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【⚽️日本サッカーを愛そう】【ジュビロ磐田】勝ち癖。

ギリギリの状態で勝敗を分けるものは、運でも実力でもなく「勝ち癖」だと思う。そんな話です。


例えばこれも、その一つ。

サッカーというのは単純な競技だ。22人の男たちが、90分間、ボールの後を追いかけ回す。そして最後にドイツ人が勝つ

どんな努力も、どんな勢いも凌駕してしまう世界がそこにあるというリネカー(イングランド人)の言葉。
正確にはそんな現実は無いはずなんだけど、恐ろしいことに”ある”と錯覚して、そして錯覚した者は敗北へと堕ちていく。

後に回顧したとき、
アレはなんだったのだろうと少ないくない後悔と、次への決意を胸にするのだが・・・気付けばやはり次もまた、最後にはドイツ人が勝っている

その正体は他でもない。
ヨーロッパにおいてドイツが過去から積み上げて、そして所有していた唯一無二の魔力。すなわち「勝ち癖」だ。


奇しくも先日のカタールワールドカップでこの名言が崩れ去っていく様を我々日本人は目の当たりにしたわけですけども・・・それでもなおこの「勝ち癖」の重要性は、特にスポーツの世界で健在ではないでしょうか。

今回はそんな話を整理してみたいと思います。
今シーズンのジュビロ磐田にとって重要な要素になるはずです。



■2013年に起きた奇跡

大好きな記事があります。
記憶されている方も多いのではないでしょうか。

13年の北海道秋季大会で、1年生だけの野球部員5人にスキー部、帰宅部の助っ人4人を加えて臨んだ双葉(現小樽双葉)が、3戦連続コールド勝利で、代表決定戦まで勝ち上がった。
日刊スポーツより抜粋

漫画のような、実話。

このドラマの主役は、助っ人であったスキー部の先輩。
弱小高校野球部に舞い降りた助っ人は、全道高校スキー大会で優勝するなどの実績を持つ、「勝ち癖」の持ち主でした。

初戦敗退の危機を救ったのは、スキー部の蔦有輝中堅手(2年)だった。
小樽桜陽との1回戦、4回表に1-3と逆転される。2度の捕逸で失点を招いた三上真司捕手(1年)がうなだれる。静まるベンチの中で、蔦が声を上げた。「まだ、ここからじゃないか!」。その裏、その蔦が、渾身(こんしん)の左越えソロを放つ

カッコいい。今改めて読み返しても鳥肌が立つ。


彼の辞書には初戦敗退という文字など無かったのではないだろうか。勝つこと以外あり得ない。負けるという概念が無いから、物理的に負けは”あり得ない”。
そんな超シンプルにして、力強いロジック。これが勝ち癖の正体。そんなはずはないと思いつつ、ものすごい説得力があります。


そしてこれは、かつての静岡サッカーにも当てはまるものでした。



■90年代の清水商業とジュビロ磐田

たとえ先制されても、もともと誰かが書いたシナリオに沿うようにして逆転し、最終的には清商が勝つ。黄金時代と言われていたジュビロ磐田もまた然りでした。


ジュビロ磐田が再び黄金期に戻るためには、相手チームの主力や指揮官にリネカーがかつてつぶやいたあの言葉を吐かせなくてはなりません。
「結局最後はジュビロが勝つ」と。

では、
どうしたらそのようになれるのか。

答えはひとつしかありません。
勝つことです。勝ち続けることです。そしてそれを実現するために大事なのは、根拠など通り越したオレたちは強いという自信ではないかと思っています。


そんな単純なものでは無いという意見は当然ですが、今現在それを表現しているチームと、興味深い言葉があります。

何度かtwitterで紹介していますが、ここで改めて取り上げたいと思います。



■勝ち癖をつけつつある大津高校


練習では1番下手だと思い、試合では1番上手いと思いなさい。

僕はですね、この言葉が大好きです。
特に今回強調したいのが後半の”試合では1番上手いと思いなさい”の部分。このマインドこそが勝ち癖への第一歩かな、と。

思えば湘北高校の安西先生もここぞの場面で言っていました。「オレたちは強い」と(笑)。

県立高である大津は他の私立やユース勢に比べて資金や設備的に劣っているというコンプレックスがあるのだと思います。試合をする前から存在してしまうそんな潜在的なネガティブさを、この言葉によって払拭し奮い立たせているのではないでしょうか。

