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駒澤大・佐藤圭汰選手のアメリカ・OACへのトレーニング参加について

5000mのU20日本記録(13:22.91)保持者である駒澤大の佐藤圭汰選手がアメリカ・コロラド州ボルダーを拠点に置くプロチームのOACの練習に参加しているので、OACとはどんなチームなのか、などについて以下にまとめる。

佐藤圭汰選手がOACのトレーニングに参加している様子。以下の内容の200mのトラックセッションの模様。

出典:Starva(Joe Klecker)より


OAC(オンアスレティクスクラブ)とは

2021年9月15日にニューヨーク証券取引所に新規上場(IPO)を果たしたスポーツブランドのOnは、2020年の秋にコロラド州ボルダーを拠点とするOAC(オンアスレティクスクラブ)という陸上中長距離のプロチームを立ち上げた。ほとんどの選手が全米学生選手権での優勝選手か準優勝選手で構成。ドラフト1-5位あたりの選手の加入が常となっている常勝軍団といえよう。

現在ではOnはヘレン・オビリ(東京五輪5000m銀メダリスト)やヘレン・ベケレ(2021年ベルリンマラソン3位)、テラフン・ベケレ(5000m12分台)といった東アフリカの契約選手を抱えているが、OAC以外にもOAC Europe(欧州:参考の日本語ページ)、OAC Oceania(オーストラリア:参考の日本語ページ)といった大陸ごとのプロチームを運営している。

また、Onは日本では阪口竜平選手と2022年の春より契約しており、このように各大陸で契約選手やプロチームを増やしている。OACはその中でも世界トップレベルの選手を擁しており、今後所属選手が活躍していけば、一時期のオレゴンプロジェクトを彷彿とさせるようなチームである。

OACのヘッドコーチを務めるのは、そのオレゴンプロジェクトにかつて在籍したフェノム(天才)ことデイサン・リッツェインハイン(通称:リッツ)。選手として、ジュニア時代に世界クロカンジュニアの部の個人で銅メダルを獲得。同大会の男子ジュニアの部での非アフリカ系選手の個人メダルは2001年以降誰も達成していない偉業である(=2002年以降の世界クロカン15大会の男子ジュニアの部ではTOP 3が全てアフリカ勢の選手である)。

コーチ・リッツはオレゴンプロジェクト時代には5000mの12分台を達成し、2009年世界ハーフでは銅メダルを獲得(世界ハーフではこの大会以降、非アフリカ系選手のメダル獲得はない)。五輪は3大会連続出場、世界選手権も3回出場と全米代表の常連と、豊富かつ素晴らしい国際経験を持っている。

手前味噌ですが…。昨年の世界選手権の時にコーチ・リッツと少しだけお話しをしました。

また、選手時代にコーチ・リッツはマーク・ウェットモア(コロラド大)、ブラッド・ハドソン、アルベルト・サラザール(オレゴンプロジェクト)、ハンソン兄弟の指導を受けており、彼がこれらの名コーチのコーチングのエッセンスを吸収していることも特筆すべき点である。指導とはある意味ではアートなので、彼が様々なエッセンスを吸収してきたことは何事にも変えようのない財産とも言える。

余談であるが、彼の出身地のミシガン州はアメリカの中長距離の名選手を輩出していることで有名。リッツ以外にも、グラント・フィッシャー(5000、10000m全米記録保持者)やドナヴァン・ブレイジャー(800m全米記録保持者、2019年ドーハ世界選手権800m優勝)などがミシガン州出身である。


OACの選手について

OACはコーチ・リッツが以下の選手たちを指導している。

Yared Nuguse(ヤレード・ヌグース)🇺🇸
PB:室内1マイル 3:47.38(北米記録) / 室内3000m 7:28.24(北米記録)

ガチョウを意味するGOOSE(グース)にちなんで、語呂が良いのでGOOSE
、GOOSE、NUGUSE(ヌグース)と呼ばれている。

ブダペスト世界選手権1500m金メダル候補のヌグース選手(New Gen Pizzaの時に私との1枚)

