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緑道

 死んだ赤子や胎盤は、より多くのものに踏み固められ、その生の祝福をまっとうできるよう、電車のレールの下へと埋葬されたが、ふとした開発の波によってレールは地下化され、地上の跡地には緑道が設けられた。緑道の白い砂は、強い日差しを照り返して貝殻のように輝き、道行く人々の目と肌を焼いた。私たちの半分の信仰のはじまりは、またこうして果実の中身だけがほじくりだされるようにして残った。

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