄度は感染症予防を始めとした公衆衛生の根幹にかかわるので残留塩素で消毒効果が持続する塩素が使われています。水道水がきれいでない国では細菌による死亡事故や、パンデミックがたびたび起きています。

逆にミネラルウォーターは塩素臭はしないですが、残留塩素のように消毒効果を保つ素材が入っていないので開封したら早めに飲む必要があります。

塩素の安全性

もちろん残留している濃度が濃ければ害がある可能性はありますが、水道水の塩素は濃度が基準以下になっていますので安全です。

トリハロメタンと安全性

塩素はそれ自体だけでなく、有機物質と反応してトリハロメタンという発がん物質を作り出すことが知られています。そして、この物質は塩素に由来して水道水に含まれていることが知られています。

しかし、浄水場を出るときのトリハロメタンの量は安全な量に抑えられてますし、我々の蛇口から出る水もモニタリングされてて安全であることが確認されてます。

また、何がリスクととらえるかにもよると思います。先にも書いたように水道水は飲み水だけではなく入浴、掃除、洗濯等に広く使われます。残留塩素がない水では細菌や感染症で死亡するのリスクがトリハロメタンのがんのリスクを上回ると専門家たちが計算してますので、あえて残留塩素が入っています。

ただし、トリハロメタンが気になる方は次の除去方法があります。

塩素やトリハロメタンを除去する方法

水道水はそのままでも安全ですが、塩素の匂いや、トリハロメタンのリスクが気になる方は以下の方法で除去できます。ただし、残留塩素がなくなった水道水は腐りやすいので冷蔵するか早めに飲む必要があります。

1.浄水器や活性炭に吸着させる

塩素やトリハロメタンは浄水器や活性炭を通すと吸着されます。

2.煮沸する

塩素やトリハロメタンは水よりも揮発性が高いです。料理に酒を入れても少し煮れば飛ぶように、塩素やトリハロメタンも煮れば水よりも先に飛んでいきます。10分程度煮沸すればほぼ完全に取り除けることが知られています。

まとめ

いつの間にか水を飲む方法として当たり前になったミネラルウォーター。しかし、水道水と比較すると多量のエネルギーが消費されて、プラスチックごみを出します。水道水は残留塩素によって蛇口まで水が清浄に保たれ、日本を清潔で感染症の少ない国にしています。塩素やそれに由来するトリハロメタン(発がん性物質)は濃度が低いので飲んでも健康に害はありませんし、トリハロメタンのリスクよりも残留塩素が無い場合の細菌や感染症の方が死亡のリスクが高いです。残留塩素やトリハロメタンが気になる方は浄水器、活性炭、煮沸等で取り除くことができます。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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