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第5回公認心理師試験Gルート完走の感想。

これは令和4年7月17日、Gルート最後となる第5回公認心理師試験を完走した個人的感想になります。まだ合格発表はでていないなかで言及することへの不安もありつつ、今ここで感じている感情を書き残したいと思います。

いざ、試験当日

思えば申し込みをしたのはまだ寒さが残る春先。
季節が巡り、想像以上の早い梅雨明け後の猛暑の日々、と思ったらまた再び梅雨入りしたかのような蒸し蒸しする天候の7月17日。
ついにGルート最後となる公認心理師試験が行われました。

数日過ぎたいまも脱力中。
いわゆる燃え尽きたといっていいのか身体も心も抜け殻状態の今、試験を振り返ってつらつらと書き残す備忘録。

みんなが気になる他人の自己採点はいったんおいておいて。

長丁場の受験を終えたつぶやき

質のよい問題が多かった。
難問奇問は少なかった。
事例は知識前提の問題が多かった。
最終的に2個まで絞り込めるけれど、どちらも自信をもって選ぶには微妙な選択肢が多かった。
確かに捨て問問題(見たこともない難易度の高い問題)と呼ばれる問題はあったけれどこれは想定の範囲内。

あくまでもいろいろなご意見があることは承知ですが、試験終了後の率直な個人的感想。

過去問を丁寧に解き(最低3周以上)、選択肢を含む周辺の知識まで広げて勉強をしてきた人にとっては、消去法などでじっくり考えて答えを絞り込むと答えが導き出せる構成になっていたと思う。

そして作成者の意図が伝わる内容であった。
もちろん、難しい問題も多くあった。
でも、せーしろーチャンネルの橋口さんも言っていたように、捨て問(見たこともない難易度の高い問題)が必ずあることは理解していたし、どれが捨て問に値するかは過去問をやっていれば感覚的に取捨選択できるものも多かった。

試験前日、まったく勉強が手につかず、机に向かってもソワソワ集中できない私にとって、せーしろーちゃんねるの橋口先生の応援動画は最高に最高に勇気づけられた。

捨て問でも導きだせる問

例えば、今回では医療系の問題の多くは私にとって捨て問だったが、難易度が高い捨て問でもすべて不正解ではなかった。
答えを導き出せるものもあった。

捨て問に該当する問88

問88 脈絡叢(みゃくらくそう)で産生され、中枢神経系の保護と代謝に関わるものとして、適切なものを1つ選べ。
1.血液
2.粘液
3.組織間液
4.脳脊髄液
5.リンパ液

第5回公認心理師試験

この問題を初見でみたらさっぱりわからない捨て問ではあるけれど、質問にはそれらしいキーワードがヒントとして入っていると感じた。

私の脳内・・・脈絡・・・叢?みゃくらくそう?ミャクラクソウ?はじめて聞いたよナニソレオイシイノ・・・
でも冷静になって考えてみよう。
「中枢神経」「保護」「代謝」がキーワードということは身体の内部にあるものと関連付けられるっぽい。
血液や粘液は抹消のイメージだからバツ。

組織間液、脳脊髄炎、リンパ液・・・
どれも怪しい。怪しいけど、「脊髄」って中枢神経であることは間違いなし。
ってことで4.脳脊髄液・・・カナ。
と思って勘もありつつ周辺知識を総動員して選んだ答えがなんとか正答。まぐれだけど一応考えた結果がつながった問。

Sullivan問題も前回に引き続いて出されたけれど、どれも捻られていてSullivanという名前を知っているだけでは答えられなかった難問。

問14 H.S.Sullivanの着想に基づく前青年期における互いの同質性を特徴とする仲間関係として、適切なものを1つ選べ。
1.ピア・グループ
2.チャム・グループ
3.ギャング・グループ
4.セルフヘルプ・グループ
5.エンカウンター・グループ

第5回公認心理師試験

過去問で勉強してSullivanは「自己を道具として」とか「巻き込まれることからは逃れられない」がキーワードだと知っていたけれど、チャム・グループなんてシランガナでした。
私の脳内・・・ギャングはさすがにちがうよね、エンカウンター・グループはロジャースだからバツ。
チャムなんて聞いたことないからバツ。仲間関係だから、ピアもセルフヘルプもそれらしいな・・・ピアかなセルフヘルプかな・・・
と悩んだ結果、セルフヘルプ・グループを選んで正答にかすらず撃沈。

問27〜問30は連続不正解で、自己採点しながら手が震えた。
医療系問題、難しい!
特に個人的に悔しい難問が問28

問28 慢性的なコルチゾールの過剰状態に伴う症状として、正しいものを1つ選べ。
1.低血糖
2.るい痩
3.眼球突出
4.けいれん
5.満月様顔貌

第5回公認心理師試験


私は医療従事者ではないけれど、医療系も専門分野に関わることだから、今回の試験対策では解剖生理学勉強法のゴロー先生には大変お世話になった。すっごくわかりやすいイラストで説明してくれ、神経系や大脳の機能局在あたりは何回も勉強した。

