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2020-01-22 地方から始める事業開発 〜イッキにやろうぜ(越境する承継)〜 #DevLOVE

2020/01/22 に開催された 地方から始める事業開発 〜イッキにやろうぜ(越境する承継)〜 のイベントレポートです。

●イベント概要
人に新しい体験をもたらすプロダクトを生み出す、あるいは企業の組織、事業をデジタル化し変革する(DX)、いずれも容易ならざる取り組みです。今、こうした取り組みの中心は東京にあるでしょう。一方、 東京ではない地域、地方 においても、果敢な挑戦が始まっています。

特に、地方で アトツギ と呼ばれる人たちによる、これまでの前提を打ち破って前進しようとする 越境 が現実進んでいます。アトツギとは、何らかの家業を継ぎ、事業のリノベーションを行う後継者のことです。既存事業を現代のあり方にあわせて手直しする、再構築する。あるいは既存事業を立て直しつつ、新規事業へと踏み出す。今回は、そういった挑戦をあふれるガッツとパッションで支えながら、不確実性の高い領域へと突き進むアトツギに焦点をあてたいと思います。

テーマは、「地方アトツギとともに不確実性に挑む」です。事業作りには、仮説検証とアジャイルの考え方が必要です。どのようにして、地方で取り組んでいるのか深掘りします。

今回のような取り組みを発信することで、より地方での越境を後押ししていきたい、そうした思いから本企画を立ち上げました。
地方でアトツギを挑戦されている方、そうした方々を後押しされている方、ぜひオンラインでご参加下さい。


■地方アトツギとともに正しいものを正しくつくる

市谷聡啓さん[ギルドワークス]

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photo by @araratakeshi

※途中から参加
●変化の影響が大きい
  大企業
  国・自治体
  地方(アトツギ)
・この3つがこれまでの日本を作ってきた
  そして逆境でもある

●地方アトツギ
・東京以外の地域
・長年事業活動
・地域インフラのビジネス
  地域を支えるものづくり
→既存があるからこそ、ビジネス的な進展に苦しんでいる
・アトツギは他の会社で修行
  戻ってきて後を継ぐ
・修行時代のつながりで新しい事業を立ち上げる

●新規事業 = リソース x 切り口
・手段は今までのものを使って、活動を変えていく

●状況はスタートアップに近いが
・既存と新規の2事業を同時に背負う
・推進者は1人しかいない

●伴走が必要
・既存事業は、カイゼンが必要
  テコ入れ、モダン化
・新規事業は、スタートアップ
  大企業なら分担するところを一人で
-> 受発注ではなく自発的な関係が必要

●可能性
・地場の顧客基盤がある
  地域にいかされている
  潰さないための動きがある
・長年で培われた強み
  企業により様々
・アトツギの存在そのもの
  事業づくりで最も必要なモノ = 意思
    ガッツとパッション
  人に頼まれたものでもない、正解もない中でやりきる
  長く続けていくと優先順位を変えなければいけないことが色々ある
    巻き込みが必要
  -> 背水の陣だけどあかるい

●不足しているものは?
・事業づくりの専門性とリソース
-> わたしの専門性はというと

●仮説検証型アジャイル開発
・アジャイル開発
  何をつくるべきかの正解が誰にもわからない
  作りながら学んでいく
・仮説検証
  どういう方向性に進んでいくのかを探していく
  仮説を持って検証していく
-> 分からないことを分かるようにする戦略

●選択を段階的に進めていく
・目的選択の段階
  どういうコンセプトを選ぶのか?
・実体選択の段階
  価値を感じてもらえるのはどこなのか?
・手段選択の段階
  全体に影響する部分はどこか?
・順序選択の段階
  どこから形にしていくのか?

●学習と意思決定を反復化かつ段階化
・B2Bで目的、実体、手段を決めてきた
  順序選択の段階で、間違いに気づいた
  B2Cの方が良さそう
・こんな状況だってありえる
  どの段階でもやり直す必要がある
・この選択は、全員で背負う必要がある

●活動してきたこと:千葉
・石井食品
  石井さん
  来週イベントで話します

●活動してきたこと:静岡
・いちぼし堂
  北川さん
  偶然出会って活動を進めてきた
  静岡にはアトツギが他にもいる
  -> 静岡アトツギコミュニティ立ち上げ
・2つのプロジェクトを進行中
・アトツギの事業づくりは上場が出口ではない
  短期的な成果ではなく、長く続けられる価値があるのか
●コミュニティ型事業開発
・Pros
  ぼっちな事業開発
  アトツギ仲間と状況を共有しながら進める
  利害関係がない強力な協力者
  「進めないといけない」プレッシャー
・Cons
  求心力に欠ける
    なんのために集まってるんだっけ?
  具体的な問題解決につながるかは集まっている人次第
    課題はそれぞれで別のものを抱えている

