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おほほ、えへへ、くほほ、テヘペロ

先日読んだ町田康氏の「入門山頭火」は大変面白かったのですが、山頭火の句は耳にしていてもどういう人物だったかは全く知らなかったので、とても良かった。その時その時の山頭火の心情を町田康氏は推し量っているが、こういう箇所もありました(無断引用)。

「この時の山頭火の微苦笑を文字で書くと、どのように書くだろうか。「おほほ」だろうか、それとも、「えへへ」だろうか。
私ならこれを、「くほほ」と記す。現今の人なら、「テへペロ」と書くかも知れぬが、これがもっとも山頭火のこの時の心情を表しているかも知れない」

何とも言えない感、さすが町田康氏。もちろん「くほほ」で笑い、「テヘペロ」で爆笑しましたが。

さて昨日の新聞は地元紙は結構きつかったですね。
一面トップは安倍元首相の裏金

これは地元紙の「「決別 金権政治」取材班」によるもの、河井事件でメディアも大きく傷ついたから(見て見ぬふりしてたんじゃないの?という声は大きかった)その後は相当本腰を入れているようです。
ただ、河井は安倍+菅+二階がやりたい放題ということで、岸田(宏池会)が散々な目にあわされたので、その仕返しというのもあるのかもしれませんが。
いずれにしても全国紙が追っかけていないので、よく書いたなと思いはしまぐが、ゲロした東日本の参議院議員は次回は目がないから…ということなので「テヘペロ」気分でしょうか。

また、地元紙の三面や社会面は水俣病被害者さんとの懇談会の不祥事ですわ。まああれだけテレビで放映されているから言い逃れできませんね。ただここでも書いてありますが、1週間たってからの火消し、謝罪というのは少々お粗末かと。あの時ちゃんと謝っていたら「おほほ、えへへ」程度で収まっていたかもしれませんが、今となっては「くほほ」と苦笑いがひきつった感じ。

でもここでよくわかるのは、被害者との意見交換の場が単なる儀式と環境庁が認識していたというのが赤裸々になったこと、さらに司会をしていたのは木内哲平特殊疾病対策室長だそうですが、彼を始め会場にいた職員は、水俣病被害者に向かってではなく、お忙しい中ご来県された環境大臣の方を向いて仕事をしていることが露呈したということですね。皆さんの心情はまさに「テヘペロ」であったと推察します。

別にこの日だけ大臣の方を向いて仕事をしていたわけではなく、日ごろからそうだったのがこの日に全国にバレバレになったということであろうかと思いますが、そうしたのは冒頭の安倍ちゃんですね。彼が「役人は国民じゃなくて政府(総理)の顔を見て仕事をしろ」と差配したツケがここに出たと思うのです。

もちろん裏金問題はテヘペロ主義の森氏が知らぬ存ぜぬ、首相も引導を渡せないという状態ですから、失礼ながら死人に口なしの細田、安倍両氏を中心人物だったと押し付けて、森氏や岸田氏は逃げこしだのだと思いますが、実は本丸は安倍氏だったんだろうなと皆さん思っているんでしょうね。
今回機密費流用が表に出ているということは、彼は当然ながら安倍派の裏金、キックバックという黒い金の渦中に位置し、そういった汚い金が周囲に満ち満ちていた人物であったと考えられますからね。

もちろん岸田君が今回も大臣も責任を取らないでOKというのは、先日の補選で惨敗しても誰も責任を取らないでいいというのを踏襲したのだと思いますが、水俣病懇親会の「やったふり」「儀式」というのも岸田君の「聞く耳」「岸田ノート」の薄っぺらさに繋がりますね。

地元紙のこの日の社説は少し骨があるものでした。その最後の部分。

「ふと思うのは、この問題で浮きりになった社会弱者への視線の冷たさだ。環境行政だけの問題なのだろうか。
8月6日、広島市の平和記念式典後に市主催の「被爆者代表から要望を聞く会」が開かれる。首相が式典に参列すれば、7団体から生の声をじかに伝える。核兵器廃絶への訴えとともに、戦後の「原爆孤児」や「黒い雨」被害の救済について要望してきた。
首相をはじめ国の側がどこまで本気で聞き、施策に反映しょうとしているのだろう。
水俣の事例を見ると「聞くだけ」ではないかと、不安にもなる。どんな分野であっても弱者の声に真剣に耳を傾け、その命と暮らしを守る責任を忘れないでもらいたい。」

菅氏は式典の時、見事に読み飛ばしをして、それを内閣府の皆さんは乗りが張り付いていて…ご誤魔化したのがバレましたが、この社説にある「被爆者代表から要望を聞く会」はまさに「単なる儀式」であると政府も地元首長も、さらにいえば被爆者代表も半ばあきらめて毎年のお約束化しているように私は思っています。間違いなく毎回ゼロ回答ですからね。
地元紙がいう「社会弱者への視線の冷たさ」は安倍政治以降顕著になった与党の政治姿勢で、何ら驚くに値しない。「くほほ」でもなく「苦苦苦(ぐぐぐ)」ですわ。


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