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本は売っても売れない。売れるまで売らないと売れることはない(シリーズ「50歳から評論家になる方法」-5)

長いタイトルで、昨今の出版業界の苦しさを表現したつもりです。言いたいことは、書く側も書いて終わりではなく、売れるために頑張らねばならないということです(よっぽど有名な文筆家は別でしょうが)。むしろここからが本番。

このたび、『平成Jポップと令和歌謡』(彩流社)と『EPICソニーとその時代』(集英社新書)という2冊を世に問います。つまりは、もう完成しているのですが、「これで終わり」という安堵感よりも、「ここからが勝負」という緊張感が走ります。

まず売られるのは「初版」。今どきこれは「最低限のロット」。出版社も書き手も、まぁ損はしないギリギリの線。つまりは「重版」となって初めて、出版社も書き手も、初めて利益が出るという感じ。

なんで本が売れなくなったのか。まぁ色んな理由はあるでしょうが、スマートフォンの存在は大きいでしょうね。我々の視覚に関する時間シェア(占有率)という概念があれば、今やスマホが、本や雑誌、新聞を大きく超えるシェアを獲得しているはずですから。

話は変わりますが、BS-TBSの『関口宏のもう一度!近現代史』という番組をよく見ています。この番組に出てくる保阪正康という歴史学者の話がとにかく凄い。第二次大戦に関係した人たちについて、徹底的に調べて、徹底的に話を聞いている。

そんな保阪正康氏の凄味を感じながら、私は、「あぁ、こういう強烈な知性を、出版業界は育ててきたのだなぁ」と思うのです。加えて、「出版業界の衰退は、こういう人・こういう文化をも衰退させるのだなぁ」とも思って、半ば絶望的な思いになったりします。

話を戻すと、私の2冊は、ジャンルで言えば評論、それも音楽の。このマーケットは、出版業界の中でもかなり小さい。音楽本なんて、普通の書店だと棚自体がない。それらしき棚があっても、教則本とかサブカル本と一緒くたに並べられていることが多い。

と、書いているうちに情けなくなってきますが、結論としては「ここからが勝負」、発売されてからが勝負ということです。戦いは、果てしなく続きます。

保阪正康氏ほどではありませんが、決してネットには落ちていないレベルで、色々とちゃんと調べて、また色々と話を聞きました。今週発売される『EPICソニーとその時代』の最大の売りは、佐野元春と、伝説のプロデューサー・小坂洋二への、それぞれ20000字を超える直撃インタビューです。

目次はこんな感じ。

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話題作りのためなら、イベントもがんがんやります。ぜひご参加ください(あ、今後サインやラッキーコードもがんがん書きますよ)。

このご時世に「音楽評論家」という古めかしい職種名を掲げるのには勇気が要ります。それでも、評論・批評という文化を再興していきたいと思っているのです。だって、楽しいから。まずはこの2冊から。

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