2023年に室内3000mで7:28.24の北米記録をマーク(フィッシャーの屋外3000mの記録をも上回った)。また、その後のミルローズゲームでは室内1マイルで3:47.38の北米記録をマークして優勝。今季は室内レースで3戦して無敗。夏のブダペスト世界選手権1500mの金メダル候補である(全米選手権を勝ち抜けばの話)。元々大学時代に、1500 / 3000mで全米学生記録を樹立するなどポテンシャルの高かった選手で、2021年の東京五輪全米選考会でも当時は大学生ながら1500mで3位に入った(東京五輪は故障のため欠場)。


Oliver Hoare(オリバー・ホア)🇦🇺
PB:1500m 3:30.12 / 1マイル 3:47.48(オセアニア記録) / 室内5000m 13:09.96(オセアニア記録)

通称オリーで英語発音ではオリー・ホー。愛犬のブルドッグのアンガス(ガス)が可愛い。ガスはコーヒークラブ(ポッドキャスト)のCEOを務める。

オリーは、OACのチームメイトのモーガン・マクドナルドとはウィスコンシン大学時代のチームメイトであり、また、オーストラリアのシドニーでのジュニア時代からの仲だという。

2022年は1マイルで3:47.48のオセアニア記録を樹立するも、オレゴン世界選手権では準決勝敗退。その翌月に背水の陣で臨んだ英連邦大会では見事に優勝を果たした。マイラーを多く擁するOACでは安定感を持つ選手であるだけにオレゴン世界選手権での準決勝敗退には驚いた。東京五輪は決勝で11位。


Joe Klecker(ジョー・クレッカー)🇺🇸
PB:3000m 7:34.14 / 室内5000m 12:54.99 / 10000m 27:07.57

コーチ・リッツと同じくコロラド大出身の選手であり、OACの男子の現役選手ではこのクレッカーだけが全米学生選手権での優勝経験が無い。コーチリッツが彼を指導し始めた2020年の時点で「5000m 12分台のポテンシャルがある」という言葉通り、2023年1月に室内5000mで12:54.99をマーク(大学時代のPBは13:35.95)。東京五輪には10000mで出場して16位、翌年の全米選手権では10000mでBTC勢を相手に初優勝を果たし、オレゴン世界選手権では9位と東京五輪よりも順位を上げてあと一歩で入賞まで迫った。

マイラーが多いOACの男子勢で唯一とも言える5000 / 10000mタイプの選手で(OACのJonas Raessも5000 / 10000mタイプに移行中)、5000mの12分台だけでなく、THE Tenで27:07.57の自己新をマークしたこともあり、ブダペスト世界選手権の5000 / 10000mの参加標準記録を突破している。

彼のコロラド大時代のチームメイトであり、OACに在籍する中距離選手のセージ・ハータと昨年結婚した。クレッカーはStravaでトレーニングログを全て公開。今年から契約しているCOROSのコラムでもデータを公開している。


Mario Garcia(マリオ・ガルシア)🇪🇸
PB:1500m 3:30.20 / 室内1マイル 3:51.79(スペイン記録)/ 3000m 7:34.74

昨年の6月まではオレミス(ミシシッピ大学)に所属しており、全米学生室内選手権の1マイルの優勝歴があった。6月末のスペイン選手権1500mで初優勝の後、7月のオレゴン世界選手権では1500mで同じスペインのカティルの3位に次いでの4位に入り、シニアの国際大会でいきなり結果を出し、その後の欧州選手権でも3位に入った。

OACには同期のヌグースと同じタイミングの昨年に加入。オレミスでガルシアのチームメイトだった、シンタイェフ・ヴィッサもガルシアに連絡した事がキッカケでOAC入りを果たした。

因みに現在のスペイン代表の中距離選手にはマリア・ガルシアという同姓同名の選手が2名いるが、もう1人はニューバランス契約の800m選手である。


George Beamish(ジョージ・ビーミッシュ)🇳🇿
PB:室内1マイル 3:51.22 / 室内3000m 7:36.22(ニュージーランド記録)/ 室内5000m 13:12.53(ニュージーランド記録)

