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CEATEC/5G-Dayの模様について

先週開催されたCEATEC 2019ですがプログラムの中で5G-Dayが開催され3キャリア+1の代表が登壇&プレゼンを実施。各社とも5Gは政府指針なので実施/実行は決定事項ながら、5G利活用方向性/基地局共用化に対するスタンスの違いはいろいろと出ていました。

■各社プレゼン■
【Docomo】

・「5Gでより豊かな未来を」がテーマで、DCMのビジョン;[beyond~想いをつなげ5Gでより豊かな未来へ~]と絡めてプレゼン
 ┗5Gを用いてコンシューマ向けに価値/感動を提供、ビジネス観点ではパートナーとの共創を通じて社会課題を解決する
<5G導入の意味合い>
・5G導入で「新たな価値創出」/「社会的課題解決」の実現を目指す
 ┗あくまで実現手段であり、IoT/AI/XRと同列にあるものだが最も太い柱である認識
 ┗5Gでは特徴を活用して現在の体験の高度化を目指す(スタジアム/ストリーミング)
・NW提供サイドにもイノベーションを創出、5Gに向けたインフラ整備/R&Dで価値が生まれている
 ┗全国40カ所で5GNWを開設、24年度には最低でも26,334局を設置する計画(NWの仮想化も40%完了)
 ┗NWの親局/子局のベンダーが違っても運用可能な[ベンダークロス]も世界で初めて実用化
<ハブ端末としてのSP>
・SPをハブとして周辺機器を組み合わせて新しい体験を提供しうる
 ┗マイネットワーク構想:SPとXR端末/360度カメラなどを連携させる
<事業開発>
・5Gに絡んだ事業開発は現在進行中で、Day1から5G利活用したサービス/ソリューションが展開させるとのこと
 ┗DOCOMO 5G Open Partner Program;全国6か所展開/ドコモ5Gオープンラボ;全国11拠点
  →遠隔地でのデザイナー協働(w/ワコム),ゴルフ遠隔レッスン(w/日本プロゴルフ協会)などなど
・Day1でのサービス展開にはかなり固執、ラグビーW杯でのプレサービスなどで既に実用化
 ┗マルチアングル視聴/ライブビューイングなど

【KDDI】
・「入社して1G~5Gまで全てを体験」してきたが、令和元年を5G元年として取り組む
・いろいろな価値を5Gによって生み出して、日本全体を盛り上げていきたい
 ┗3G/4Gで確実に変わったのが「SPの存在」だったが、5Gでデバイスが大きく変わる予感は無く、別文脈の工夫が必要という認識
 ┗『おもしろいほうの未来へ』が定義できないと5G普及は難しいとも
<C向け;UNLIMITED WORLD >
・KDDIが進めるUNLIMITED WORLDでは日本初の無制限プランを提供、5Gで[つながり続ける世界]を実現する
 ┗5Gの効用は[体験価値の拡張]であり、ARをキーワードにスポーツ/エンタメを中心に様々な体験を提供する
  (スポーツソリューション/渋谷プロジェクト/ドローンレース高度化などを紹介)
<B向け:コラボレーション>
・KDDI DIGITAL GATEでは5Gを体験するだけでなく、5G活用したビジネスを共創/伴走して実現する
 ┗虎ノ門/沖縄/大阪の3拠点で展開する
 ┗現在250社超に利用されており、様々なコラボレーションを推進する

【SBM】
・通信の役割が[ヒト-ヒト/サービス]をつなげるモノだったのが、5Gによる[ヒト-ヒト][モノ-モノ]のつながりに進化していくと認識
 ┗これまでの人口カバレッジでの競争が、如何に産業NW構築に寄与するかに重点がシフトする
・5Gをベースに、通信と産業が協調進化して日本全国のあらゆる産業を高度化、その活用方法をパートナーと共創する
<NW構築について>
・21年以降に人口カバー率90%を目指し、Massive MIMOを用いてNW構築の効率化に注力する
 ┗効率的なエリア構築/産業用ネットワークの構築へ
 ┗台風19号の被害に絡め、有事のNW構築についてもキャリア協調して検討する必要があるとも指摘
  →NW冗長性をキャリア同士で担保したいとの打出しか
・5Gの特徴をユーザ提供できるのは22年以降で、SAを待たないと真の5Gはやってこないと。
 ┗プレサービスを経て、NSAでは2Gbpsが限界と認識
  (SBMはトラック自動運転/建機の遠隔操作/マルチアングル観戦などを実施)
<ソリューションとしての5G>
・5GではSPは複数ある端末の一つに過ぎず、重要なのはデバイスの先にあるサービス
 ┗5Gとサービスの連携で日本の成長エンジンとなることを目指す

