春の抜け殻

そら豆を買いました。
最近なんだかだるさを感じる日が多くて、身体を引きずるようにしてなんとか働いています。朝起きて出勤するときは「noteにこういうこと書こう」とか、「今日はこんなご飯を作ろう」とか色々考えます。考えますし、なんとか退勤ぐらいまではそのモチベーションを保てますが、家に帰り着いてしまったらもう無理。なーんにもしたくない。
そんな日々をなんとか切り替えたくて、願いのような気持ちを込めてそら豆を買いました。
普段、とにかく安くて、かつ調理し慣れている野菜ばかりを買っているので、そら豆を買うのは人生で初めての経験。10房くらい入って、400円ちょっと。
そもそも豆を食べられるようになったのもここ数年のことなので、食べるのも意識しては初めてぐらい。
たくさん買ってやったぞ!という気持ちだったけど、鞘を開いてみたらみなさま上等なベッドに入っていて、手ですくえてしまうぐらいちょっぴりになってしまいました。

茹でたてのそら豆は、皮を剥くと鮮やかなグリーンの身がぷりんっと出てきて、口に含むとつるんとして、もしゃっとして、あまくて、おいしい。感じる食感も味も、きっと小さい頃に嫌いだと思っていたあの豆と変わりないのに、自分で選んで買ったものだとこんなにありがたく感じるのはなぜなのでしょうか。
姉が切り込みを入れて茹でてくれたので、皮もするっと剥けて、剥いた皮をティッシュに移していく。あまりにも綺麗に剥けるので、食べたのにティッシュの上にまだそら豆があるみたいで、それがなんだかおかしくて笑えました。その日は他にも新じゃがをご飯と一緒に炊いたり、かぶの茎を小口切りにして味噌汁の具にしたり、姉が春づくしの食卓にしてくれました。

毎日ていねいな暮らしをできるほどの胆力はまだありませんが、こういう日の割合を少しずつ増やしていけたら、と最近は考えます。
持ち物を吟味するのも、自炊も、無理だと思っていたけどできるようになってきたし、しばらくはその狭間でバットからティラミスを直喰いするような日も大切にして、暮らしを育てていきたいです。
ひさしぶりにした旅もすごくたのしかった。人生がやっと始まったような、道が開けたような心地で生きています。

この文章を書こうと思い立ってから推敲している現在までの間に、二度目の購入を済ませました。今井真美さんのレシピで、じゃがいもとホタルイカとともに。春、おいしかったです。満足。

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