全員が男前のOACで高レベルの中、最もイケメンともいえるビーミッシュは北アリゾナ大(NAU)時代に全米学生室内選手権の1マイルで優勝。2022年は2月のミルローズゲームの室内3000mで鮮やかな優勝を飾り、3月の世界室内で3000m 10位、オレゴン世界選手権5000m予選落ち、英連邦大会5000m 6位の成績を収めた。三浦龍司選手と同じようにラスト200m、特にラスト100mの伸びが素晴らしい選手である。

最近彼が水濠練習をしているコーチ・リッツの投稿があり、男子3000mSCの現役トップレベルの選手たちを中心にコメントが展開されている。


Morgan Mcdonald(モーガン・マクドナルド)🇳🇿
PB:1マイル 3:54.63 / 3000m 7:39.05 / 5000m 13:13.67

ジュニア時代に育ったオーストラリアや、大学時代(ウィスコンシン大)ではオリーとともに陸上競技に取り組み、全米学生クロカンで個人優勝を果たす。他のOACの選手らとは違って大学卒業後はアンダーアーマーと契約。その時にはフラッグスタッフで当時の東海大の選手ともトレーニングを共にしたことがある。東京五輪には5000mで出場し、その後にOACに加入した。

コーヒークラブというポッドキャストを主宰しており、オリーの愛犬のガス↓を筆頭に、オリーやビーミッシュらとコーヒークラブを運営している。

出典:モーガンのインスタグラムより

このように現役トップクラスの選手がポッドキャストを運営しているのは非常に稀であるが、英語が堪能でないと彼らの話を理解するのは難しい。


Jonas Raess(ジョナス・ラエス)🇨🇭
PB:室内3000m 7:35.24(スイス記録) / 室内5000m 13:07.95(スイス記録)/ 10000m 27:26.40

OACの選手では最年長の29歳。2019年のユニバーシアード5000mで優勝。元々、2022年に結成されたOAC Europeのメンバーだったが、2023年からOACの拠点であるボルダーでトレーニングをしている(今後OACに常にいるかどうかは不明)。東京五輪には5000mで出場し、2022年世界室内3000mで11位。2023年は2月に室内3000mで7:35.24、3月のTHE Tenでは初の10000mながら27:26.40をマークした。

今回詳しく紹介したOACの男子選手以外にも、以下の5名の女子選手がOACに在籍(OAC EuroepやOAC Oceaniaにも女子選手がそれぞれ在籍)。

Alicia Monson(アリシア・モンソン)🇺🇸
PB:室内3000m 8:25.05(北米記録) / 5000m 14:31.11 / 10000m 30:03.82(北米記録)
Sage Hurta Klecker(セージ・ハータ)🇺🇸 夫がジョー・クレッカー
PB:800m 1:57.85 / 1500m 4:01.79 / 1マイル 4:25.45
Josset Andrews(ジョセット・アンドリュース)🇺🇸  夫が1500mで全米選手権優勝経験のあるロビー・アンドリュース(旧姓ジョセット・ノリス)
PB:1500m 3:59.72 / 室内1マイル 4:20.81 / 室内3000m 8:37.91 / 5000m 14:51.32
Sintayehu Vissa(シンタイェフ・ヴィッサ)🇮🇹
PB 1500m 4:04.64 / 室内1マイル 4:24.54(イタリア記録)
Carmela Cardama(カルメラ・カルダマ)🇪🇸
PB 室内5000m 15:25.41(スペイン記録)/ 10000m 32:16.13

OACが今後、世界大会でのメダルを独占するようなことがあれば、その時にはオレゴンプロジェクトのような強さを持つチームということになる。


近年増加傾向の米国プロチームへの武者修行

佐藤選手といえば、高校時代に1500 / 3000 / 5000mで高校記録を樹立したが、コロナ禍で時間があった時にYouTubeで世界トップクラスの選手のレース動画を見漁ったそう。そこから、ヤコブ・インゲブリクトセンへの敬愛の心を持ち、高校時代から世界レベルでの活躍を頭に描いている選手である。