●活動してきたこと:鳥取
・アトツギベンチャー*キャンプ
  15人くらいで進めてきた
  KOMATSU 岸田さん
●プログラム型事業開発
・Pros
  ぼっちな事業開発
  アトツギ仲間と状況を共有しながら進める
  専門性で協力できる
・Cons
  ※ネットワーク不調で聞き取れず

●活動してきたこと:大阪
・電気屋さんのDX
  つなぐファクトリー 佐竹さん
●伴走型事業開発
・Pros
  一緒に考えて進めていく
  事業の状況を踏まえた専門性提供
  進行や計画を状況よって決められる
・Cons
  相手を選ばないといけない
    当事者意識の度合い
  相応のコスト

●伴走型をもっと進めていきたい
・「地方のほうが越境してる」な状況を


■越境する承継、いかにして事業を立ち上げるか

佐竹隆さん[つなぐファクトリー]
市谷聡啓さん[ギルドワークス]
北川信央さん[北川グループ]
岸田将志さん[KOMATSU]

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photo by @araratakeshi

●自己紹介
・北川さん
  静岡
  材木、加工、人材サービス
  いちぼし堂
    保育園、コワーキングスペース、レジデンス、テラスの建物
    東京でスーツを着て仕事をしていた
    静岡の工場に帰ってギャップを感じた
    子供を預けて働ける場をつくった

・岸田さん
  鳥取
  靴屋
  衝撃的な映像
    靴がゴミのように流れる->大幅値下げ
  靴を大切にする事業を立ち上げた

・佐竹さん
  大阪
  サービスの立ち上げに多数関わる
  父の事業をデューデリ
    娘が継ぐことはない
    山形でプロパンガスを売る
    自主廃業はできない
  あのときに、こんな支援があったら他の選択肢もあったのではないか?
  -> 市谷さんと活動を始めた

●アトツギならではの課題は?
・北川さん
  圧倒的ぼっち
    従業員に愚痴なんて言えない
    母はいるが愚痴れば、情けない息子
  コミュニティをつくったあたりだと?
    何よりも楽しい
    支えになっている
  5フィンガーでいうと何本なのか?で、2だったときは?
    街をこうしたいとか
    構想していることが夢になってしまう
    構想から見ると2

・岸田さん
  良くも悪くも地域に根づいているので、正しい判断をしづらい
  お客様に新しいサービスをしようと思うと相談すると
    今までのしがらみからの意見だけ
    本業をしっかりしなさいよ
  ぼっちでフラストレーションを抱え込んでいた

●既存事業と新規事業の両方、ここは頑張るしかない?
・北川さん
  周りからカイゼンも新規事業も流行る、が当たり前の期待
  この危機感が原動力な部分もある

●事業開発の不確実性にどのように取り組む?
・市谷さん
  どうやっていちぼし堂でやっていく判断になった?
・北川さん
  そのときおかしかったのかもしれないw
  普通なら仮説検証する
  思いは強かった
  思いから繋がりができている
・市谷さん
  今考えると、一緒にやりましょう な会話になったのは不思議

・岸田さん
  webのサービスで靴のメンテナンスをする事業を始めた
  webを全くわからないところからスタート
  webサイトつくります、な企業に相談
    今考えると見当違いなアドバイスをもらっていた
    市谷さんと会話して、正しい方向に変えられた
  やりたかった内容があったが
    6回のプログラムで検証する中で
    「これは必要とされてないな」を実感する機会があった
  伴走の大切さを感じた
・市谷さん
  1週間あけて会話すると方向性が変わっていることもあった
  影響を受けたときかもしれない
  短期と長期の事業の成功では、求められる視座が違う
    もっと声を聞きに行ったほうが良いことも

