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雪の日の朝に、温もりを感じた話

昨日の朝の話。
朝起きると、窓の外が真っ白になっていた。前日の夜から降っていた雪が積もったのだ。目分量で10センチ弱、職場の雪かきが必要な量だ。職場には30台停められる来客用の駐車場があるのだが、社員3人で雪かきをしなければならない。そう思い、いつもより早めに家を出た。


私は普段、JRで通勤している。駅に着いたら、運転見合せになったというアナウンスが聞こえた。ホームから引き返してくる人もいれば、粘り強く待っている人もいた。私は雪かきのことが気になりJRを諦め、遠回りにはなるもののバスで出勤しようと、バス停まで走ったところ、タイミングよくバスが走ってきた。

バスが到着すると「お待たせいたしました」とバスの運転手さんのアナウンスに迎えられた。朝イレギュラーなことがあった後だったので、ようやく心が落ち着いた気がした。


轍が凍った冬の朝の道路は、車に乗っているとガタガタ揺れる。バスはチェーンを巻いているのでなおさらだ。こういう時私は、車酔いすることがあり、不安になる。けど昨日は、安心して乗っていられた。運転手さんのアナウンスのおかげですっかり気持ちがほぐれたのかもしれない。

信号やバス停で止まる時は「停まります」、降りる人がいると「お気をつけて」、カーブが続く川縁の崖っぷちの道では「この先カーブが続きます。しっかりとおつかまり下さい」と、きめ細かくアナウンスが入った。しっかりとした冷静な話し方に、「プロ」の余裕を感じた。自分だったら、雪道の運転に精一杯になる。やはりプロは違うと感心(当たり前だが…)


そして、人の生の声ってなんて温かいのだろう。淡々とした機械音声なら聞き流すところが、しっかりと心の中に入ってきた。

バスを降りると当然のことながら、外は寒かったが、心には温かさが残った。気がつくと、朝早くて疲れたことや出勤後の雪かきへの憂鬱な気持ちもすっかり吹き飛んでいた。