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美川状態と呼ぶべきか

毎日毎日ジャニーの犯罪の余波報道ばかりでうんざりしますが、これにはびっくりしました。

「もう、ずっと知ってましたから」ときっぱり。「暗黙の了解で見てみない振りをしてっていう。マスコミの方たちもそうだったと思う。あの時代の時は皆そういう気持ちで。触れてはいけない、言ってはいけない。そういう時代でしたから」

というのにびっくりしたわけではありません。驚いたのは「知っているのに知らないふりして何が悪いの」と行間から読める態度ですわ。

これを「美川状態」と呼びたいです。「知っているのに知らんふり」+「知らないふりして何が悪い」という状態ですね。

こういう開き直りは日本人だからなのかな、そういえば同じように統一教会の問題も同じで、昨年元首相が銃殺されて表ざたになったように見えますが、美川氏の言葉を借りれば

「もう、ずっと知ってましたから」ときっぱり。「暗黙の了解で見てみない振りをしてっていう。マスコミの方たちもそうだったと思う。あの時代の時は皆そういう気持ちで。触れてはいけない、言ってはいけない。そういう時代でしたから」

同じじゃないですか。少なくとも私前後の年齢の人は大学時代に原理問題とか、統一教会のトラブルは普通に聞いていました。だから私くらいの年齢以上の日本人はすべて「美川状態」だった、恥ずべき事、またその被害にあわれた方、今も苦しんでいる方に対して實に申し訳ないことだと思います。

しかし「美川状態」は他にもあるように思います。広島では再び河井問題が火を噴いていますが、一方で金を貰った議員(前議員)への裁判も続いています。
彼らはお金をもらったことは否定していません。そのお金が「陣中見舞いだった」と言っているだけ。政治家が政治家に領収を取らない金を配って、もらって何が悪いのか。と異口同音に言っているのです。
美川語録で言えば

「金のやり取りは暗黙の了解、見てみない振りをしてっていう。マスコミの方たちもそうだったと思う。今も昔も皆そういう気持ち、赤信号みんなで渡れば怖くないでしょ。皆なんだからそのことに触れてはいけない、言ってはいけない。今もそういう時代なんです」

美川憲一と言えば「さそり座の女」ですが、あの歌詞はどんなもんでしょうか、

「いいえ私は さそり座の女
お気のすむまで 笑うがいいわ
あなたはあそびの つもりでも
地獄のはてまで ついて行く
思いこんだら いのちいのちいのちがけよ
そうよ私は さそり座の女
さそりの星は いちずな星よ」

という斉藤律子氏の作詞の歌ですが、さそり座(10/24~11/22)生まれの方はなんだかこの歌で色付けされたみたいで嫌だったんじゃないでしょうか。

わたしは「さそり座」といえば宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」出てくる「さそりの火」の話の方が圧倒的に好きです。死にかけたサソリの最後の言葉は。

「ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私が今度いたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命逃げた。それでもとうとうこんなになってしまった。ああなんにもあてにならない。どうしてわたしのからだを黙っていたちにくれてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神様。私の心をごらんください。こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸いのために私のからだをおつかい下さい。」

そして賢治が示す「本当の幸い」は他者のために生きることによってのみ得るということを語っています。今年あったETVの「こころの時代」をご覧ください(6分半あたりから)。

ジャニーはサソリのまま死に、その一族や所属タレントは知っていながら…で子サソリのままでした。そして知っていながら知らんふり発言の美川氏もまたサソリのまま死んでいくのでしょうか。
多くの被害者の方に本当の幸いがもたらされることを祈りたいです。

我が国は人権というものに対して、戦前から特に為政者が軽く扱っているからか、国民全体も軽く考えているように思います。
性暴力、DV、ジェンダー、不法滞在者、難民、環境…人道に対する犯罪。
人権犯罪と感じられることが21世紀にの今でも多く報じられるのは、私たち日本人の多くが「美川状態」で良しとし、被害者(少数者)を軽んじているからだと思います。
それは宮沢賢治の示している蠍の姿であることに気が付かない愚かな姿。もちろん私自身も「美川状態」ではいけない、あらゆる弱者に対して、蠍のままではいけないと強く感じています。

「所属タレントに非はない」のスポンサー企業、メディア各社の大号令もそれで決着していいのですか?所属タレントも「美川状態」だったかもしれませんぞ。


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