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沖縄勢の応援歌として、これ以上ふさわしい曲はない~喜納昌吉&チャンプルーズ『ハイサイおじさん』(2010年記)

この番組を見て、『週刊ベースボール』誌にむかし、関連する記事を書いたことを思い出した。いい番組だったが、大野倫(沖縄水産)や島袋洋奨(興南)の話も組み込んでほしかった。以下、そのときの記事。

夏の甲子園について書くのは今さらな感じだが、あまりに見逃せない話なのであえて書かせていただく。

「ハイサイおじさん」は沖縄勢の応援歌として甲子園でも定着していたが、今大会では、酒浸りの男性を題材にした歌詞が「高校野球にふさわしくない」との投書が地元紙に寄せられ、2回戦から一時自粛された。

スポニチアネックス2010年8月22日

以下、かなり生々しいのだが、この曲ができた背景をあえて書く。

地上戦、集団自決。凄惨な沖縄戦の影響で、精神に異常をきたした母親が娘の首を斬り落とし、その影響で父親が酒に溺れた。子供のころの喜納昌吉がその父親にささげた曲がこの『ハイサイおじさん』だという。

教育的観点で「酒浸りの男性を題材にした歌詞が『高校野球にふさわしくない』」のだとしたら、沖縄戦の現実から目を背けることはもっと「高校野球にふさわしくない」だろう。

逆に、そこまで考えないのなら、歌詞の意味にこだわらず、沖縄代表の応援団みんなが盛り上がる曲を、ただ単純に演奏すればいい。

しかし、ファンや応援団からの要望で20日の準決勝から復活。(註:喜納昌吉氏は)「歌詞はつらい過去を背負った社会的弱者の男性のことをおおらかに歌ったもの。“ふさわしくない”というのは違うと思っていたので、復活してよかった」と話した。

スポニチアネックス2010年8月22日

興南高校の輝かしい優勝。

沖縄勢初の夏制覇。その歴史的快挙のかげに、この歴史的傑作『ハイサイおじさん』があった。この事実こそ「島人ぬ宝」だ。

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