以下は先日のニューヨークシティハーフの時の写真であるが、駒澤大は佐藤選手だけでなく田澤廉選手など多数の選手に海外遠征を経験させている。写真は駒澤大の大八木総監督とOACのコーチ・リッツ。

また、駒澤大は高林祐介コーチを新たにスタッフに招聘し、選手たちの米国合宿・遠征に帯同させた。このように、選手だけでなくスタッフも海外遠征を経験することで、日本以外の場所でも経験を積んでいる。

今後は世界ランキング制度の影響で、ロードを除いた世界大会出場には日本以外の試合への遠征が必須となることが多いので、選手だけでなく指導者にも多くの経験値が求められることとなる。

佐藤選手のように大学時代から米国に武者修行、といえば、大迫傑選手のオレゴンプロジェクトへの練習参加があったが、その当時はミズノからナイキのシューズに履き替えた大迫選手の姿があったように、佐藤選手はOACとのトレーニングではOnのスパイクを着用している模様(ウェアは駒澤大の現在のサプライヤーであるナイキのウェアを着用している)。今後、佐藤選手がOnと契約するかどうかは要注目である。

大迫選手は大学4年時のカージナルス招待の10000mで27:38.31の当時の日本歴代4位の好記録をマークしオレゴンプロジェクトの練習生として米国に中期間滞在した。その翌年の早大卒業後は日清食品に所属しながら引き続き米国を拠点とし室内レースなどで活躍。そして、早大卒業から1年後に日清食品を退社し、オレゴンプロジェクトに正式加入を果たした。

彼のように米国のプロチームでトレーニングを積む選手は近年増加しており、有名どころではBTC(バウワーマントラッククラブ)で日本の男子選手を中心に、今年にかけてはノースカロライナ州のPUMA Eliteで鈴木塁人選手、森田佳祐選手、また上野裕一郎監督や立教大の選手、たむじょーなどが参加している。

また、東海大の選手たちも数年前にフラッグスタッフやオレゴンにおいて海外遠征・合宿を行っておりスタッフや選手のレベルアップに繋がっている。

いずれにせよ、米国において日本の選手が現地のプロチームの選手とトレーニングを行い交流を行うことで、今後特に米国での大会においてそれらの経験が必ず生きる時がやってくるのではないだろうか。例えば、今年のダイヤモンドリーグ最終戦はユージンのヘイワードフィールドで開催される。

また、今後日本人選手が世界クラスで活躍するためには「時には」日本人以外のAR(国際公認代理人)の目に留まる必要もあり、試合以外にも様々な場においてコミュケーションやアピールを行うことが必要である。

例えば、米国の室内大会で最高クラスの大会となると2月のミルローズゲームが挙がるが、大会ディレクターのレイ・フリン氏は敏腕ARである。ミルローズゲームはAカテゴリーの室内大会であるが、彼にコンタクトを取ることで、ミルローズゲームに出場できるかどうかの交渉ができると考えて良い。

(左からレイ・フリン氏、コーチ・リッツ、ヌグース、ハータ選手)

今年のミルローズゲームでは昨年に続いてOACの選手たちが複数種目で優勝を飾った。

かつての大迫選手が米国の室内レースで活躍したように、佐藤選手が今後米国の室内レースを転戦することとなれば要注目である。まずは、格上の選手たちに揉まれて現在の米国でのトレーニングを経験していくことが最も重要であると言えるだろう。


佐藤選手の米国での試合はどの大会か?

駒澤大陸上部のインスタがあるにしても、駒澤大の選手はSNSで発信を行っていないので(アカウントを運用できないので)佐藤選手の米国滞在の様子についてはOACの選手もしくはコーチメディア担当者のSNSをチェックするといいだろう。

かつては日本の女子長距離の実業団がよく行っていたボルダーなどの米国合宿であったが、最近ではロードの選手だけでなくこのようにトラックをメインとする選手の合宿や遠征が増えている。そこでは、ただ合宿するだけでなく、試合に出場して帰国する、というスケジュールが通常である。となると、佐藤選手がどの試合に出場して帰国するかどうかは注目集まる。

