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2022.4.4 そば粉の輸入原料(玄ソバ)事情について

そもそも危機的だった蕎麦業界の輸入原料が、さらに深刻になってきました。日々変わる世界情勢ではありますが、現時点での状況を時系列でご説明いたします。

⓪ 2020年産の高騰で昨年値上げを実施済

① 2021年産のさらなる高騰でかなり深刻

・中国の作付面積激減(他の作物への補助金…特にトウモロコシとの競合)
・中国の干ばつ等による不作
・アメリカの大干ばつによる大不作
・コロナによるロシアの輸出規制
・中国、アメリカの備蓄在庫量僅少
・海上運賃の高騰(コロナによるコンテナ輸送の混乱、原油高)
・円安

→大手各社を中心に、今年6月から50円/kgの実施を発表

 

 ②   2022年のアメリカ産播種前契約がさらに高騰

・穀物相場全体の高騰によりソバも高騰
・ソバの作付面積減少で、契約可能数量は3割減

→50円/kgの値上げでは収まらないインパクト


③   ロシア・ウクライナ情勢でさらに・・・

・ロシア国内の食糧自給優先で穀物の輸出禁止を発表(ソバも含まれると思われる)
・そもそも国際決済ができないので、既契約分含めて事実上輸出が不可
・ロシア・ウクライナから買っていたヨーロッパ業者の買い付けが、中国(2021年産)に集中して急騰
・穀物相場高騰で、投機的価値が上昇
・さらに原油高等で海上運賃高騰
・円安進行

→中国産・アメリカ産がダメで、頼りたかったロシア産が絶望的に
→輸入原料価格は史上最高値を更新中
→蕎麦業界が経験したことのないピンチ


○これからの悪いシナリオ

・ロシア・ウクライナ情勢が続くとロシアからの輸入は今後も不可能に
・中国の投機筋が買い占め
・アメリカ西海岸のスローワークにより、海上コンテナのさらなる混乱
・中国のソバが友好関係のあるロシアに輸出される可能性も
・国産の相場にも影響大
・中国、アメリカ、日本に不作があるとさらに品薄感

→必要数量の大幅ショート、さらなる価格高騰

○これからの良いシナリオ

・ロシア政治体制が大幅に転換する
・中国経由で日本に入ってくる

→今の段階では期待できない


小麦等の他の穀物やエネルギーをはじめとした全てのモノが値上がりしている状況ですが、ソバは作っている国が限られているため、思っている以上に深刻です。世界的にダントツに生産しているロシアが輸出できない状況が長期化すると、蕎麦業界への影響は計り知れません。

一刻も早く平和な世界が訪れることを、心から祈っています。



↓以前、朝礼でお話しした内容です。


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