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変わらないものが好き


変わらないものが好きです。

勘違いしないで欲しいのは、
人や物ごとが「進化」することに関しては
ものすごく素晴らしいことだと思っています。

私のいう変わらないものというのは例えば、

昔からある喫茶店やレストラン。
生き残りの建築物や古本。
メニューの変わらない定食屋さん。

そういうもののこと。

いつまでもずっと、
敢えて変わらずにあり続けていてくれるもの。


そんなふうに思うのは、
そういう場所やものたちに個人的に
思い出が詰まっているからかもしれないし、

あるいはただ単に
それらには歴史が乗っているからかもしれない。


でも、そういう理由以前に私は、
日々変化していくことよりも
敢えて変化しないでいることの方が、
ずっとずっとすごいことだと
かねてから思っているのです。



わたしがそう感じているものの
最たる例は、スピッツ。

犬ではなく、バンドの方。

あのバンドは、
進化こそすれど昔から全然変わらない。

ずっと何も変わっていない。


だって、デビューしてから
いったい何年経ったんだろう?

私が物心ついたころにはもうすでに
ロック界の頂点に立っていて
老若男女の心を掴みまくっていたのに、
今だってまだバリバリの現役なのである。

じゃあスピッツは
あの頃からどれだけ良い方に変化したんだろう?
どの変化がそんなに良かったんだろう?
といくら考えてみても、

声も演奏もメンバーも考え方も何もかも、
あの頃からほとんど何も変わっていないのだ。

いい意味で、あの頃そのままなのである。

どういうことなんだ?と思う。

盛者必衰。

全てのものは必ず衰退するはずなのに、
何故マサムネさんの声はいつまでたっても
ちっとも枯れないのだろう?

何故、星の数ほどあるロックバンドの中で
ほとんど何も変わることなく
現在まで生き残ることができているのだろう。

どうしてスピッツは、
何食わぬ顔でいつまでも
そのままでい続けられるんだろう。

そもそも何もかもにおいて、
「変化」というものが好きでない私は、
いつまでもこういうふうに
自分の知っている頃のままで居てくれるスピッツを
心から愛している。

それはマサムネさんやメンバーの皆さんの
努力の賜物でもあるだろう。


でも。

スピッツならば
もしもそのスタイルが変わったとしても、
きっと私は「こういうスピッツも好きだな」と
心から言えるんだろう、と思う。

スピッツがもしもこれから変化するのなら、
私はそれについていくと思う。

それは、
スピッツが変わるとき(仮)というのは、
もっともっと誰かにウケるためにとか
もっとこういう客層を狙ってとか、
そういうマーケティング的な理由では
絶対にないと信じられるから。

スピッツが、
マサムネさんが変わるときというのは、
そこに打算的な理由はきっとなくて、
彼自身に何か変化が起きたときだけなのだ。

だから私はこういうふうに言い切れる。

あの人たちは、
売れるために歌っているわけじゃないし、
誰かに認められるために
音楽をやっているわけじゃない。

好きに歌っていたら、売れていたのだ。

彼らは、
この方が売れるとか、こういうのはウケないとか、
そういういわゆるビジネスの上に
自分たちが存在していることを知った上で、
その上で敢えて「変えない」ということを
選んでいるように私には見える。

つまり、
彼らがビジネス的に都合よく「変化」すれば
もっともっと売れることはできるけれど、

それよりも自分たちを変えない🟰信念を曲げない
ことを優先させているように見えるのだ。



純粋に人としての何かが変わること。

それは変化ではなく、「進化」と呼ぶのだと思う。

だから、スピッツがもしも変わるなら
それは全てが「進化」だと私は思うし、
変化をせずに進化をしてきたスピッツだからこそ
多くの人に愛されるのだとも思う。



こんなふうに、当たり前のように
昔と何も変わらずに居てくれることって、
簡単に変わってしまうことよりも
はるかに労力を使うことだ。

そりゃあそうだ。

何かを変えれば、
簡単に進化しているように見せられるんだから。

変わらないままで古いファンからも愛され続け、
さらに新規のファンも新たに獲得できるのは
どの分野においてもやはり
「本物」だけなのだ、と思うし、

逆にいえば、
自分たちの信念をないがしろにして
多くの人に認められるため売れるためにと
自分たちを変えて(曲げて)いってしまうほど、
淘汰されていってしまうのだと思う。


私はマサムネさんの、
自分を曲げない(曲げられない?)ところ、
まっすぐなところがとても好きなのだ。

売れるために信念を曲げることを、人は
「変わって」しまったなあと言うのだと思う。


現代人はみんな、
変化を求めて生きている気がする。

今日は、いつもと違うテイストの一日を。
また別の日は、こういうアレンジを加えて。

目新しく、ワクワクするような何かを
求め続ける毎日の中で、
ずっと変わらずにあり続けてくれるものというのは
私にとって現代のオアシスだ。

だから私はスピッツを愛している。

古い喫茶店や昔からずっと変わらない
場所やお店たちを愛してしまうのも、
変化が当たり前となってしまったこの現代の
心の拠り所🟰人生の一次的な待避所として
考えているからだと思う。

変わらない、ということは
私にとってものすごく大きな安心材料であり、
とてつもなくありがたいことなのである。




何をするにしても、信念を持つこと。

それは、
自分を大切にするということとイコールであり、
結果的に人からも長く愛されるコツなんだろう。

誰かに愛されるために生きていない人間の
まっすぐさ、孤高の美しさというのは
目を見張るものがある。

進化に見せかけた姑息な変化を遂げたものたちは、
必ず淘汰されると、私は思う。


ああ、
私もスピッツやお気に入りのあの場所のように、
たとえ変わったとしても
それを進化と感じてもらえるように
生きていきたい。


私の愛する変わらないでいてくれるものたちが、
細々とでも健やかに、続いていきますように。

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