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夜の道

 しばらくしてから、へべれけ同士でどうにか階段をのぼり店をでた。とても深い洞窟の底から這い上がってきたような気分だった。外では知らぬ間に雨が降り、そして止んでいた。黒いアスファルトが鯨の背中のように鈍い光をもって輝いた。慣れないタバコの匂いが鼻に残っていて、雨の匂いと交わった。胃液の味がするよりはましだと思うと悪い気はしなかった。

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