日本では中長距離選手は金栗記念からグランプリシリーズが開幕し、兵庫リレーカーニバル、織田記念、木南記念、GGN、静岡国際(昔なら)、セイコーGPと続き、日本選手権を迎えるが、佐藤選手はどのようなレースプランで今年の上半期を迎えるのだろうか。

OACのある選手は4月下旬のペンリレー(ペンシルベニア大での試合)の4×1マイルリレーでの世界記録挑戦?に照準を合わせているが、その後にOnが協賛している5月6日のTRACK FESTに出場するだろう。

出典:Soundrunningより

佐藤選手が5月上旬まで米国にいるかどうかは不明であるが、試合に出場して帰国するのが通常のケースであるため、4月のどこかの大会かTRACK FESTのようなレベルの高い大会に出場することを楽しみにしている。

ちなみに、TRACK FESTは昨年ヤコブ・インゲブリクトセンがオレゴン世界選手権5000mの参加標準記録を破るために出場して13:02.03で優勝した。

(以下、追記)

佐藤選手は金栗記念(4/8)からGGN(5/4)に出場するようなので、日本に帰国するでしょうが、日本時間5/7 13:55に開催されるTRACK FESTは日本選手権と同じBカテゴリーの大会ともあり、GGN(5/4の夜)の後に出場することも可能ではないか?と思いました(宮崎から羽田に1時間40分+羽田からロスまで10時間程度のフライト)。しかし、佐藤選手が翌週の関東インカレを優先するなら海外遠征はないでしょう。もし、金栗記念かGGNでブダペスト世界選手権の参加標準記録(13:07.00)を突破できれば、日本選手権までは安全策を取るべきで、少なくともGGNでは昨年のように世界選手権の標準記録ペースにペーサーが設定されるでしょう。しかし、GGNは大会のカテゴリーがFカテゴリーと低いので… もし、標準記録を切れなかった場合は、順位ポイントがあまり期待できません。佐藤選手は今年のアジア室内選手権で2位に入り、大陸別の国際大会というAカテゴリー大会での大きな順位ポイントの恩恵を受けています。そのようなカテゴリーの高いAかBカテゴリーでの試合で好成績を「3つ」揃えないと3000-5000mでの3試合の平均スコアで世界選手権に出場することが難しいかもしれません。5/17にはAカテゴリーのセイコーGPがありますが実施種目が5000mではなく3000mなので、5000mの標準記録が切れるチャンスがある試合ではありません。しかし、世界ランクで世界大会に出場することを念頭に置くと、Aカテゴリーの試合で好記録で良い順位を取れば世界ランクを上げることができます。このように、春先の試合結果や、その時点での世界ランクを確認するなど柔軟かつ迅速に次の試合への出場を決めなければなりませんし、それが国内ではなく海外レースということになると、代理人を通じ次の一手をいかに早く打つか、という計画性や柔軟性が大事になってくるでしょう。しかし、800mや1500mとは違って、5000mで過度の連戦をすると段々とお釣りがなくなってきます。そのような連戦からの日本選手権を挟んで8月の世界選手権にピークを持ってくるのは至難の業ですので、できれば春先の1、2戦で標準記録を突破できるのが理想だといえるでしょう。今年は昨年と同じく日本選手権は6月上旬にあるので、日本選手権後の例えば7月中旬のアジア選手権に出場することができれば、世界ランクを上げることが可能でしょう(タイ・バンコクでの開催なので気象条件が厳しければ記録はあまり望めないかも)。ちなみに、7月15日にはベルギーでナイトオブアスレチックが開催されるので、アジア選手権と日程が重なってしまいます。ナイトオブアスレチックは大迫選手の日本記録が生まれた試合なですが、同時期のホクレンディスタンスと併せて標準突破を狙うならこれらの試合の方が良いかもしれません。

いずれにせよ、13:07を切る競技力があるなら昨年の遠藤日向選手のように日本選手権では優勝できるぐらいの実力と言えるので、標準突破できることに越したことはないでしょう。また、日本選手権の3位以内をメインターゲットとするなら、アジア選手権とセットで考えて春先に試合は調子を上げていくための転戦という位置付けになるかもしれません。

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