【Rakuten】
・仮想化Tech用いて5G時代に柔軟な対応が可能なNW構築を目指す
・10/1から開始した無料サポータープログラムは募集を大幅に超過、SIMカードの発送を開始。
<仮想化NW>
・MNOとして運用するNWは世界初の完全仮想化、効率的なNWを構築している最中
 └専用機器数を大幅に減らし、汎用の機器類を多く用いてコスト減
 └ベンダーとは相当にバトルしたが、何とか10/1のプログラム開始にこぎつけた
  (文書でなぜ完全仮想化が不可能かを説明されたとのこと)
・仮想化NWのメリットは以下の3点
 1)安定性…専用機器への依存をなくし、故障時にもすぐに別機材に代替可能で冗長性が取れる
 2)柔軟性…汎用機のため、ハード追加で容易に処理能力を拡張/縮小させることが可能
 3)低コスト…使用機種数の絞込みでコストダウン、さらに高い安定性は運用コスト低減につながる
 └NWパラメータ設定や起動時間短縮で、アラーム監視/故障対応も半自動化に成功した
・MECの設計を開始し始め、5Gスタート時点では実用化する目標
<5Gの真価>
・5Gの真価はSAで発揮されるため、楽天でも5G専用のソフトを動かす必要がある認識
 └楽天の強みはグループ内の70以上のサービスであり、連携させることで5Gの価値を見出す
・楽天でも実装実験は行っており、無人配達やVRなどでは成果も生んでいるとのこと
<5Gへの意気込み>
・サービス開始で期待と責任を感じており、早々の5Gのポテンシャルを引き出して生活をより豊かにしたいとのこと

■4社ディスカッション■
<携帯料金>
・5Gにより全ての端末がNWにつながる時代になると、料金設定が端末ベースでなくなる可能性が高いという前提ベース
 └身の回りのIoT機器がNWにつながり、デバイスベースでの料金プラン設定は現実的でない
(DCM)
・通信料金も確り設計する必要はあるが、パートナーのサービスとの組み合わせが主流となる
(KDDI)
・料金体系はフロー(都度課金)からストック(継続型)にシフト、生活に必要な全ての機器がNWにつながることで、「買い切り型機器販売」から「ユーザに合わせたサポートが求められる”サービス”」へ変化する
(SBM)
・あくまで個人的な意見として、「5Gスマホの価格は高止まりさせてはNG、価格が高止まりすると売り場で隣にある4G端末に対抗できない。韓国では4Gより5Gの端末の方が安いから5Gが急速に普及した」とする。
・また、「菅官房長官に逆らうわけではないが、端末価格はもう一段の議論が必要」
(Rakuten)
・「まだ4G LTEの料金も出してないので具体的なものは申し上げられない…」
*(KDDI)「山田さんのとこは低廉サービスを提供するということでビビっている」と

<基地局展開>
・現在の4G/LTEで人口カバー率99%をたたき出す3キャリアだが、5Gではヒト/デバイスがあるとことに基地局がある必要を求められルが本当に可能かなのか??
・5Gを見据えた新しい動きとして、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルは合弁企業を設立。同じ基地局を3キャリアで使うことで、コストを節約するという新たな動き
(DCM)
・5G時代もエリアカバー率は競争の焦点だが、キャリア間連携に乗らないわけではない
 └トンネルなどは現在でも共同でエリア整備を行っていると説明。
(KDDI)
・運輸業界では競合同士が配送協力してインフラコストを低減、良いサービスを提供していくと言う取り組みが進んでいる。通信会社もそういった協力が求められる時代になってくる
(SBM)
・日本では競争政策で急速にNWが整備、共同整備が進む米国の基地局数はせいぜい5万局。対して日本は国土が1/10なのに10万局以上ある。単純にタワー会社を作ればいいというものではない。(ャリア間の競争が高品質なサービスにつながってきた)
・今後、産業カバー率を軸に考えると、通信キャリアには不採算なエリアにも敷設の必要。そんな過疎地を共同整備していこうとKDDIに持ち掛けたと経緯を説明
(Rakuten)
・5G時代になるとキャリア間協力関係も変わってくるはずで、海外だとキャリア各社出資のタワーカンパニーが電波塔をつくって、まとめて各社のアンテナが入っているため、日本でも整備が進むはず
・共同整備をやりすぎてしまうと、各社で差がなくなるが、いつまでも進まない用地交渉して繰り返してやっていくべきなのかは、痛く痛感している…
<国際競争>
・3G:国内携帯メーカー/キャリアの独自サービスが多数林立して発展→4G:SP登場でガラパゴスか&自然淘汰という流れがあった中、5Gではどうなるのか??
(DCM)
・日本は課題先進国、様々な社会課題を解決する中で基盤たる通信を提供する携帯キャリアは、課題解決PFを形成、国際展開することで競争力につながることが可能
 └マイネットワーク構想が念頭に…?
(SBM)
・日本がものづくり大国と言われた時代のまま成長しきれるはずがないという認識
・モノ→コトへシフトする時代の中で全てはサービス化する。MaaSが良い例
 └MONETは、そのトレンドを先取りした動き
(Rakuten)
・強みは完全仮想化NWで、基地局アンテナより先の「コアネットワーク」にある。サービス云々よりも通信システムのパッケージとして海外展開する構想がある

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