「コルチゾールの過剰分泌」「免疫力低下」「海馬萎縮」「クッシング症候群」「満月様顔貌」「中性肥満」あたりは自分の自作ノートにちゃんとメモしてたのに!
ゴロー先生のこの動画もみて勉強してたのに!
血糖までは導き出せたのに「低血糖」を選んでしまって悔しい!
やっぱりあの緊張感のなかで冷静に知識を思い出すのは至難の技だったなー。

このように捨て問のなかにも周辺知識を確実に固めていれば解ける問題内容になっており、旨味がでている問題も見受けられた。地道に知識を積み上げていった受験生には報われる問や構成であったことは評価できる。

受験者として試されている感が伝わる練っていた問題も多く、唸りながらも解いていて「わかった(かも)!」となったときの閃きがでてきた。
じんわりくるけれど味があるというか。

SNS界隈では、今回の第5回試験の難問に対して厳しい意見もあるけれど、奇問ではなかった点や過去問の周辺知識に紐付いている点などを考慮すると、個人的にはとても好意的に受け止めている。

メッセージ性を含んだ問

今回の試験の問題文にはメッセージ性が込められていると感じた。
例えば、問97。

問97 依存症者の家族や友人を主な対象とする自助グループに該当するものを1つ選べ。
1.断酒会 
2.ダルク(DARK)
3.アラノン(Al-Anon)
4.ギャンブラーズ・アノミマス(GA)
5.アルコホーリクス・アノミマス(AA)

第5回公認心理師試験

については正答は3のアラノン(Al-Anon)。
アラノンなんてはじめて聞いたよー知らんがなーの部類だけれど、断酒会もダルクもGAもAAも知っている単語であった。これらは当事者の会という知識まではあった。
依存症者の家族や友人の自助グループまでの知識はなかったけれど、消去法で3のアラノンを選んだ。結果、正答。
こういった問題のなかにメッセージ性も感じられる。

公認心理師として、当事者への支援は当然のことながらも家族や友人を含めた方への支援という視点も忘れちゃダメなんだ、ということ。
この問題から作成者が伝えたかったものは、アラノンという「知識」ではなく、公認心理師として羽ばたくものに対してその「姿勢」を意識させたメッセージなんじゃないかなと感じた。良問。

宮川ラジオの宮川先生が「院卒・現任者関係なく、全受験生を最速で置き去りにしていく問1」と評した個人情報の保護の問題。

問1 個人情報の保護に関する法律における「要配慮個人情報」に該当するものを1つ選べ。
1.氏名
2.掌紋
3.病歴
4.生年月日
5.基礎年金番号

第5回公認心理師試験

私の脳内・・・個人情報か・・・でも「要配慮」がつく個人情報・・・ということは普通の個人情報とは違うのか・・・
個人情報といえば氏名、生年月日。これはそのもの個人情報だから「要配慮」にはならないはず。
とすると、掌紋・・・なんて読むの?タナゴコロのモン・・・指紋でいいの?
指紋も重要な個人を特定する情報になりうるな。
病歴・・・これも超デリケートな情報だし、基礎年金番号・・・これも一人ひとりに割り当てられた番号。

どれもそれらしいけれどと悶々と考えるなかで一歩視点を引いてみる。
掌紋は犯罪や警察に紐付けられるから司法行政の情報。
基礎年金番号は年金事務所で扱う番号、いわば福祉行政の情報。
病歴はまさしく、医療分野、障害分野、公認心理師に求められるど真ん中。
ってことはやっぱり病歴が「要配慮」すべき項目じゃない?ということで3.病歴・・・カナ。
自信はなかったけれどなんとかクリア。

この問題が一発目にくるところから、公認心理師には個人情報の慎重な取扱いが求められていると感じた。公認心理師として当然、要配慮情報含めて個人情報には十二分に配慮するんだよといういうメッセージ性が感じられる良問。

ノーマークの統計問題

今回の試験では、統計問題が例年に比べて多くでた印象。
統計問題は知識がないと解けないので閃きは聞かなかったけれど、運良く紐付いたものもあった。
大学院で認知心理学を専攻していた私にはラッキー問題もあったけれど、抽出法なんて忘れてたよねー。

問83 全対象者に一連の番号を付け、スタート番号を乱数によって決め、その後、必要な標本の大きさから求められた間隔で研究対象者を抽出する方法として、最も適切なものを1つ選べ。
1.系統抽出法
2.集落抽出法
3.層化抽出法
4.多段抽出法
5.単純無作為抽出法

