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GMが機械学習VB(材料開発系)にリード投資家として投資&共同開発実施へ

 GMが機械学習ベースでマテリアルズ・インフォマティクスを実現するMitra-Chemにリードインベスターとして出資しました。同社との共同開発を通じてコスト競争力を持つ鉄系正極材量を用いたLiB開発/EV搭載を目指すとのことです。
 GM本体がリードを担うってのもGMの本気度を表していますし、将来のビジョンへの布石って観点でも非常にわかりやすいところかと…。翻って日系企業ってトヨタくらいしかリードしないよねえ…

1;GM出資と共同開発

 GMがMitra-Chem社に対して出資を決定、Series-B/6,000万USDのラウンドのリードインベスターとして動いており事業会社としては結構珍しいとこ。
 共同開発を通じてGMはより安価/入手しやすいLiB製造が可能で、具体的にはUltium搭載EVの製造に向けた鉄系正極材を利用した開発を行う

2;GMの現状と実装

 GMは23年下半期にUltiumベースのEVを複数上市予定、Chevrolet Silverado EV Work Truck/Blazer EV/Equinox EV/Silverado EV RST First Edition/Brightdrop Zevo 400/Cadillac Celestiqがラインナップされている。
 GMで最も人気のあるEVはVolt-EV/EUVだが、Ultiumベースにシフトすべく23/12に生産終了を予定。8月前半にCadillac Escallade IQをお披露目、機能は[750馬力/700Kmの航続距離/200kw(h)以上の使用可能なバッテリー容量]で生産開始は24年夏を目指すとのこと。
 GMはEVを巡る競争で[Escallade IQ/Celestiqのような高級モデル][Volt-EV口径のようなエントリー]というオプションを複数用意し、中間モデルも用意する全力投下方針を取っており、Golan副社長はCNBCのインタビューで[Mitraとの共同開発に基づくLiBは2030年までにはGM車に搭載できるとみる]と語っている

3;MitraChemとは

 AIを活用したLiB材料開発に掛る期間の短縮化を特徴とし、[原子→トンへの加速PF]を標榜。独自の機械学習アルゴリズムを使用し、研究~生産の期間を従来の1/10に短縮可能としている。機械学習/シミュレーションで配合発見/正極合成の最適化/セル寿命算定に係る期間を短縮し、加えて実証/実験に係る社内クラウドPF(仮想研究室)を持つ点が強み。
 鉄系正極活物質がEVの広範な普及を可能とする考えで、[AIを活用した電池材料の革新者]とされる。ちなみに、鉄系はコストが格段に安いが、エネルギー蓄積能力が低く以前に米国で開発していたものの、現在は中国企業が生産を独占。
 現在のGM-UltiumバッテリーはNi/Co/Mn/Alの正極材を利用し、鉄系に比べると高いコストがかかる(エネルギー蓄電量の大きさ/航続距離の長さは比較にならないレベルだが)。今回の調達でMitra-ChemはEV/蓄電装置で利用可能な鉄系正極材量の開発/展開/商業化を進める

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