見出し画像

月報Okishima Life 2023.12 エリ漁に参加&直○の試行

まだまだ暖かいそして、水位は‐79㎝

少しずつ冬の景色になってきているが、例年と比べたらまだまだ暖かい。漁をしていると段々と暑くなってきて、ネックウォーマー・ニット帽なんて着けていられなくなるくらい。
案の定、スジエビは最後の最後までパッとするような塊を見せてはくれなかった。そして、水位は一向に戻ることなく‐79㎝を記録。この真冬に塊ってくれるのを願う他ない。

エリ漁に参加

今年は声を掛けて頂き、エリ漁に乗せてもらえることに。エリ漁は1シーズン経験あるだけなのでまだまだ不慣れ、初心は忘れず。
前回とは違ったエリとメンバー、別の漁のようでなんとなく新鮮みがある。

初日

2年ぶりのエリ漁なので、少し緊張感を持ちつつ集合場所へ。ややこしい天気の中だったが、初日ということもあり出漁。
現地に着いて段々と思い出してきたのか、自然と体が動くようになってきた。二手に分かれておもりを上げ、そして魚を追い込んでいく。とても分かりやすい構造だが、魚が1か所に集まっていく時の迫力ワクワク感はいつになっても変わらない。
1ツボ目、氷魚は見えたものの、比較的期待の出来る初日としてはイマイチな滑り出し。そして、2ツボ目は風が吹き始め断念。
スロースタートだったが、個人的には全体の流れポジション、そして役割を把握できたので、翌日からの本番に備わった!と、良いスタートをきることが出来た。

日数勝負

翌日以降も、沖島はもちろん琵琶湖全体のエリ漁は出漁し続ける。琵琶湖全体での種苗の注文トン数があり、それを目標に全体で確保する。今年はなかなか獲れないのでは?と言われていたわりには獲れているものの、なかなか漁獲は固まらない。
こうなってきたら、日数勝負!と、単純に日数稼いだらいいという訳にもいかず、毎日出漁するくらいなら2日おきにして魚を溜めるとか、それはそれで2日分溜まるかと言われればそうでもなかったりとか。潮の流れや気候状況などにも左右されたりするのでなかなかに判断が難しそう。
そんなことを傍で見てて考えながら、今年は19日に沖島の種苗出荷は終了しました。
おつかれさまでした!

残していかなければいけない

今回改めてエリ漁で感じたのは、沖島のエリは残していかなければいけないということ。沖島には現時点で複数のエリがあるものの、琵琶湖でいえば一部にすぎない。だが今後数年先を見通すと、果たして琵琶湖全体のエリの中でどれだけのエリを維持し続けられるのか。あまり考えたくはないが、高齢化で急速に減っていくのは予想できる。

これまでの方々が大事に守ってこられたエリも、撤去してしまえばそれで終わり。守らなければとは思うものの、チームでする漁なので人手は必要不可欠。
沖島にはそこの可能性が少しずつ見え始めているように思うので、僕はそこに希望を持ちたい。
必要なのは、チームであり若手漁師

エリ飯

エリ漁には多種多様な魚が入って、とても賑やか。この期間の食卓はより一層彩られます。

アメノイオご飯

沖引きとの二刀流

エリ漁の期間中でもスジエビの需要は変わらない。エリ漁がなく沖引きに出られる日は出漁するのだが、なかなかタイミングがないので他にも出れる機会を探る。
エリ漁が終わったその足で、沖引きへ出漁する二刀流はどうか?
と思い、一度試みてみた。

さっそく9時半頃にエリ漁から帰港後すぐに船を乗り換え、沖引きへ出漁。ひとまず目標としていた近場で2網だけでも引けたから良し。今後近場でもスジエビが獲れるような年にはこの流れも一つの手段としてありだな。

直売の試行

これからの漁師が食っていくには現状のままでは到底難しい。必ず変革は必要になってくる。そんな中、いろんな方向に努力するべきベクトルはあるものの、とっかかりやすいのは直売で単価UP
琵琶湖の魚に関しては認知が低いので、「買ってくれる人がいないのでは?」なんてことはなく、低いからこそ可能性しかない。そんな希望を抱きつつ試行し始めた。

限定的で丁寧に

直売でも手段はいくつかあるが、その中でも自分に合った手段を選ぶべき。

僕自身は、離島という発送には不利な立地で想いあること、そして、直接お客様のもとへお届けしたいという想い(より確実に求められた量・状態の魚を届けたいのと顔が見える商売をしたい)が主な理由として、まずは直接受け渡しという手段を選んでみることに。

試行してみて

快くつき合って頂いた料理屋さんに、各条件のもと何度か魚をお届けさせて頂き、獲るところから卸すところまでの一連の流れにだいぶ慣れてきた。感謝です。
やはり相手の顔が見えると、安心感があるのと同時に、やりがいを感じられ、談笑や意見交換も出来るから、求めていたのはこれだと言わんばかりにドンピシャな形だった。

単独で漁師をすることだけでも手一杯なので、今後はどこまで広げていくかまだ未定ですが、ひとまず、丁寧で良質な付き合いを忘れずに、少しずつやっていこうと思います。

琵琶湖仲間たち

「琵琶湖」や「湖魚」、「漁師」といった共有ワードで集まった仲間でご飯をする機会が増えたりしてきて、プライベートでも充実してきている。直売でも同様に求めていることだが、仲間と分かち合ったり意見交換し合ったりできる環境というのがほんとに必要であり、幸せな時間だったんだなと改めて気づかされた。

これからも「琵琶湖」「湖魚」「漁師」といったワードをもとに、沢山の人と分かち合えたらいいな。

湖魚も並ぶ卓上
湖魚も並ぶ卓上
湖魚も並ぶ卓上

初、魚醤試み

以前から気になっていた魚醤。ハスゴ(ハスの子)が沢山手に入ったので作ってみることに。やることは簡単だが、失敗しても嫌なので詳しい方からアドバイスをもらいつつ。

だいぶ先になりそうだが完成が楽しみ。

今回はここまで

季節の移り変わりをゆっくり楽しんでいる間なんてなく、気づけば一年が颯爽と過ぎ去っていた、そんな一年。
昨年の今頃は1人で魚を獲ってくるなんて想像も出来なかったし、沖島での一年を振り返ればほぼ漁師。いろんな方々にお世話になりながら、ゆっくりだが着実に積み上げた結果、今は1人で年中通して魚を獲ってこれるようにまでなれた。我ながら上出来。

来年からも引き続き漁中心の生活になるが、今年と俄然違うのが発展形の年になること。努力するべきベクトルはまだまだいくつもあり、伸びしろの可能性は沢山あるので引き続き頑張っていきたいと思います。

ではまた来年、沖島!

今年最後の沖島


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?