【本】三つ編み レティシア・コロンバニ

私の父はとんかつが好きで、趣味のツーリングで片道1時間かかる店にも一人で行く。
私が学生で実家暮らしのとき、そんな父が見つけたお店によく連れて行ってもらった。
父が教えてくれる店はどれも美味しくて、そして経験を積んだおじいちゃんと呼びたくなる年齢の方が店主を務めている店が多かった。
ある日の帰り道、父は言った。
「家事として料理を作ってて、料理がうまいのも女性が多いけど、
こうやって店を開いていたり、料理人になっている人は男性の方が多いのはなんでなんだろうね」
当時、中学生の私は「本当に、その通りだな」と思った。
そして、純粋に「何でだろう」と思い、
「男性の方が一度こだわるとトコトン極める人が多いのかもね」とわかったようなことを言って、父と「何でだろ〜」と首を横に傾けながら、その日は家に帰った。

世の中で、ある属性の人が過半数を占める時、それができない・起こりえない理由も孕んでいることに意外と目がむきにくかったのだと、当時を振り返る。
そして、気づきがなければ、そこに違和感も抱かず、反発もしない。できない。

”三つ編み”は、3つの国のそれぞれの女性の「違和感への気づき」と「反発」の話だと思う。
その気づきと反発の原動力は、意志だ。
「どうしても、私はこうしたい」

意志が伴う判断を繰り返してこそ、気づきがあるのではないか。
ぼんやりと生きていれば、過半数に、人の意見につられてしまう。

正直、書評に書かれているような希望を、この本から私は感じられなかった。
「お探しのモデルはありますか?」
そう聞かれて当惑した登場人物のサラのように、私は読後、ただただ自分が欲しいものがわからないことに唖然とした。
人から羨ましがられることや、みんながやっていることに引っ張られていたのでは?
あの人が言ったから、親に勧められたから、そうやって人任せにしていないか。

意志を持って選択しよう。
今日から、私は私に似合う、しっくりくる人生を探そうと思う。

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