見出し画像

夏休みとサイダー飲み放題とストラテジー

キンキンに冷えた三ツ矢サイダー。瓶ビールくん達の横に列然と並んでいる。冷蔵庫から取り出して、栓抜きをかける。

シュワっ!たぷたぷたぷ・・コップに注がれる。液体が喉元を通り過ぎるまで炭酸はわめき続ける。

私の子供時代の夏の風物詩である。(ペットボトルが無い時代である。)

夏になるとおばあちゃんの家では、孫や遊びに来る子供達の為に、三ツ矢サイダー(瓶)を冷蔵庫に欠かさずストックしておいてくれた。

夢のようだ。所謂!サイダーの飲み放題である。

普段はおねだりしないと飲ませて貰えない。「身体に悪い!飲み過ぎちゃダメー!」と注意されつつも 口に運ぶ至福のひととき。

昔はコンビニやスーパーで買うのではなく、地元の酒屋さんが運んでくれていた。(うちの近くは田中屋という名前だった気がする。)

◆昔の炭酸水の源泉◆

炭酸水とは炭酸ガスを含む水のことを指す。いまは自宅に炭酸製造マシーンを持つ家庭もある時代だが、昔は自然界の湧き水や源泉から採集していた。

因みに、アサヒ飲料から販売されている三ツ矢サイダーは、兵庫県の平野鉱泉「平野の湯」から産出されているという。ソフトドリンクに炭酸を加えると爽快感を感じることからも炭酸水ジュースが生まれたそうだ。

九州方面へ旅行した際にラムネ温泉なる炭酸温泉に入った経験がある。お湯の中でじっとしていると、泡がシュワシュワと密集してきて身体に張り付く。水の動きをみているだけでも面白い。炭酸温泉はリウマチや坐骨神経痛、心臓病などに効能があるのだとか。(炭酸は身体に悪いどころか、実はいいじゃないかあという話にもなったりしますな・・)

◆ 家族の参謀役?のおばあちゃん◆

幼少時、私は長期休みになると、一人で電車に乗り、母方の実家にあたる祖父と祖母の家までテクテク出かけて行った。東京郊外に位置し、割合、都心に近い場所である。

ワタクシ事で恐縮であるが、祖母は祖父とお見合い結婚。祖父は代々医者の家系だったらしいが家業は継がず、別の道を選んだ。大家族の家長(長男)でもあった祖父は、割合広い日本家屋を購入したようで、気軽に人が遊びに来ては出たり入ったりしていたという。庭には池があって、鯉が泳いでいた。(手前味噌話だが一般的に言えば成功した人生だったというわけである。「上には上がいるのだー!」とも書いておきたいけれど。)

孫にとっては別荘だか避暑地的な扱いになっていた。(おばあちゃん達は嫌な顔一つしなかったが、もしかしてウザく感じていたらゴメンナサイ!)

宿題はそこそこに済ませ、読書、漫画、あとはゴロゴロ昼寝。たまに都心へお買い物。@神田、原宿、渋谷・・。大体2週間位いつもいただろうか?

正直に言うと私は暇な子供だった。周りは中学受験の準備を始めた友達が多かったのだが、私は家族会議で受験しない事に決まってしまった。兄はサッカークラブの練習に夢中。父は仕事が忙しくて家に殆どいないし、母も主婦なので家を離れらず。私は時間をひとり持て余していたのだろう。(いま振り返ると気持ちを切り替えて「もっと勉強しときなさいよー」と後悔は募る・・。)

ちょっと淋しん坊?の私を母方の実家はいつも暖かく包容力たっぷりに迎えてくれた。この家には誰かしら喋る相手はいるし、都心へすぐ遊びに行ける。暇はしない。

祖母は子供のご機嫌をとる為だったのか、サイダーはまず欠かさずに、トンカツ、から揚げ、お好み焼き・・等々、いつも子供の好きそうなモノを満面の笑みで沢山並べてくれた。

そんな優しきおばあちゃんであった祖母はつい先日の2ヶ月前、95歳で他界した。お葬式で集まった大人たちは子供時代を思い出し「そういえば必殺技のたこ焼き機があったよねえ。懐かしい。」としみじみ反芻したものですよ。

◆ 「迷ったら2つ買っちゃいなさいよ!」の豪腕?◆

祖母は温厚で優しい性格だったので誰からも慕われていた。

実は私は優柔不断な性格で、買い物のときついどちらを買うか迷ってしまう。そんなとき祖母は必ず「迷ったら2つ買っちゃいなさいよ。」と言ってくれた。「両方買ってもいいのー?お小遣いの上限金額ないの?さすがー! おばあちゃん!」

おおっ!太っ腹? 大正生まれの豪腕っぷり?