第5回公認心理師試験

系統抽出法か層化抽出法で悩んで層化抽出法にしてしまった。
問59のt検定の分析法の事例問題は割とオーソドックスな統計手法で個人的にはボーナス問題。
試験対策では分析法は結構念入りに復習したし、カウンターバランスもキャリーオーバー効果も盲検法も説明できるように勉強してたし、質的尺度と量的尺度あたりがでると予想していたけれど、このあたりはスルーでした。でも勉強にはなった。
田中先生のWhat'sシリーズの動画はすごくわかりやすかった。無料でこんなに質の高い情報には感謝。

事例問題の長文の疲労度

今、試験前の私にアドバイスを伝えるなら、事例問題は先に解いて!ということ。
特に午後。

午前に引き続いての午後の時間、疲労度マックスで迎える午後の試験では、事例問題から解くべきだと思う。
知識問題を58問解いたあとでの事例問題(それも長文)の読解は脳疲労を考えるとおすすめしない。

という私は、プロロゴスの山崎先生の事例問題についてのライブ動画「事例問題最初に解く?最後に解く?」をみて、午後は事例問題を先に取り組むことに決めた。結果、これは吉となったと思う。

河合塾の宮川先生の解説でも、今回の第5回試験では長文の行数が増えているという解説がでていた。それを踏まえてもやはり午後の脳疲労マックスのなかで事例問題を解くのは得策ではないと改めて思う。

心が震える虐待対応のラスト問題

必死で問題を解いていた試験の最中では試験に集中しすぎて事例問題に感情移入することはなかったけれど、改めて解答速報で試験問題を見直すたびにラストの問154はなんと重い問であったのかと思わずにはいられない。

問154 9歳の男児A、小学3年生。Aの両親はけんかが絶えず、父親からの母子に対する暴力のため警察が出動することもあり、要保護児童対策協議会で支援が検討されていた。ある日、Aが提出したテストの余白に、「しばらく前にママがいなくなりました。たすけてください」との記述を担任教師が発見した。これを受けて学校は直ちに、管理職、学年主任、担任教師、スクールカウンセラーなどを交えて対応を検討し、担任教師がAに声掛けをするとともに、市の虐待対応担当課に通告することになった。
 この状況における学校の対応として、適切なものを2つ選べ。
1.記述の内容について、Aの父親に確認する。
2.通告に至る事実関係を、時系列に沿って具体的に記録する。
3.声掛けの際には、AがSOSを出すことができた力を支持する。
4.担任教師がAに声掛けした後、管理職が現状をAに詳細に確認する。
5.声掛けの際には、Aの発言内容は誰にも言わないことをAに保証する。

第5回公認心理師試験

この問は試験の「知識」として問われているが、本当の問は「実践」できるのかという大変重たい問である。
公認心理師として、クライエントのSOSの声を真摯に傾け、その声なき声を見落とさずに糸を紡いでいけるのか。

日々、支援に携わる身として無力な自分をいつも感じる。公認心理師に合格することを目標に突っ走ってきたけれど、ふと立ち止まると合格のその先の道はとても険しいものではなのだろうかということに気づく。

公認心理師としての責務を担う重さを考える時、合格をただ単純によろこんでいいのかという思いにとらわれる。

その問に対する答えはまだでていない。
解答速報にも、私の心にも。

あの空気感の重圧のなかで

今、冷静になって、緊張感もなく圧迫感もない平常心で質問を解いてみると、なんでこの問題間違っちゃったの???というものも数問ある。

どこをどう読み間違えたのかどう解釈を間違えたのか、今ならこの答えは選ばないのに・・・と思うものもあるが、あの午前2時間午後2時間という合計4時間の試験時間のなかで集中力が切れ、疲労感のあるなかで答えを解き続けないといけないわけだから、それも含めて試験なわけで、これは実力といえば実力なのだ。

最初で最後の公認心理師試験、完走

今回、最初で最後の公認心理師試験となった。
何しろ仕事+子育てをしながらの受験勉強。

私の心の中のファンでもあるせーしろーチャンネルの橋口さんも時間の捻出が合否の分かれ目といっていた。
今振り返ってもそのとおりだと思う。
特に今回の試験では、付け焼刃的な知識だけでは太刀打ちできないものであった。

勉強時間の捻出と学びへの欲が合否の鍵となったと思う。
やりきったかと問われれば、こう答える。

完走しきった。

社会人になってここまで自分のなかに学びに注力できる情熱が湧きでてくるとは思っていなかった。

学びは財産である。

難化したといわれる第5回公認心理師試験ではあるが、私にとっては質の高い試験であったと思う。
試験作成者の思いと挑戦を受けられたことを幸運に思うし、合格したら更に誇りに思う。

キニナル自己採点

自己採点を公表することはマウントなのか。
不快と感じられる方にはここでUターンを。
自分が出しきった力としてのただの自己満足のキロク。


解答速報をもとに採点した結果、午前75点、午後87点合計162点(70%)となった。
マークシートの記入ミスがないことを祈るばかり。

8月26日、サクラサケ!

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