ぼくは何者だったのか考えてみた①

音楽は小さいころから好きだった。
最初に音楽に触れたのは父親のクラシックギターだったと思う。
父親の弾くギターではなく、クラシックギターそのもの。
おもちゃ感覚だったんだろうな。触ると音が出るから。

それで見様見真似で、きれいな音が出る場所を押さえる練習をしてました。
つまり、コードだよね。
そしたらちゃんとコード譜や歌本が存在するって聞いて、
それを見ながら弾けばいいらしい、と知る。

ただそのころはよくわかってなかったんだろうなぁ。
いわゆる歌本、ギターの弾き語り用の譜面集みたいなのを
ねだって買ってもらった記憶があるんだよ。
それが歌番組でみたことがあった 「アリス」 だった。

ぼくの最初の問題は、「アリス」の曲を知らないこと。
曲が好きでそれを弾いてみたくてコードを覚えるのではなく
コードを順番に弾く中で、それに勝手に好きなメロデイを乗せて歌う。
今考えるとちょっと変わってる。音楽の始め方としてはダメだと思う。

だからあとになって、本物の「アリス」が歌っているのを聴いて、
ぼくが知ってる歌じゃなかったショックはいまでも。
当たり前です。

そんなことがあって、
TVで観た「アリス」の歌をもう一度イチから覚え直すことになる。
コードはわかってたからね。
そしたら、そのメロディや歌詞のはまり方が素晴らしいことに気付くんだ。

ただどうやら「アリス」が持っているのは
ぼくが持っているギターとは違うみたいだ、ということにも気付く。

気が付いてから改めて歌本なんかの広告を見ると、
エレキギターも載ってるじゃないか。
「アリス」のと違うけど。

そしたら、なんだかエレキギターがカッコよく見えちゃって。
これを弾いてる中で一番カッコ良さそうなのを探し出すわけ。
見つけたね。「マイケルシェンカー」フライングV。

どうも極端だよね。
クラシックギターで「アリス」の真似事をしてたヤツが突然だもんね。
今度は間違えなかった。
ちゃんとLPを聴いて、好きな曲好きな音を再現するために練習した。
一番気に入ったのは“I'm Gonna Make You Mine”という曲。
もちろん他にも有名な曲はたくさんあった。
あったんだけど、これだったんだよね。
この曲は、のちに通う二丁目のロックバーで、
いまでも顔を出せば必ずかけてくれる曲になってる。

ただここでも問題が。言葉がわからない。
だから何を歌っているのかまったくわからないままに
ただただギターのフレーズだけを追いかけてた。

そんな時、80年代ジャパメタブームがやって来た。
「ラウドネス」「44マグナム」「アースシェイカー」など
関西勢のバンドがめちゃくちゃカッコよく見えた。
そういえば「アリス」の谷村さんと堀内さんも大阪だ。
だがきっとこの件は関係無いだろう。いやそうでもないかもしれないぞ。

ここで少しばかり迷走し始める。いやもうとっくに始まっていたか。
ジャパメタのバンドのギタリストの方が持っているギター、
やはりこれがカッコ良くて。どうもカタチから入る傾向が強い。

憧れちゃうんだよね。ランダムスターとかエクスプローラーとかV。
ちなみにいまでも白のエクスプローラー、あるな。
楽器の話は置いておいて、時を戻そう。←

中2くらいだったか。
いわゆるヘビメタやハードロックに国内海外問わずハマってしまう。
だから、音楽の仕事に関わるまで「ビートルズ」を知らなかった。
これもまたいろいろこじらせる原因にはなったのだが。
ところが、このハードロック好きが妙なところで反応を起こしてしまう。

「ナイトレンジャー」というアメリカのグループがあって
大好きなギターがふたり、しかもタイプの異なる超絶技法だった。
その彼らの曲のイントロらしきフレーズが、音楽番組から流れて来た。
「シブがき隊」だった。びっくりした。
“Don't Tell Me You Love Me”かと思ったら“Zokkon命”だったという。

実はそんなことは結構あって、
同じジャニーズだった「野村義男」さんも
ギター好きってことで勝手に親近感を抱いていて、
当時のバンド「The Good-Bye」も大好きになった。
そこで先に挙げた「ビートルズ」との最初の邂逅が訪れるわけです。
こっちのケースは「ビートルズ」の方を知らなかったから、
ある意味逆転現象だよね。
ある日突然「The Good-Bye」的なフレーズかと思ったら、という。

いや、だけど、そんなことから、なんだろう。
音楽のルーツを辿るというかそういう感覚が芽生えてきたのかもしれない。

バンドらしき活動もやってみた。
幼少の頃に少しだけピアノを習っていた。当時はイヤイヤながらだけど。
いまにして思えばもっとちゃんとやっておけばよかったって後悔してる。

最初に組んだバンド、のようなものは、
確か「THE SELECTION」って名前だった。
「アリス」の延長線で「オフコース」を一曲だけコピーした記憶。
ただし「アリス」はやっていない。
演奏そのものよりもバンドロゴを作ったり、
弾けそうな曲を選ぶためのレコード漁りが楽しかった。
バンド名は当時部屋にあったオーディオのセレクターから。
バンドロゴは影響受けまくりの「The Good-Bye」風だったな。

ん?いや「THE SELECTION」は高校入ってからだったか?
どうでもいいか。思い出は儚い。時を戻そう←二度目。
恋も二度目なら少しは上手に。
メンバーの乾物屋さんの息子は「中森明菜」さんが大好きだったな。

きっと名前だけ継承したんだろうな。
高校時代は暗黒時代の幕開けだった。
その予兆は中3くらいから感じては、いた。

そして
その暗黒時代にやってくる「すべてのはじまり」ともいえる出来事。


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