私が生まれて初めて感じた最初のカルチャーショックだったかもしれない。目から鱗状態だった。

この名言?は格言にも置き換えられ、その後しばしば私の人生上の決定においても引用されてきた。

迷ったらなるべく両方の道を生かせるようにする。

「ビジネスにおいてもなるべく末広がりでいた方が実は互いにトクなのである」という意味合いが含まれている。

PR戦略においてもおかげ様で度々利用している。(おばあちゃんありがとう!)

祖母はおそらく祖父の立身出世に関しても、知恵やアイデアを捻出するべく日々努力する昭和の「内需の功」奥様だったようで「うーんー。もうちょっとおじいちゃんが長く●●を続けると✖︎✖賞を受賞したのにい。惜しいわあ。」と名参謀らしき発言をしていた。「ひええーっ!日本の主婦はそこまで計算してるの?」「いいなあー!私もおばあちゃんみたいな参謀欲しいっす!、いや名参謀になれたらなあ!」・・・・。

大胆不敵に?そして豪快?(と形容してみようか?)に、決定する。

大正生まれの生粋の江戸っ子、見た目はそんな豪快な事は決して言わなさそうな?カワイイ(そして皆から愛され!)おばあちゃんから学んだ昔ながらの貴重な知恵?だったようにも思う。

→祖父が海外出張(ハワイ)のお土産で買ってきた(どちらかという奇妙な)置物。ちょっとシュール?じゃない?「カワイオモロイ!」思わずパチリ!

その一方で・・・

母は悪知恵を子供に囁くのであった。「迷ったら絶対2つ買ってくれるからわざと迷っちゃいなさいよー。」娘を茶化す母である。「マヂか?大人の世界はそんなに汚いのかー?」祖母と母の関係性(※注:姑同士ではない)は、孫からみれば、なかなか不思議である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回余裕があるので、今回の日刊かきあつめのテーマ「夏休み」。夏に因んだ文学作品を取り上げてみたいと思いまっす!お時間のある方はどうぞお付き合い下さいませ。

◆ 真夏の夜の夢 byシェイクスピア◆

自称文学研究家鈴きの。今回の日刊かきあつめのテーマにはウィリアム・シェイクスピアの「真夏の夜の夢」をレコメンドしてみます。(余談ですが、ユーミン(松任谷由実さん)の90年代のヒット曲「真夏の夜の夢」も流行りましたね〜!

シェイクスピアは世界で一番有名な劇作家だろう。イギリスを演劇大国ならしめている立役者である。

真夏の夜の夢」のジャンルは、恋愛ドタバタ喜劇(コメディ)である。

恋愛モノは当時、悲劇が主流だったというから、なかなか斬新な発想だったようだ。シェイクスピアは同時期に悲恋モノ「ロミオとジュリエット」も執筆している。正反対な印象である。

あらすじは、ざっと複数のストーリーが同時進行。結婚に反対されたカップルとその取り巻き、森の中の妖精集団が登場して、これでもかと舞台を盛り上げる。妖精の男の子(パック)がキューピッドの惚れ薬を間違えて、人違いでかけてしまい大騒動になる。終幕では全て万事上手く片付いて、ハッピーエンドとなる。

恋愛のドロドロや人間の深層心理とは全く無縁の世界なので、アクの強い方には少々物足りなさを感じる方もいらっしゃるようだが、ユーモラスなストーリー性、また妖精役の衣装やファンタジー色溢れるセットなどから子供から大人まで老若男女楽しめる演劇となっている。

シェイクスピアは、今でもドラマのモチーフによく選ばれる。恋愛、立身出世、人間生活にまつわる様々なドラマが悲喜交々と書かれる。また韻を踏んだドラマチックなセリフが印象的だ。

せっかくなので、英語の原文もピックアップしてみようか?

