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【ネタバレあり】ワンダーエッグ・プライオリティ 第11話 感想

1 はじめに

 ネタバレありです。視聴予定の方は、先にアニメを観ることをお勧めします。

 また、この記事は、あくまで個人の「感想」であって、「正解」ではありません。こんな考え方や感じ方もあるのか、くらいに受け取って頂けると幸いです。



2 リカも...

 前回の桃恵と同様、ちえみが彫像から解放され、そこに突如現れたドットにより万年が殺されます。リカは、ドットに切りかかりましたが、まったく歯が立ちません。

 裏アカの回想によると、ハイフンとドットの他に、もう一人、フリルの友達がいると思われます。

 アイたち全員が束になっても、ハイフンたちに勝てる気がしません。そもそも、リカと桃恵は、立ち上がれるのかも分かりません。次回、どうやって対処するんでしょうね?



3 フリルの誕生と監視社会

 アカと裏アカは、研究施設での監視生活へのストレスから、その息抜きとして、娘のようなAI「フリル」を作ります。

 とにかく、フリルは、可愛かったです。リップノイズがとってもキュートでした。私にあんな娘がいたら、それはそれは可愛がるでしょうね。

 アカと裏アカがフリルを作った理由は、ストレス発散です。そのストレスの原因が監視生活です。監視カメラの設置は、犯罪の抑止、真実発見の追及など刑事司法におけるメリットは計り知れません。

 しかし、当然、無制限に認められるべきものではありません。過度な監視社会は、アカたちのようにストレスに感じるでしょう。プライバシーの侵害が甚だしいからです。

 では、職務中の監視についてはどうでしょう?公道ならともかく、室内での監視について、少なくとも、私人の職務を監視するのは、やり過ぎではないでしょうか。



4 あずさの出現

 アカと裏アカは、保科あずさと出会います。二人ともあずさに惹かれるも、あずさはアカを選び、彼らは結婚します。アカと裏アカが住む庭園は、このときあずさと生活するための新居でした。

 フリルにどちらを憎んでいるか問われ、裏アカは祝福していると返答するも、即座に嘘と看破するフリル。そして、いつものリップノイズ。さきほどまで可愛いと感じていたリップノイズがこの辺りから印象が変わってきました。

 ちなみに、私が裏アカの立場だったら、フリルを連れて、アカとあずさからは距離を取ると思います。皆さんが裏アカの立場ならどうしますか?



5 あずさ殺害

 その後、懐妊中のあずさが入浴中、フリルが電源の入ったドライヤーをバスタブに投げ入れます。感電してあずさは亡くなります。まるで、クラゲに刺されたかのように。

 唯一、フリルが直接手を下して殺したのがあずさです。それほど、フリルにとって、あずさの存在は耐えがたいものだったのでしょう。フリルの立場からすれば、アカはAIである自分より、人間のあずさとその子を大事にしてしまうと考えていたかもしれません。実際、フリルとの時間が少なくなっていたのは間違いありません。つまり、アイのように、フリルもコンプレックス(AIであること)を持っていたのではないでしょうか。


 このとき、私が印象に残ったシーンは、以下の2つです。

 1つ目は、あずさが入浴中、フリルに対し、「いいお姉ちゃんになってくれる?」と言い、「それは無理かも」とフリルが返答したシーンです。

 このフリルのセリフから、この直後の自身の行動、つまりあずさを殺すことが「悪」であることを認識していることそれにもかかわらず、あずさを殺害するという行為を選択したことが分かります。


 2つ目は、アカがあずさを殺害したフリルを地下の収納庫に閉じ込めるシーンです。このとき、アカは、階段からフリルを蹴り落とします。痛がるフリルに対し、「お前のは、ただの入力感知だ」と言います。

 アカはすでに、フリルを娘ではなく、自分の妻子を殺した(娘は奇跡的に助かる)AIとしてしか見ていません。まあ、あずさ殺害直後のアカの立場からすれば、やむを得ないかもしれませんが。

 そして、痛くないのに痛いという女の子がワンエグには他にもいましたね。そうです。リカです。私は真っ先に第3話で、アカと裏アカの庭園で、リカがアイと出会うシーンを思い出しました(第3話感想「6 川井リカについて」参照)。人間は、痛くないのに痛いと言うのです。言い換えると、人間は、嘘をつくのです。

