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JDPower調査;機能面ではまだまだICEが優勢でEVは途上

 JDPowerが2023年度の全米自動車満足度調査を行いました。BEV躍進は予想通りですが、車両搭載機能に関してはより実益的な[Plug&Charge]に高い支持が集まる一方で、安全運転の黒子である[ADAS]への支持は低下…(というか不要とさえ)。
技術への慣れも含めたドライバーへの啓蒙も必要となってくるのだろうなと思われます。

https://www.jdpower.com/business/press-releases/2023-us-tech-experience-index-txi-study

*調査は23/02-05にかけて、82,472名を対象として実施された。

1;調査のインサイト

(1)ディスラプターの侵攻
 TeslaやLucidのような新興メーカーは先進的な技術/製品を引っ提げて米国市場で席巻、ブランドイメージの高さ/憬れ対象となることに貢献。
 新興各社は既存OEMを[イノベーション]観点では凌駕するが、一方で[技術的問題]の観点では既存OEMの方に軍配が下る。ただし、あまりに革新的過ぎて実装/顧客対応が追い付いていないとも…
(2)生体認証は無用の長物
 生体認証は、精度観点では[行動特性監視>>生理学的特性]となるが、種別に関係なくオーナーは不要と考えている
 精度は10点満点で、指紋リーダー;7.24/顔認識;7.48/直接監視;7.75となっている…。一方インタビューで、他先進技術に比較してオーナーからの支持は低い
(3)プラグ&チャージへの支持
 公共充電における[充電器接続→車両識別→充電確認→支払]をシームレスに提供する機能/サービスへの維持は非常に高い
 オーナーの72%は当該技術への支持を表明、次のクルマを選ぶ際の必須機能とみている。また、殆どのメーカーで適切に実行され、オーナーは非常に高く評価している
(4)ADASはどーでもいい
 多くの安全技術/先進運転支援システム(ADAS)が搭載されるが使用率は低下し、オーナーの支持も低下。OEMの必要と捉える機能と乖離が生まれている。
 使用低下が最も顕著なのは後進自動緊急ブレーキ(-4%)で、安全脱出アシスト(-3%)/ 自動緊急ステアリング(-3%)が次ぐ。自動車OEMが信頼/安全/安心に向けて提供する機能は、よりポジティブな顧客体験提供と紐づけて提供する必要がある

2;車両ごとの顧客支持

 1,000点満点で顧客満足度/支持度を調査、車両ブランド単位で[車両全体]と[機能/特徴への支持度]を出しており、今年はHyundaiの躍進が際立つ。
[全体]
(A)総合 Genesis(Hyundai)が656のスコアで最高位を獲得
(B)Premium Genesisが首位、Cadillac/LEXUSは533のスコアで次ぐ位置
(C)Innovation Hyunai(547)→Kia(528)→GMC(505)
[機能/特徴フォーカス]
(地上ビューカメラ)
Premium; Chevrolet Corvette Mass;Toyota Sequoia
(自動化技術)
Premium Genesis GV80(交差点進入時アラート) Mass;Hyundai Palisade(後進自動緊急ブレーキ)
(ワンペダル走行)
Premium;BMW iX Masss;MINI Cooper
[インフォテインメントとコネクティビティ]
Premium;BMW3シリーズ(ARディスプレイ) Mass;Chevrolet
Tahoe(ストリーミングエンターテイメント)/Hyundai Sonata(スマホベースのデジタルキー)

3;BEVの課題

 BEV所有者はICE所有者との比較で先進機能に関してより多くの問題に直面。今回の調査ではICEを100とするとBEVは86という満足度に…。
 車両100台換算での満足度評価ではテスラを除くBEVで下記の特徴が。
(1)遠隔駐車支援での問題;BEV=27.4件⇔ICE=10.7件
(2)車内のジェスチャーコントロールでの問題;BEV=50件近く⇔ICE;31.2件
 オーナーの先進技術に対する慣れ/受容度の違いにも基づくが、OEMは相違点に配慮しつつも同様の顧客満足/顧客体験を追求する必要がある。特にBEVではTeslaに類する先進技術を提供しないと競争の土俵にも上がれない

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