・佐竹さん
  父の事業は幅広かった
    カー用品、絨毯、電化製品、食品
    なんでそんなに変えていくの?
      変えないとダメなんだ
      ずっとは続かないもの、やめていきたい
    流れに乗る必要がある
  必ず/絶対 と考えると固まってしまう
    視座を上げると、この人だったらどう思うか?を考える
  小さくはじめるのも不確実性との戦い方
・市谷さん
  複数の人の視点をもつのは難しい
  どう身につけましたか?
・佐竹さん
  話を聞く
    良い悪いのラベリングはしてしまう
    その人なりの物語の作り方が見えてくる
  医療の事業をしているが、医者は全然わからない
    ヒアリングしていくとだんだん人が見えてくる
    知らない人に聞くほうが楽しい
  会長、社長〜実務を行う人まで繋がりを考えていくと
    その人なら、そう考えるよねに納得できる
・市谷さん
  二項対立ではなく、なんでこの人はこう考えるんだろう?
  という問いを持つこと自体が難しい
  どうやって身につけました?
・佐竹さん
  段階がある
    受け入れ、共感、波長が合う
  嫌だという感覚は大切にしている
    全てに合わせる必要はない

●デジタル、IT、アジャイルに期待するところは?
・市谷さん
  事業をやっている人から見ると
  これらのワードはどう映っているんだろう?
・北川さん
  ビジネスモデルなど仕組みを知ることが好き
  事業を改めて見つめ直すのは怖いもの
    そのきっかけになる
  保育園xデジタル、シニア活用xデジタルは遠い
    シニアが活躍できるようにカイゼンしていった
    振り返るとアジャイルだった

・岸田さん
  鳥取でアジャイルを正しく知っている人がどれだけいるか?
  パッションはあれど、どう伝えていけば良いかもわからない
    正しく伝わることが前提としてある
  地方にいると踏まないといけないステップが多い
    知って、伝えていくことが大切
    自分が走ることが大切

●資金調達はどうしましたか?
・北川さん
  借りた部分もあるし、自己資金も
  長くやっているから信用は強い
・佐竹さん
  経験から見える事がある
    融資の人はどうすると稟議が通しやすいか
    継承するとき、M&Aで見るポイントが違う
・岸田さん
  新規に事業を立ち上げたときは地銀から借りた
  これから立ち上げる事業は、エンジェルな投資家と直接話して

●どうやってやめる判断をしましたか?
・佐竹さん
  東京で通販を2年やった
    山形の食材を東京で売る
    2005年ごろ
    ECが盛り上がってきたころ
    既存事業を一部ECに置き換え
  「2年で年商2億いけば続ける」を決めた
    いかなかったからやめた
  やりたかったのはなんだっけ?
    サンクコストは高い
    自分ができていないことはたくさん見えてくる
  やめることで次ができるようになる
    バッターボックスに立たせてもらえるありがたみを感じる

●これからの事業開発で考えていることは?
・北川さん
  「居場所」は日本独特の言葉
  働き方、遊び方、生き方のレシピ
  静岡という街を発信していく
    発信する材料は原体験からしか得られない
  ワクワクがないとみんなが辛い
    自分が楽しみながら進めていく

・岸田さん
  靴を大切にする世の中をつくりたい
  鳥取は家賃が安いから、保管できるスペースが取れるなどは後付け
  先にあるのはパッション
    つくりたい世界観を、色んな人と共有しながら作り上げていきたい
  鳥取でもできるんだを見てほしい

・佐竹さん
  人の動線を変えたい
  建築に関わっていた
    ヒトがどう動いて、どんな場にしたいかを説明する
    これが好きだな、やりたいと感じている
  ローテーションを組みながら、人の動線を変えていきたい
    医療、教育、地域ビジネス
    ボランティア、勉強、収益

・市谷さん
  ひとりでは全然足りない
  興味がある人は一緒にやっていきましょう!


■次回予告

・1/29 石井食品さんとの千葉での取り組みの話
・2/10 二項対立世界を超えるために何から始められるか
・3/7 DevLOVE 300 Journey
  カイゼン・ジャーニー
  正しいものを正しくつくる
  チーム・ジャーニー
  全部話します!


■感想

自分には何ができるだろうと考えると、この辺りになるのかなと思います。

・思いを整理して輪郭をつくる
・複数の職種での視点と視座の切り替え
・問題発見、課題解決の発想
・プロセスのデザイン、構築
・システム、情報のアーキテクチャ整理
・カイゼン、ムダ取り
・より楽で安全に、早く多く価値を提供するアプローチ

「この段階でピンポイントで必要」というよりは「必要な時に必要なことを見つけて動く」役割がしっくりきそうです。これまでの現場でも自然と伴走する形になっていたので、伴走型なら役に立てるのかもしれないなと感じました。

登壇者の皆さん、運営の皆さん、ありがとうございました!


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