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GMが黒鉛の安定供給に向けて鉱山事業者と提携

GMがLiBの負極材安定供給に向けて、カナダの鉱山事業者と安定供給&事業投資で提携しました。
LiBに関しては正極材利用のLiやCoへの投資が注目され、片方の負極材にはそこまで関心が薄かった昨今でしたが、米中対立での黒鉛調達難に対応する形で動き始めています。

https://www.reuters.com/markets/commodities/gm-invest-150-million-canadian-miner-agrees-supply-deal-2024-02-15/

1;GMによる黒鉛調達強化

 2/14にGMはNouveau Monde Graphite(NMG/カナダ)と年間2万tの活性負極材の複数年度供給契約を締結。
 GMは黒鉛鉱石の採掘/精製/加工から負極材製造までを包含するNMG社の事業開発に向けて1.5億ドルの投資を確約。GMに対する年間2万tの活性負極材供給は今後6年間継続される
 NMG社は負極材製造に向けた一連の動きを内製化/一本化しようと動いている。ケベック州のマタウィニー鉱山で黒鉛採掘→ベカンクール電池工場での負極材への加工を一貫して実行。負極材製造ののちに、GMの電池セル工場への輸送を行い、GMはLiB製造&EV搭載を行う

2;黒鉛とEV

 黒鉛は潤滑性/導電性/耐熱性/耐酸/耐アルカリ性に優れた特性を持つ材料で、LiBの負極材として用いられる。正極のリチウム合金からリチウムイオンが供給され、積層構造を持つ黒鉛は充放電過程でリチウムイオンが層間へ挿入/脱離を繰り返す
 黒鉛は理論的な比容量が約370mAh/gで比較的高いため、電池容量を増やす上で現状最適解と考えられている
 黒鉛系材料にはは複数種類があり、目的に応じて異なる種類の材料が使用される
 -黒鉛;電池のエネルギー容量重視
 -ハードカーボン;電池の充放電/耐久性重視
 -ソフトカーボン;黒鉛とハードカーボンの中間特性
 黒鉛の貯蔵量/生産量/輸入量は中国が高いシェアを占め、事実上LiB用途黒鉛は中国が支配。LiB重量ベースで黒鉛は高い存在感を示すが、OEM各社はLi/Coに注力して出遅れていた…
 -埋蔵量;トルコ(28%)/中国(22%)/ブラジル(22%)
 -生産量;中国(62%)/モザンビーク(11%)/ブラジル(9%)
 -輸入量;中国(92%)/スリランカ(2%)/ブラジル(2%)

3;その他

 今回の操業拡大はGMにとってカーボンニュートラル/ESGを重視した天然黒鉛活負極材の初/大規模な供給源となりえ、北米でのEV生産にとって大きな分水嶺に。
 NMG会長は[我々は株主たるGMを歓迎し、堅実な北米商業計画/責任ある生産/先住民族との提携開発といったESG施策への投資をしてくれた]とコメント。
 GMの購買&SC担当副社長は[NMGとの協力は業界及び、より持続可能なLiB供給網の計測開発に向けて大きなマイルストーンである]と述べている

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