真夏の夜の夢のクライマックスでは、とくにこちらの名セリフが有名。

  The course of true love never did run smooth.
     〜真の恋愛は決してスムーズに進まない。

真の恋愛とか書くとどこぞのゾーンの方たちは大喜びしてしまいそうだ。何かと恋愛するこじつけ的理由に使われるから?

鈴きのに至っては「真実の愛なんて!そんなのねえよっ!」と夢の無い事を長々力説しそうなので要注意!(※性格の違いといいますか?某古典的名作でも語られてます。まあ常識の範囲内でひとつ解釈をお願い致します。。)

シェイクスピア作品はとんち解決が多い。日本で言うならばの一休さんのような仕掛けと言えよう。

「数々の困難を乗り越える達成力」が魅力なのかもしれない。「おおーっ!そう来たかあ!」と拍手喝采!シェイクスピアの登場人物たちは不屈な精神力でもって決して目標を諦めないのであーる!

最後に。シェイクスピアの詩集から夏に因んだ詩を引用して締めくくりに。

  Shall I compare thee to a summer`s day?
      Thou art more lovely and more temperate:
〜君を夏の一日と比べてみようか?君の方がずっと美しくもっと温和だ。

ざっくり結末までまとめると「君は僕にとって永遠の存在である!(ひと夏の恋とは違う!)」と歌っているらしい。うーんー・・HaHa!恥ずかしくなっちゃうくらい。すっごくロマンチック!「そしていやあおっしゃる通りで!!」

近年ではこのようなラブラブロマンストークが死滅している感、漂う

昔の人はオラオラ系の恋愛と無縁なんですね・・。(いや?ツッコミポイントはそこなのか?ん?)刺激的な恋愛観を語る若者も増えているが、やはり恋愛の基本はこのような昔馴染みの「お互いに認め合い癒しあう愛」の気がしてならない。どちらか一方的に好きでもまあ当然NGなワケで。嫌よ嫌よも好きのうち・・なんて言葉は現実には当てはまらない・・のかもしれない。恋と友情は別物である。恋愛は恋愛なのであーる!なんちゃって・・。この線引きは難しいのだろうか?個人差が著しいのかと悩ましい。( はっ!鈴きのの分際でエラそうに失礼いたしました。。)

話し合いで解決をベースとする民主主義にもちょっと似ているだろうか?

初心に帰る思いにも駆られたりして・・?

しかし・・夏の午後は眠くなーる・・。

癒し癒し・・考えるだけでまた眠くなーるー Mmm・・勝てなーい睡眠欲・・zzzzzz

「あれ?鈴きのってば。今日も休み?またボサリングですか?」

「なーにー!あいつに夏休みは何日あるんかい?」

「イヤイヤ!鈴きのちゃんはどうせ家でゴロゴロ寝てますよ。春夏秋冬変わらず、寝てばっかり(なおばちゃん!汗)だと思いますよ・・」

「へっ!?マヂかい?」「淋しいやっちゃ!友達いないのか?アイツあ!」

鈴きのにとっては、真夏の夜の夢も真冬の夜の夢も同ヂだったか・・? 

そそ、そんなのワビし過ぎる・・汗汗。。。

がくっっ。。

ー The End ー

出典:

● 「真夏の夜の夢 MidnightSummerDream」  W・シェイクスピア

● 「シェイクスピアを楽しむために」 阿刀田高 新潮

● 「対訳シェイクスピア詩集」 柴田稔彦 岩波

● アサヒ飲料三ツ矢サイダー

● ラムネ温泉 (大分県)

● 「トスカーナの休日(映画)」 米国 C:ダイアン・レイン  

● 「三国志」 西晋

編集:アカ ヨシロウ →

================================

ジャンルも切り口もなんでもアリ、10名以上のライターが平日毎日更新しているマガジンはこちら。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?