実際にここのところの大津は選手権でも結果を残しているし、私立高校やJユース勢をなぎ倒してプレミアリーグで最高成績を更新し続けています。


勝ち癖とは、一朝一夕で成されるものではありません。
だからこそ、こうしたマインドの部分からの改革が必要なのです。改善ではありません。改革です。自分の心に革命を起こすのです。



■ジュビロ磐田と、勝ち癖

では勝ち癖を身に付けるために、あるいは勝ち癖を植え付けるべく自分の心に革命を起こすためにはどうすればよいのだろうか。

その答えは先に述べた双葉高校の例に記載されています。一番効果的なのは、勝ち癖のある人たちと共にプレーすることです。

この人と一緒なら負ける気がしない。と、その気になっちゃえばいいのです。
そしてそんな単純で前向きな思考が、その人の実力を伸長させ勝負強さを助長させ、癖となっていきます。


現在のジュビロ磐田において、この癖の持ち主は紛れもなく遠藤保仁、そして盟友・大森晃太郎でしょう。
そしてスタメンではなかったにせよ、柏とマリノスで優勝を経験している大津祐樹、それから東京五輪で金メダルメンバーだったリカルド・グラッサもその部類に入るかもしれません。


しかし、彼らはいずれもかつてのドゥンガのような強烈な強制力は持ち合わせていません。
そしてそれとは別に、世代交代に失敗したジュビロ磐田の中にそのようなDNAが受け継がれていないのが何とも痛恨です。

今いるジュビロの若手は、そのほとんどがJリーグで勝ったことが無いのです。


しかし、
そんなジュビロ磐田において、勝ち癖というキーワードで俯瞰したときに今シーズンカギを握る男が2人いると私は睨んでいます。

一人目は川口能活。そしてもう一人は、杉本健勇です。

いずれもタイトル奪取の中心だった2人


特に川口能活コーチの入閣はジュビロ磐田にとって刺激的です。
名波さん、ゴンさん、服部さん、俊哉さんこれら全て勝ち癖の塊のような男達ですが、今の若い世代にとっては既におとぎ話と化している節があります。

今のジュビロ磐田にとって、最も鮮明な栄光はやはり2010年のナビスコ制覇ではないでしょうか。

その原動力だった男が「強くあるべき」と説いて磐田のトップチームに帰って来た。これは僕らのような古参が感じている以上に、今の現役世代にとって期するものがあるのかもしれません。

そして、
ナビスコ勝利といえば杉本健勇もまた然り。川崎相手に2発粉砕したセレッソ優勝の立役者。MVP獲得は我らが前田遼一と同じ経歴です。

昨シーズンはなかなか波に乗れませんでしたが、エリートかつ実績のある彼が、ジュビロの若手に勝ち癖を意識させる役目を担ってもらわなくては困ると、そう思うのです。
今シーズンが最終試験でしょう。結果と背中で勝ち癖の持ち主であることを証明して欲しい

多くのサポーターが、それを望んでいます。



■何はともあれ

新監督のもとで再び上位カテゴリーを目指すジュビロ磐田。

降格は痛恨でしたが、これを好機と捉えて再び勝ち癖を取り戻して欲しい。
上原力也が、森岡陸が、鹿沼直生が、松本昌也が、遠藤保仁や大津祐樹を納得させる堂々とした勝ち点3奪取の立役者になって欲しい。

川口能活コーチがヨルダン戦でPKを2本ストップしたのは偶然だろうか。選手権で城彰二に競り勝って全国制覇し、同じ国立で広島に競り勝ってナビスコカップを手に入れたのは偶然だろうか。プレーオフの仙台戦でゴールを割らせなかったのは単なる運なのだろうか。

きっと彼の辞書には、”負ける”という言葉がないのではないだろうか。


最後の最後には、勝ち癖を持ったやつが勝つ
徐々にでも構わない。でも確実に勝利を積み上げて、癖になるシーズンになればいい。

J2というのは単純なリーグだ。22人の男たちが、90分間、ボールの後を追いかけ回す。そして最後にジュビロ磐田が勝つ。




本日も、最後までお読みいただきありがとうございました!




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