現代においてより多くの人がファッションを楽しむ為には -ユニクロ必要十分層とファッションフリークの間のクレバス-

風邪をひいて1日寝てたら夜ねれなくなったので書きました。ファッションわからん、という人にこそ読んでほしい、シェア大歓迎です。
ファッションの敷居が高すぎる、どうにかならないか。

http://sasamikunsei.hatenablog.com/entry/2017/09/18/164344

tweet from @sasamikunsei 鶏のささみ燻製🐧

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大学の後輩が書いた文章です、彼も美術や社会科学的視点をちゃんと取り入れようと努力して、一生懸命洋服のことを考えている若者です。この文について自分が考えたことを長々とコメントしたのでシェアします。

面白い記事だと思うが、そもそも彼が前提として置いてる「服を着ることで文化的アイデンティティを得る」というコンテクスト自体が敷居高くないか?と思う。

洋服が文化的側面を失って消耗品にコンテクストダウンした現代ではアイデンティティを作るという目的よりも、集団に属する安心感であるとか、寧ろアイデンティティの不明瞭化を測ってる傾向があると自分は思う、ノームコアとかインスタグラムが流行ってるのを見る限りは。

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これはいまハイファッションのトレンドでもロゴが大胆にあしらわれているものが溢れていたり(写真映えするから)、ギャルソンがここ数年シルエットの巨大化に傾倒してる点である程度説得力のある説だと自分は考えている。


そういった所謂"わかりやすい"的でそのものに強いアイデンティティが宿っているアイテムを手に取ることによって弱い自我を不明瞭にしつつ、「俺には強みがあるんだぞ」と声を荒げ同質化したグループ内で互いにマウントを取り合ってる状態になっている。

特にそういった人たちは着飾ることによる表現での自我獲得とは別にある次元の、金銭的/社会的なところで優位に立つという次元での自己表現ためにわかりやすい物を手にとってる、という点で現代でファッションに熱心な層ですら冒頭の彼の言う「文化的アイデンティティを得る」という次元に達してない。(ここでいう次元に上下の区別はない)

だから、彼がもっと人におしゃれを楽しんでほしいと願うのなら、文化的側面に触れる楽しさも大事だが、もっと自分では想像がつかないほどにファッションの楽しみへ踏み込むためにそれを阻む敷居を下げる必要がある。
それこそこういう服が女の子にモテるとか、こういうのを着ておけば無難、といったさユニクロ的アプローチが必要になってくる。世の中のほとんどの人は「モテたい」という欲求こそ持てど、一部のファッションフリークの様に、洋服を買ったり着たりすることに文化的アイデンティティを得る喜びを見出せるかというとそうではない。

時代が抱えるファッションの問題と現状はブランドのコレクションからなんとなく読み取れることが多い。デムナがヴェトモンで制服モチーフのルックを発表してるのとかは現代人に対するアンチテーゼだったと自分は思う。
加えて、文化、及び人々の感性が発展して栄えるには、人々の生活基盤がまず整っていることが大前提なのは歴史を見ればわかる。文化の発展は基本的に経済成長の二の次である。特に洋服に関しては美術と違って文化芸術としてのアイデンティティが薄いのが難しいところで、日本にバブルがまた訪れてもハイファッションが光を浴びるのはほんの一瞬だろう。

だから人々の生活基盤と金の流れがあまり豊かとは言えない今はファッション産業各位はファッションを楽しめていない人々の目の前に立ちはだかるハードルをこれでもかと下げる為に「俺は文化的にイケている、消費者のみんなも俺らみたいにカッコ良くなろう」っていう所謂イキりを一旦捨てる必要がある。
冷めた目で、かつ現在のファッションが持つ意味と消費者の持つ需要をしっかり理解してからファッションを考えて、どう服を買わせるか考えないとブランドは現代のファッショントレンドを生き残れないし、冒頭の彼も、ファッション好きとそうでない人達の間にあるこの深い深いクレバスの存在を知覚して架け橋をかけてあげないと、彼らはこちら側に渡って来ない。励ますだけではダメだ。

そして、ユニクロの柳井さんとヴェトモンのデムナがそれをしっかり理解してビジネスしてる第一線だ。(ユニクロには現代の服が持つ意味を過去のファッションが持つ文化的魅力からは全く違うものに変えてしまったという張本人的大罪もあると自分は思う。)

現代は文化的アイデンティティの獲得にファッションの魅力が至るのは難しい時代で、我慢の時だと個人的には思う。哀しきかな。

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