私はこうやって生きるぜ!!!!!!※映画感想(ネタバレあり)

7月14日、朝10時。私は地元の映画館にいた。
ちなみに今日はド平日の金曜日。仕事を休んだわけではない。
私は現在無職なので、平日の朝っぱらから映画を見に行くことも容易いのである。
そんな情けない状況で何を見てきたのかというと、ジブリの新作「君たちはどう生きるか」である。

面白かった。すごくよかった。
公開するまで一切の情報が出されないという中で、見に行ってよかったと思わせる作品を出してみせるのは流石ジブリ、いや宮崎駿監督としか言いようがない。
せっかくなので見た直後の感想をここに残していこうと思う。
ネタバレもあるので見たくない人はここで終わりにしてください。

※以下、映画のネタバレあり








いやめちゃめちゃド定番のジブリファンタジーやないか~い!!!!!!!

内容を予測できる情報がちっとも出てこないし、せいぜいキービジュ?の鳥、Twitterでの呼称:僕生きバードしかないから本当にどんな映画が出てくるのか分からなくて…もし今までとは全然違う、例えば実写映画とかだったらどうしよう…

とか色々考えてたのがバカみたい。何にも心配いらなかった。私がずっと見てきたジブリだった。子供の頃から慣れ親しんだあの味がした。
いい意味で、全く捻りがない映画だった。不要な予測の裏切り、どんでん返し、そういうのが全くない、こっちが「この後こうなるんだろうな」というのをその通りになぞってるのに、それが全く不快でも不満でもない。すごい。

誇張や抽象ではなく、マジで私は物心ついたころからビデオに録画された金ローのトトロとラピュタをヘビロテして育ち(親が録画してくれたので開始5分ほど経過してから録画ボタンを押されており、トトロはサツキ達が台所の鍵を開けるシーン、ラピュタはパズーが「タオルもあるから」と言うシーンから始まるため、私は長い間この二つの作品の序盤を見たことがなかった)後追いで他のジブリ作品を見てその世界観にどっぷり浸かってここまできた。
途中に挟まれたゲド戦記やアリエッティ、マーニーなど、ややテイストが違う作品も一応見ている。吾朗氏の作るジブリ作品は、やはり少し違う。
決して「やっぱりパヤオじゃないとさぁジブリってのはさぁ」とか言うつもりはない。氏の作品も素晴らしいと思うし、好きなポイントはたくさんある。
ただ、私はどうしても駿氏の作るジブリの方が好きなのだ。どうしてかは分からないけど、オタクがオタクの作る作品に惹かれるみたいなものかもしれない。謎の熱量が駿氏の作品にはある。
私にとってスタジオジブリの作品、ひいては宮崎駿監督というのは、昔から近所に住んでいた変な作品ばっかり作ってるおじさん、のようなポジションなのかもしれない。いやよくわかんないけど。
まあとにかく。
その長らく見てきた変なおじさんの作品群を、ひっさびさにフルスクリーンで浴びてきた、という感じだ。

僕生きバード、お前そんないいキャラだったのかよ…!!!!
キービジュの構図が近すぎて、あれ本当に鳥か??とすら言われていたし、もしかしたらあの画像自体フェイクで映画本編には一切出てこないんじゃないかとまで言われていた(私もそれだったらおもろいと思ってた)のに、めっちゃ重要なキャラで出てくるじゃん…
不気味なアオサギから半人半鳥の妖怪?として真人の前に現れ、そこからまさかの仲間、そして友達へ…
あまりにも美しい流れ。あの情報過多の映画の中で濁ることなくこの流れを描いてみせるのは、やっぱり駿監督の技量あってこそだと思う。
アオサギ、くちばしの中から人間の歯並びやでかい鼻が見えているの凄いグロテスクなデザインしてて、序盤の気味の悪さが凄かったのに、そこからあそこまで愛嬌あるキャラに転じられるのもすごないですか?眞人だって最初は警戒してたのに…
キリコさんの庭で死んだペリカンを埋めようとする真人を、無言でずっと見ていたアオサギの背中がすごい可愛かった。あれを見てアオサギ自身も、真人のことを嫌いになれなくなったのかもなぁ。


アオサギもだけど庭の主である大叔父様、インコの大王?、義母であるナツコも他皆、作中における悪役がいない作品だったね。
真人は母を病院の火事で亡くして、そこから立ち直れないまま義母に引き合されたり東京から田舎に引っ越しさせられたり、転校した先で地元の子供達に絡まれたり、あの時の真人は周りが敵だらけだった。
ナツコ(漢字が分からない。奈津子?夏子?)、美人だし物腰も柔らかだけど少し棘のある態度が最初から気になってたので(心を開こうとしない真人に対して無理やりお腹を触らせようとするところとか。あのシーンの真人の表情も秀逸。台詞や態度じゃなくて眼で感情を表すことで場面の節約もできる。流石である)真人が義母になったナツコを受け入れられない、というのを序盤で見せておいて、不思議な島の中ではナツコおばさんと呼んでいたのが産屋でナツコかあさんと呼んだ時思わず涙腺が緩んでしまった。
ナツコがあんたなんか大っ嫌い!と叫んだにも関わらず、かあさん帰ろうと必死に呼びかける真人の真っすぐさ、優しさが胸に刺さった。いい歳した大人なのでこういうのに弱い…ジブリの変に捻らずにぶちまけてくる感情にぼかぁ弱いんだ…私はトトロのサツキとメイの喧嘩で大泣きする大人だ…
キリコ婆があんたはお嬢様が嫌いのはずだ、と言ったのもぶったまげたけど(子供の本音を暴こうとするんじゃないよ!)それを否定せずに、それでもおばさんを助けようとするのめっちゃ偉くない??まああの時はどちらかというとアオサギの母君がいるという言葉に引かれたのかもしれないけど。


