見出し画像

大村皓一先生

 あれはボクが深夜のバラエティ番組「11PM」のADとして働き出した最初の頃でした。「11
PM」班のチーフディレクターでありボクの師匠となる岡島英次さんが「諏訪は阪大工学部だったな」とボクに声かけてくれました。「おまえマンガ好きだとも言ってたな、ゴルゴ13の映画を取り上げるぞ」。1983年5月に公開された本邦初となる3DCG劇場作品「ゴルゴ13」、そのCG制作の陣頭指揮をとっていらっしゃったのが、当時大阪大学工学部助教授の大村皓一先生でした。
 TV局新人スタッフのボクを、学科は違えど同じ阪大工学部という事で「諏訪くんはボクの教え子だから」と周りに話してくれたのが、社会人としてのスタートに華を添えていただいたように感じて本当に嬉しかった。マンガ好きで「ゴルゴ13」ももちろん愛読してたボクとしては、「11PM」で作品を取り上げるのになんの違和感もなかった。それが功を奏したのか取材もスムーズにいき大村先生も番組に登場いただき、もともと映画のパブから始まったこのコーナーは楽しく面白く放送されました。ただ番組の柱・司会者の藤本義一さんが「イレブンでもマンガを取り上げる時代になったんだね」とコメントしてくれたのが強く印象に残ってます。そしてこれをきっかけに大村先生は「11PM」に、技術テクニカルなテーマの際などのコメンテーターとして何度か出演される事になります。
 それからボクが東京に転勤になってからも、行動的な先生に何度かお目にかかる機会はありました。それがここしばらくはお会いできずに何年も過ぎてしまった事が本当に悔やまれてます。というかボクにとっての大村先生の印象は、たとえば60歳過ぎてゴルフを始めて「さっき練習場で200発打ってきたよ」と何気ないことのように笑顔で話す、言わば鉄人。いつでもお会いできる気でいました。バカですよね。
 昨日、日本におけるCG草創期を代表するひとりである、そんな大村皓一先生の訃報を知りました。確か御厨さと美先生に描いてもらったという、元気印そのもののご自分のイラストを「コレ良いでしょ」と名刺に入れてた先生。その絵をまだはっきりと記憶してます。ありがとうございました。心からご冥福をお祈りいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?