見出し画像

紅茶日記:2021/9/17

一昨日、右目の視野の真ん中あたりに、炊く前の米粒より少し小さいくらいの欠損があることに気がついた。本当に小さいものだから、ものを見るのにほとんど影響はないのだけど、一度気づいたらかなり気になってしまう。視野欠損といえば緑内障か、と思って自己テストをしてみると、緑内障の例のように灰色っぽく欠けていることが自覚できた。かなり落ち込んだが、急いで病院を調べる。検査機器の揃った病院は木曜が休みだったから、昨日はおでんを作って気を紛らわせ、今日検査に行ってきた。

午前中に行った病院で緑内障の検査をするもどうやら違うらしい。ただ、右側の網膜がベコッとへこんで自然治癒している跡があるらしく、穴もあるようだ。網膜裂孔かもしれないということで、紹介状をもらって午後は網膜に強い病院に行く。

午後に行った病院でも大量の検査を行った。瞳孔を目薬で開きっぱなしにして、視野や網膜や血流や神経やらを、ちょっと恐縮してしまうくらい総動員で調べ上げていただいた。造影剤を点滴してもらいながら目の中を撮影されているとき、ふと、ブレードランナーの最初のシーンを思い出す。カメラの向こう側の周期的な光と、瞳を観察するモニター、そして腕の血管から流れてくる造影剤。技師さんがとりとめのない日常会話と質問をしてくる。大丈夫かしら。わたし、レプリカントじゃないわよね…?あまりのSF感にドキドキしてしまう。

5時間の総動員の甲斐なく、残念ながら原因は不明で再検査となった。網膜裂孔も問題ないようだ。こうなってくると、私の見えなさが勘違いなのではないかと恐ろしくなってくる。見えていることより、見えていないことを伝えるのはむつかしい。

4度さされた瞳孔拡大の目薬の効果で、目のピントは合わず、光がハレーションを起こす。近視のわたしが老眼になったら、逆に遠いところが見えるようになっていいじゃんと思っていたが、薬の効果で分かった。近視が老眼になると、何も見えない。遠いところも、近いところも、すべてがぼやける。近視のメガネをして、遠くと近くの間の、ごく僅かにピントの合う中間帯のみがはっきりと見える。読書も何もかもが難しい。

夜の街灯が放射状に広がっていて目に煩い。老眼と飛蚊症の親が夜にセレブみたいな大きさのサングラスをかけていた理由がわかる。視力のあるうちに、見たいものを見、書きたいことを書いておこうと決意する。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?