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【⚽️日本サッカーを愛そう】【ジュビロ磐田】名波さんと若手問題に終止符を打つ。

小川航基選手のJ2得点王とMVPのW受賞。
伊藤洋輝選手のワールドカップ選出とモウリーニョ熱視線の噂。

磐田を経由した若武者たちの活躍は、今では日本サッカー界の1面を飾れるまでになった。母体の成績や運営がままならない現状において、これらのニュースは藁にもすがりたい僕ら(磐田サポ)の一筋の光

しかし、
同時に何とも言えぬ罪悪感が胸の奥にこびりついて諸手を挙げて喜べない自分もいる。
理由は他でもない。彼らにとって磐田時代はどうだったのかと考えると素直に胸が痛いからだ。

特に、名波監督下の彼らは不遇の時代だったのではないか。


それは針谷岳晃、藤川虎太朗、上原力也ら大物ルーキー達にとっても同じ。唯一開幕スタメンで使われた大南琢磨が、これからという時に磐田を出ていってしまった事実が虚しさに拍車をかける。

よって、

名波は若手を潰している。

そんな通説がはびこるようになり、かく言う私も肯定側の人間であった。



■終止符

しかし名波さんが嫌いか、と問われれば絶対にそんなことは無い。
数えきれないほどチームのために尽くしてくれたし、何度もゴールをプレゼントしてくれた。

覚悟をもって磐田の監督を受け入れてくれた時は震えるほど嬉しかったし、他のチームへ移ったとしても心から成功を祈っている。

それ故、
名波さん×若手育成という、これらを掛け合わせて見た時の腑に落ちない感じというのは、大の名波ファンの私にとって実に苦しいものだった。

しかしそれも本日を以って終止符を打とうと思う
答えは大方この記事の中にあった。


結論から言うと、
やっぱり名波さんは最高で、それ故に名波さんは若手の育成を間違えたのかもしれない。

キーワードは、「一級品」と「正論」。
少し整理してみたいのでお付き合いいただければ。



■一級品

まず何と言っても、
名波さんが若手の将来を嘱望し、大きな愛情と意図をもって接していたというのが十分読み取れたことが嬉しかった。

パラグアイ戦の後に伊藤洋輝としっかり会話していたのも嬉しかった。彼らは当時、磐田とは全く関係のないドイツと松本にいたはずだ。

名波さんは若手よりベテランばかり見ているのではないか?という憶測はゴミ箱に捨てることとしよう。
初めての代表戦を終えて高揚感たっぷりのかつての教え子に対して「まだ三流」と言い放ち発破をかける所もいかにも名波さんらしい(笑)。
今ごろ伊藤洋輝もカタールでスペイン代表やブラジル代表のユニフォームを見ながら名波さんの偉大さを肌で感じているかもしれない。

中田英寿に「翼くん岬くんの関係」と言わしめ、中村俊輔や香川真司がお辞儀をしながら握手を求めてくる男だ。
外野の僕らが何を言おうが日本サッカーにおいて彼より”優れたもの”を見てきた男はいないだろう。


そんな名波さんが、サックスブルーを纏った若手たちに自らの意見と経験を還元していた。

名波さんの経験が一級品であることは間違いないし、磐田の監督時代にそれを若手たちに惜しみなく与え続けていたことも間違いない。
そう、あの頃のジュビロ磐田は間違いなく夢の環境にいた。

ではなぜ、
名波は若手を潰している。そんな通説がまかり通っているのか。


理由は、「正論」の難しさではないだろうか。



■正論

僕は一般的に、正論は必ずしも正しくないと思っている。
正論なのに正しくない。矛盾しているけど世の中を俯瞰して見ると恐らくこの論調は正しい。


例えば仕事に対して「やる気が起きない」と悩んでいる人に、
給料はどのように捻出され、それ故に給料を享受する人はどのような行動をするべきであって、つまりそれが働く理由なのであって・・・などと話したところで
「うん!そうだね!確かにその通り!がんばる!!」
とはならない。

