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Hyperloop技術の実用を目指すHyperloopOneが事業停止へ

10年前にイーロンマスクが出張中の渋滞に腹だってコンセプト/技術をオープンな白書として発行して始まったハイパーループ。
(自伝ではその場で本社に電話してトンネル採掘用のシールド2機を買ったとありましたね…)
今回、第一人者として有名だったHyperloopOne社が12月末で事業停止すると報じられています。
同社はいの一番に実証実験に成功しながら株主間の対立や事業環境の悪化という荒波に呑まれてきましたが、ついに息絶えてしまったようです。

1;HyperloopOne(HLO)の事業停止

 BloombergによるとUAEのDPワールド傘下のHLO社は12月末に事業停止する決定を下して準備に入ったとのこと。
 親会社であるDPWはHLO社のIPRは自社に譲渡、ハード資産(ラスベガス郊外のテストトラック/機械設備)は売却する方針。現時点までに殆どの従業員は解雇されており、LAのオフィスも閉鎖されたとのこと
 親会社であるDPW社はコメントを発表していない

2;HLO社について

 2014年創業でヒト/モノを都市間チューブで航空機並みの速度で輸送する超高速輸送システムの事業化/実用化を目指す新興企業。創業以降4.5億ドルを調達、2018年にテストコースを建設し、2020年には有人での実証実験に成功していた
 会社のガバナンス体制及び株主との関係性は脆弱な状態が続いており事業にも影響が出ていた
 -2016年よりUAEのDPW(ドバイの港湾管理会社)が過半の株式を保有
 -2017年に英Virginグループおよび創業者のブランソン氏が出資し、Virgin-HLOに社名変更
 -2018年にブランソン氏がジャマル・カショギ氏殺害を受けてサウジアラビアを批判すると、サウジ政府はプロジェクトを中止。ブランソン氏は会長を辞任
 直近ではヒトの輸送からは撤退してDPWとシナジーのある貨物事業に焦点を移して事業再編を図ってきた

3;その他

 Hyperloop技術は2013年にTeslaのマスク氏が技術白書を出して以降、多くの新興企業や研究所が実用に取り組んだ。コンセプトは都市間交通の渋滞解消を目指す輸送技術で、マスク氏も2016年に[The Boring Company]を設立して開発を推進
 同技術は真空チューブ内を超高速移動する交通システムで、磁力により物体を空中浮揚させる[磁気浮上技術]を用いる
 -旅客機並みの速度で移動し、走行にCO2が発生しない
 -20/11にHLO社がラスベガス郊外の試験施設で従業員2名が真空チューブに乗り込んで、500mのコースを170Km/hで移動

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