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読書感想文『伊豆の踊子』

初めて読んだ「川端康成」の作品。
ノーベル文学賞を日本人で初めて受賞し、言葉紡ぎが美しいと言われているが、読むきっかけが今まで無かった。
Sくんという友人に、勧められ、読んでみる事になった。


「伊豆の踊子」

舞台は大正初期、旅をする青年と旅芸人の踊り子の話。
時代が古すぎるのか、情景を想像するもなかなか掴みどころが無く、薄ぼんやりと霧がかかる世界を眺めているような感じだった。
途中まで読んで中々読みにくいなと感じていた。
文章も難しくなく読みやすいのに何故だろう?
あまり深い感想は無いままに読み終えてしまう。

あれ?もう終わり?

これが最初の感想。
短いな?と思ってページを確認すると40ページ程しかない。
文学ってこんな感じか。とも思う。
大した事の無い話を、美しい文章で纏める。
ストーリーは要らない、このシーンだけを切り取りたい。
まさにそんな感じだった。

あまりにも感想が無さすぎてもう一度パラパラと振り返り読む。
2週目の方はストーリーへのワクワク感なんかは必要ない事が解っているせいか、一周目の読みにくさも解消され、色々な言葉を拾いながら読んだ。
しかし、やはり世界は薄ぼんやりとしていて、輪郭しか写し出されていない。
僕にはまだ早いのか。
ぼんやりと表される輪郭に色を付けるのは僕なのか、僕でいいのか悩む。

物語の中に水の表現が多い。
雨、温泉、涙。
主人公の純粋さと胸の内の変化をこういう形で表現しているのか。
最後のシーンの纏め方は、言葉紡ぎが美しいと言われるのはこういう所か、と思う。

ふと、疑問に感じたのは主人公自身のこと。
14歳の少女との恋愛の話のようで、ラストは少年の学生のマントの中に入って涙を流す……ん?これはどういう事だ?同性愛の話だっけ?あれ?僕の心が穢れているのか?
え?好きな子と別れた寂しさで流す涙を男に抱かれて?優しさを受け入れられるとかそういう話なのか?

「頭が澄んだ水になってしまっていて、それがぽろぽろ零れ、その後には何も残らないような甘い快さだった」

これがラスト。
僕の頭も澄んだ水の様に純粋にならないと理解できないのかもしれない。

非常にモヤモヤが残る。
川端康成の美しい物語、美しい日本語、美しい文章、美しい言葉紡ぎ、それらは僕にとってはまだ、理解し得るものではなかった。



ちなみにこのnoteは「伊豆の踊子」が入っていた文庫に収録されている「温泉宿」「抒情歌」「禽獣」の感想も一緒に書きたかったのに「温泉宿」が全然読めなくて諦めました。
気が向いた時に残りの作品を読んでみようと思います。

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