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#01【NZ旅行記】女子サッカーW杯ときどき珈琲

今年の夏、女子サッカーワールドカップを観るためニュージーランドに行ってきた。訪れたのは、首都ウェリントンと、ニュージーランド最大の都市オークランド。

ニュージーランドは南半球に位置する島国で、北島と南島、そして小さな島々から成り立っている。これまで旅の候補地になったことはなく、初めてまじまじと地図を見た。つるりとした海岸線の単純な地形をイメージしていたが、拡大して眺めると、複雑にいりくんだ場所もあり、こんな所にもあんな所にも島があるんだと気付く。

ニュージーランド
ウェリントン
オークランド


いつも旅を計画する時、とことん楽しむことを決める。今回のテーマは、サッカーと珈琲だった。ウェリントンでなでしこジャパンを応援し、試合後に女子サポーターとタオルマフラーを交換し、オークランドで「USA!」コールをし、とっておきのカフェで美味しい珈琲を飲もうと。

予定はこんな感じ。

旅の後半は何も決めていない……


女子サッカーを観に行く理由

ニュージーランドでサッカー旅ができる。それだけで魅力的だった。行ったことのない国、まだ見ぬスタジアムは、いつだって旅心を刺激する。

昨年くらいから、欧州女子チャンピオンズリーグ準決勝の観客数が9万人を超えたとか、アメリカでは女子サッカーの平均観客数が前年から40%以上増えたとか、信じられない数字のニュースを目にするようになった。
しかし、9万人のファンが女子サッカーに熱狂している様子が全く想像できなかった。だって……、日本にはまだそんな波がきていないから……。
どんな人たちが観に来て、どんなファッションで、どんなふうに歓喜するのか見たかったし、男子ワールドカップと何が違うのか興味があったし、自分自身がスタジアムや街で何を思うのか知りたかった。
そして、女子サッカーの歴史を振り返ったとき、この大会がターニングポイントだったね、となるような気がしていた。だから現地の空気をいっぱい吸い込み、ありのままの姿を見て、心に記録しようと思った。


出発3時間前、事件が起きた!

予約していた成田エクスプレスに乗り、予定どおり早めに成田空港に到着した。ここまでは順調だった。
チェックイン開始と同時にカウンターに向かい、パスポートと予約内容を確認してもらい、スーツケースの重量を計り、さて搭乗券を……と思ったら、最後にNZeTA(NZ電子渡航認証)の許可通知の提示を求められた。私はたまたまスマホで確認できたのだが、夫は何も無いと言う。

「確認できるものがない場合、チケットは発券できません」
丁寧かつ冷淡に言われ、スーツケースを返却されてしまった。

……。
えっ……。
行けないの……?

申請情報とパスポート番号が紐づけされているから、何も要らないと思っていた。NZeTAのアプリ(申請専用アプリ)で情報を確認できないかと起動してみたが、「現在メンテナンス中」とメッセージが出た。自宅のパソコンを確認してくれる人もいないし、家に戻る時間もない。
何とかならないか泣きつくと、「再申請するしかないですね。通常は申請して10分ほどでメールが届きます」と言われ、再び手数料4,000円を払って申請した。

しばし待つ……。

アプリはメンテナンス中だし、ニュージーランドは夜の9時だし、嫌な予感はしていたが全然メールが届かない。刻々と時間が過ぎていく。
別の手立てがないか調べると、同じように絶望の淵をさまよった人がいるようで、方法がいくつか示されていた。どうにかこうにかして(別で詳しく書く!)申請番号、有効期限を確認し、搭乗券を手に入れることができた。

ホッとしたのも束の間、再び事件が起きる。

今度は、今しがた使ったクレジットカードが財布に無いというのだ。

「ちょっと落ち着こう!」
「ズボンのポケットとか、カバンのポケットとかに入れたんじゃない?」
あらゆる所を探すも見つからない。まじで?

落とし物がなかったか聞いてみようと、歩いてきた場所をたどっていくと、床にペラッと落ちていた。
奇跡の再会!!!

この先さらに事件が起きる気がすると、夫は空港で一番高額な旅行保険に加入した。

「トラブルでスタートなんて旅っぽくて最高だね!」と笑える余裕はなく、不安な気持ちで旅が始まった。

カットフルーツが出てくると思ってフルーツの朝食にしたら、予想外のバナナだった。
機内から


せつない夜 スイスvsニュージーランド

ゴールドコーストとオークランドで乗り継ぎ、夕方ウェリントンに着いた。
ホテルの部屋に荷物を下ろした時、やっと搭乗前のハプニングを笑うことができた。

気温は10度。日が沈むとダウンが必要なくらい冷える。
夕飯を食べるためホテル近くのステーキ屋に向かうと、店の外も中もやけに人が多く、「今日は予約でいっぱい」と断られた。
店内の大型モニターを見て、今日はスイスvsニュージーランドの試合があるんだと気付いた。店内は試合を観る人で満席で、店の外にもモニターとストーブが設置されていて戦況を見つめる人が大勢いた

ニュージーランドのグループAは4チームすべて突破の可能性を残していて、ニュージーランドは、勝てば決勝トーナメントに進出、引き分けだと他国の結果次第という状況だった。一方、対戦相手のスイスは引き分け以上で進出確定だった。

せっかくだから現地の人と一緒に応援したい。

同じ通りにある店に入った。ステーキ店と比べると、それほど熱気はなく、会話を楽しむ人、静かに見守る人が多く、大型モニターの前でビリヤードに興じているカップルもいた。
今日は大事な試合やぞ!

最も関係のない私たちが一番悔しがったり、得点チャンスに興奮したり、熱狂していたと思う。

ハーフタイムに、「ワールドカップの熱狂を知ってる?」と声をかけられた(いま思うと盛り上がってる?という意味合いだったのかも)。ワールドカップのこと、ニュージーランドの選手のことを色々教えてくれたが、英語力と選手の知識が無さすぎて会話はいまひとつ盛り上がらず、後半が始まると各々の席で観戦した。

同じグループのノルウェーが前半を3-0で折り返していたため、ニュージーランドが次に進むには勝つしかなかった。残り時間が少なくなると「なんとか1点を」と祈るような展開になってくる。しかし、スイスの守りは堅く、スコアレスドローで終了。ニュージーランドの敗退が決まった。

魂が抜けたような表情でモニターを見つめる先ほどの女性が目に入ったが、かける言葉が見つからず、そっと店を後にした。

旅行中、ふとしたときにこの情景、女性の表情を思い出し、一緒に観戦すればよかった、せめて帰り際に声をかければ良かったと思うのだった。

あと、「スタバで注文が出来るレベルの英語」をなんとかしなきゃだな!

珍道中は、#02へつづきます。

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