棟の中の不思議な世界も凄く良かったな。棟の中にペリカンやらセキセイインコやらがいたのは大叔父が中で飼っていたんだろうか?
それが棟の中の世界に閉じ込められて出られなくなり、繁殖して増え続けてしまったんだろうか。この辺パンフレットとかに書かれてるかもね。
父親もいいキャラだったな~。最初は子供の気持が分からない強引な親かと思ったけど、棟にナツコや真人が飲まれたと聞いて日本刀片手に棟に向かってくるのも凄くよかった。婆や達の話を一笑に付して終わり、じゃなくて大真面目に救出に向かってくるところにあの人の善性を見た。
ヒミさま、というキャラについて。あの子はつまり真人の母親で、その魂みたいな感じ?棟の中がパラレルワールドなのであれば、真人が棟に入って会ったヒミ様は「幼い頃棟の中で消えてしまい、一年後にひょっこり戻ってきた」ときの母親だったのかな。

あれを見てて思い出したのが「思い出のマーニー」での、アンナとマーニーの関係を作中で解説するシーンなんだけど、マーニーではそれはもう丁寧に作中のキャラがマーニーの生い立ちを語り、そこからアンナが彼女は自分のおばあちゃんだったんだ!と認識するまでが描かれてて。
これが個人的には、冗長だな…と思ってたんですよね。あっても悪くはないけど、無くてもよくない?と思っていた。本編を見ていれば、視聴者は二人の関係を何となく察することができたので、あのまま有耶無耶に終わっても(アンナはマーニーが空想の存在だと思っていたので、彼女は本当に昔あのお屋敷に住んでいた子なのよ、とせめて実在することを知らせるだけに留めても)視聴者にはおそらくあの二人は…と察するだけで充分だったんじゃないかなぁ。
何か、手品のショーが終わったら手品師本人が丁寧にトリックの解説をしてくるような、白けるというかナンセンスさを感じてたんですよね。これは個人的な感情の話。
そういうのを、今作では綺麗に整理していたなと思う。真人本人も彼女が自分の母親だということを認識していて、視聴者もその情報が共有されていること前提に話が進むので非常にスムーズだった。
あれはおそらく視聴者の読解力を信じてるからこそできる演出じゃないかな。いや、駿氏なら「必要な情報は俺が描いてるんだからお前らわかるだろ?わかれよ」ぐらいのつもりかもしれないけど…でも実際それで分かるからな。
そういう、駿氏の意図がところどころ読み取れる作品でもあったと思う。

他にも色々あるんだけど、まとまらないのでここら辺にしときます。
面白い映画だった!!私が見たいジブリのファンタジーの、まんまが出てきたって感じ。
既存のジブリ作品の旨味が全部乗っているというか、ここは「風立ちぬ」でここは「ハウル」で、ここは「ポニョ」ここは「ラピュタ」でしょ、という感じで、ジブリ作品のセルフオマージュみたいなものでもあったと思う。
これは映画館で見たいというより、オタクと喋り合いながら見ても面白いんじゃないかな~と思ったりもする。ジブリで育った我々オタクから見ると、アルバムをめくるかのような映像作品だった。
あと、公開されたことで様々な感想や考察が語られるだろうし、中にはあのシーンにはこういう意図があって、駿監督は我々にこういう問いかけをしているんだ、的な解釈も出てくるだろうと思うけど(岡田◎司夫氏とかね)
私が感じたあの映画で宮崎駿監督が言いたいことは「俺、こういうのが面白いと思うんだよね!!!!!!!!!!!!!!!」ということだけだと思う。
タイトルが「君たちはどう生きるか」という投げかけるような言葉だから、映画そのものもこちらに問いかけを投げているように思う人もいると思うけど、私がこれまでに見てきた宮崎駿氏という人は、あんまり視聴者にそういうことをする人じゃないと思うんですよね…いや別にあの人のこと何も知らないけど…
駿氏、良くも悪くも技術者気質だし、視聴者のことを考えて作品を作る人ではないので、「君達はどう生きるか?」じゃなくて「俺は(これまでにこれだけの映画を作って)こう生きたけど、お前らはどうする!!!!???」って感じなんじゃないかな。
私は氏のそういう作風が好きだ。だからこの映画も本当に好きになれると思う。



みんなはどうやって生きる!!?

私は今現在無職なんだけど、子宮筋腫と子宮内膜症のダブルコンボで不正出血が頻発しててちょっと転職活動を一からやり直ししてる状況なんですよね…
正社員希望だったけど、あまりにも体調がしっちゃかめっちゃかなので当分普通の社会人務めは厳しいかもしれなくて、周囲の理解もあるのでパートや派遣の立場で仕事を探そうとしているところなんですな…
でも通院してる病院で早めに手術した方がいいかも、とか言われたりして…早めっていつ!?もうすぐって明日!?またメイの明日?が始まった~!!
じゃあ何で私が手術の検討を相談した四月ごろにそう言ってくれなかったんや…あの時は「そんなアナタ手術って笑 薬で何とかしていきましょうよ~」みたいな反応だったくせに!!
なにわろてんねん!!!!!人は死んでないけどこちとら毎日出血と腹痛でのたうち回ったんやぞ!!!
手術するのはいいけど、それなら転職活動中断するべきなのでは…!?手術してからの方がよくない!?でも手術ってハーイじゃあやります!つって次の日にやってもらえるわけじゃないので、どうしたもんかなぁ…(腕組み)

っていう感じで生きてます。突然の自分語りで〆るな。

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