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月光

ベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番嬰ハ長調 Op.27-2 幻想曲風ソナタ(月光)」の成長の話。(と言いつつ恋人の話でもある)


三大ソナタのうちのひとつ「月光」
結構、有名だし人気のクラシックだと思う。

三大ソナタの中で1番好きなのは「悲愴」次が「月光」色んな意味合いで「熱情」が最後かな。
聴く分にはどれも良い曲だと思うけど、弾くとなると……「月光」も「熱情」も第三楽章が苦手というか…自分の粗が目立つ。

僕のピアノはこの数年で大分変化したし、成長したと自分では思っている。
音楽理論とかをもっと勉強する事で更に良くなるかもしれないと最近は思っているけど、目指す所が明確になった事でわかり易く成長した気がする。

僕の目指す所とは?
穏やかで優しいピアノだ。
全然、理論的な話では無くてイメージ。

聞く人の心を和ませられるような、癒せるような音を旋律を奏でたい。

素晴らしいと言われる様々なピアニストのピアノを聴いていても思う。自分が好きだなと思うピアニストは優しい音を奏でている。もちろん、素晴らしいと言われるピアニストは皆、本当に当たり前に技術的に上手いし素晴らしい演奏だと思う。けれど、好きかどうかはまた別の話かも知れない。

例えば、マルタ・アルゲリッチ。素晴らしい演奏をする人だと思う。見た目と同じく美しい演奏をする人だなあと。
でも、雰囲気としては、アンドラーシュ・シフの演奏の方が好き。みたいな。(わかりにくい)
まあ、僕の中の最高のピアニストは石井琢磨さんですが。
トニー・アンも最近好きだ。優しいタッチの幻想的で惹き込まれるような演奏が魅力的だと思う。


ピアノに触れる時に、恋人に触れるように優しく触れるのに、力強い音も優しい音もきちんと出せる。
それが僕の中の理想なのかな。
色々と足りてないから、つい勢いで弾いてしまう癖があったけど、勢いで弾くのを辞めて丁寧さを心掛けて今の感じになってきた。
こういう事が、解ってからは僕のピアノが成長したなあと思う。

特に「月光」の第三楽章に、それが現れている事に気がついた。これは、恋人に聴かせる為に録音をしていたおかげで気がついた事。
本当に、全くの別物と言っていいくらい変わった。
ちょっと、僕のピアノの先生にも聴かせたい。

恋人を想って弾く事で、不思議と優しく丁寧なタッチになる。ひとつひとつの音を丁寧に拾うようにピアノに触れていく。

第一楽章は、神秘的なイメージで。
まさに「湖上に揺らめく月の光」のように。幻想的な風景が浮かぶ様に。

僕は、第二楽章が可愛らしい感じで好きだ。ここは割と僕には弾きやすく、お花畑で恋人といるような気分で弾くと……いい感じになるでしょ?笑
ちょっと刹那的でもあって弾いてて、好きだな〜と思う。

第三楽章、情熱的で激しい恋を表している。二楽章からの温度差で前はその激しい曲調故につい力が入ってしまい、打鍵が荒々しくなっていたので聞き苦しい感じだった。
今は、別の曲かと思う程に丁寧で優しく弾けている。激しさの中に慈しみがある感じ?

聴き比べをしたら、成長が自分でも解って嬉しくなってしまった。目指す方向にきちんと成長出来るのは嬉しい。


……これは、病気をする直前までのピアノの話で。
今年は練習もほとんど出来なかったし、今も長くピアノに向かえないので、圧倒的に練習不足。
でも、ひとつだけ、心がけている事がある。

どんな時も、恋人を想って優しく丁寧に弾く。

愛しい人に聴いてもらう為なら、どんなにキツくても適当にはしたくない。
テクニック面の向上をさせたいのはあるけれど、ある程度の事は出来ているはずだから、内面的な所でもっと強くなって、ピアノに反映出来たらなと思う。

ラ・カンパネラも恋人と出会ってから練習し続けて、すごく良くなった。月光も、こんなにも成長出来た。
自分で自分の成長にこんな風に気づいたことがあまり無かったので、恋人と出会ってからの年数分、僕は大きく成長出来ていたのだなと思う。
ピアノに対する向き合い方も、楽しみ方も、変わった。
僕は、本当にピアノが好きだったんだな〜と気が付いた。

次は、幻想即興曲をもっと成長させたいな。

そして、理論的にもピアノを勉強したい。
こういう所だけは音大目指したら良かったな〜と思う。勉強、好きなんです。頭でも理解したい。座学での音楽の理解、これも技術を上げるために必要な事なんだと今はわかる。

理想に近づく為に、努力し続けたい。



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