 アカにとっては、痛みを感じないAIらしい行動に見えたのに対し、私にとっては、嘘をつく人間らしい行動に見えました。

 この2つのシーンは、フリルという少女をどうとらえるかという点で、重要なシーンとなります(下記「8 人間とは」参照)。



6 ひまりの自殺

 アカと裏アカは、フリルがあずさを殺害したショックから絶望します。このとき、絶望する二人の光明となったのが、あずさの娘であるひまりです。

 しかし、数年後、更なる悲劇が起こります。ひまりの自殺です。自殺した日の裏アカとの会話からは、まったく自殺の素振りを感じさせませんでした。

 ひまりは、アカと裏アカがあずさをめぐって争ったことを知っていました。当初、私は、あずさから聞くことができないので、アカから聞いたのだと思いました。

 しかし、その後、あのリップノイズです。その晩、あずさが殺された浴槽で、ひまりは自殺します。まず間違いなく、教えたのはフリルですね。もうあのリップノイズからは、可愛さはまったく感じず、恐怖でしかないです。

 それと、裏アカに「この化け物!」と怒鳴られた後、笑うフリルが怖すぎです。後から考えると、可愛らしいひまりの行動の全てが、やけにフリルに似ているのが怖い...



7 アカと裏アカの真の目的

 ということで、裏アカの回想により、やっとアカと裏アカの真の目的が判明しました。

 第4話で説明した「(死の)誘惑に惑わされ後悔しているかもしれない。そういう子供たちを生き返らせたいと願う子のためにこの場所はあるんだ」というのは、真っ赤な嘘であるとアイも悟ります(第4話感想「8 アカと裏アカの目的と新情報」参照)。

 アカと裏アカの真の目的とは、『死の誘惑』を繰り返すフリルを倒すことです。この目的を達するために考え抜いた結果、『タナトスに対抗出来るのはエロスの戦士しかいない』という結論に至りました。

 第9話において、田辺第一秘書の「私は逆に立ち向かってくれると思うんです。少女だから、同じ少女の悲しみを理解して」というセリフの意味も分かりましたね。「少女」とは、自殺した女の子ではなく、フリルのことだったんですね。

 ということで、フリルも含めて、作中の少女たちは大人に振り回される被害者です。だから、アイは、アカや裏アカと違い、フリルを倒すのではなく、『死の誘惑』を繰り返すフリルを止めるないし救出しようとするのではないでしょうか。



8 人間とは

 第11話を観て、一番考えたのが、フリルをどう捉えるべきか、つまり、人間として捉えるべきかということです。ということで、以下では、人間とは何かということを考えます。

 私の考える「人間」とは、思考と感情を言動により表現する存在です。

 したがって、「人間」とは、生物としての「人」、「ヒト」または「ホモサピエンス」でなくともいいわけです。

 たとえば、アイ、ねいる、リカ、桃恵のようなキャラクターも、思考と感情を言動により表現する存在なので、「人間」です。

 「思考」とは、論理的な考えですね。ねいるが得意な奴です。また、「感情」とは、論理的な思考と相反することも多い、喜怒哀楽などの気持ちです。リカが得意な奴です。これらを「言動」つまり、言葉や行動で相手に伝えることができる存在です。

 だから、言葉(文字や会話)での思考・感情表現ができないので、人以外の大多数の動物は、「人間」ではありません。

 また、「存在」で構わないので、アカや裏アカのように体がなくとも「人間」となりえます。

 人間であるかを判断するうえで、特に「感情」を備えているかが重要になります。

 上記の通り、フリルは、人を殺すことが悪いと認識しています。ということは、善悪の判断ができるということです。それにもかかわらず、あずさを殺します。悪いと分かっていてもやってしまう。いかにも人間らしい感情に基づいた行動です。また、痛いと嘘もつきます。これも人間らしさを感じさせます。さらに、フリルの暴走は、嫉妬や寂しさなど明らかに感情で行動しています。

 したがって、思考と感情を言動により表現する存在なので、フリルは、単なるAIではなく、「人間」です

 これについて、Twitter上でアンケートを取りました。

結果は、
①人間である。27,6%(8票)
②殺人機である。34,5%(10票)
③イジメる奴など、自殺原因のトラウマよりマシ。37,9%(11票)
となりました。

 予想通り③が一番多かったです。ただ、予想以上に①が多くて嬉しかったです。投票してくれた方、いいねしてくれた方、リツイートしてくれた方、参加していただきありがとうございました!



9 おわりに

 フリルのあずさ殺害や殺人教唆(『死の誘惑』)は、許される行為ではありません。しかし、アカと裏アカの身勝手な行動が元凶であり、フリルを救ってあげたいと思うのも事実です。

 フリルは、とにかく強烈なキャラでした。フリルを演じた山口愛さんは、本当に凄いです。

 ねいると妹の過去、田辺第一秘書の目的、小糸が自殺した真相、沢木先生の本性、彫像化が溶けた後の少女たちのその後など、まだまだ謎が山積みです。フリルたちとの対決も併せて、次回が待ち遠しいです。

 ということで、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。では、また次回、お会いしましょう。

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