それどころかその正論が、正論であるが故に相手の自尊心や自己嫌悪を逆撫でして、むしろ逆効果を生むことすらある。


極端な例を出したけれど、
名波さんの若手への指導方針はこれに近かったんじゃないかなと、そんな風に想像する。


つまり、
正論は間違いなく正しいけれど、ただシンプルにそれを振りかざすだけでは多くの場合それは正しい効果なんて生まないということ。
特に失敗経験の少ない”未熟の王様”である若手にとっては、腑に落とす方が無理がある。

名波さんは、
指導者としての経験不足、あるいは思考が一級品過ぎるが故に、若手への接し方を間違えた。

僕はそう読み解いた。


Jリーグの場合、特に外国人監督がこの辺のやり方が上手い。札幌のミシャさん、東京のアルベルさん。
今シーズンの広島の強さを探るために記事を読み漁っているけど、スキッベさんもこの点に関してはかなり長けていることが分かってきた。

ちなみに分業制を敷いてもいいと思う。正論を述べて”行く先”を示す監督と、それを咀嚼して若手に具体的な”道”を伝えるベテラン。
名波さん時代の後期は、(狙っていたかどうかはさておき)中村俊輔がその役をしていたようだ。

記事の中にも
「俊輔がいなかったら、終わっていたかもしれない」
と名波さんが回顧しているように、伊藤洋輝はこの”分業制”のおかげで今がある。


ありがとう俊さん。改めて。



■簡単ではない

とまぁ思うところを色々書いてみたものの、
一般の会社組織においても理想的なチームビルディングなんて至難の業なのであって、
我の強い集団(プロサッカーチーム)においてそれをまとめるボスとしてのスキルは並大抵のものではないだろう。

加えて、
ジュビロ磐田が自称・伝統あるクラブであり、失敗してはいけない十字架の元にあったというのも名波さんにとっては不幸でしかなかった。


前述した外国人監督にはいい意味でクラブの伝統とのしがらみが無い。故に無駄に肩に力が入ってないし、もっと自由が与えられている気がする。

”試合で使う”とは若手に物事を伝える一つの方法でしかないと考えているのかもしれない。
それぐらいの余裕を感じる。

名波さんが任されたジュビロ磐田には、そんな余裕は無かった


余談だが、
鹿島率いる岩政さんに同じ雰囲気を感じてしまう磐田サポは多いのではないだろうか。彼は大学での指導経験はあるが成功していたとは言い難い。

その流れで伝統あるクラブにレジェンドOBとしてやって来て、失敗してはいけない十字架の元で監督をすることになった。
「常勝」は外せ、と自らに言い聞かせるように思い切った発言をしたが、これが吉と出るか凶と出るか、あまりにも賭けの要素が強い。

東京国際大の師岡選手が鹿島内定に決まった時、多くの人が「鹿島なら大丈夫」と言い僕もそれに倣ったが、実は少しだけ不安だなぁと思ったのが本音だったりする。

理由は他でもない。岩政さんが多くのプレッシャーに押されて正論監督になってしまわないだろうか、そこにある。



とにかく。
名波さん監督時代と若手育成問題については個人的に終止符を打ちたいなと思う。

やっぱり名波さんは最高で、そしてやっぱりあの頃の若手育成は上手くいっていなかったという結論をもって。

それは不幸でもあるし残念でもあるが、全てが無駄だったとも思えない。
薫陶は間違いなく薫陶だし、あの時期があったから小川航基はMVPになったし、伊藤洋輝はワールドカップに選出された。きっとそうだ。

そもそも中村俊輔は名波さんがいたから磐田に来たし、若手だってその他のベテランだって、究極的には僕たちサポだってそうじゃないか。


育成に前例なんてない。
それは指導を受ける側(選手たち)が全て違うのだから当たり前だ。そしてその違いが個性だし、結局はその個性が唯一の武器だったりする。


つまり肝に銘じなくてはいけないのは、指導者は指導者でしかないという事。最終的にはやっぱり”自分”なのだ。



個性こそが武器。
そういう意味では名波さんだって監督としての個性を磨いている最中なのさ。

終止符は打ったが、僕が名波さんを応援することは変わらない。いつだって成功を祈っている。





本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!



難しいことは抜きにして、名波さんの背中を追えばいい。




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