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社員は仲間だけど友達じゃない


新卒の頃はわからないことだらけで、何がわからないのかっていうと、何がわからないのかもわからないといった状況だったもんで、誰に聞けばもいいかわからず問題を抱き抱えたまま何となく困った顔をして見せて誰か優しい人が声をかけてくれて「それならOO部のOOさんに訊いたらいいよ」みたいなことを言ってくれるのを待ってた。
でもそのOOさんを探すためにOO部の島まで行くんだけど、OOさんがどの人かもわからず、「すみませんOOさんの席ってどこですかね」って訊く相手もおらず、とりあえず自席に戻って座席表のPDFを探そうかな…などと考えながら一旦退却してるうちに、何も進めないまま部屋の中をお散歩してるだけといった有様でもう本当にどうにもならない。そのどうにもならなさが腹立たしいやら、悔しいなら、情けないやらで。

今思えば、とにかく聞けばよかったんだよな。他部署の人わかんないとか、話しかけたことないとか、そんなふうに人を選んでオドオドして助かる人なんていないわけで、その頃の自分に伝えることがあるとすればそれは会社の人間は全員もれなく味方なのだと言うこと。もちろんイライラしている人もいるし頭がおかしい人間もいるけれど、でも一応体裁としては全員同じ会社の看板を背負って共通の利益を追求している同志であり、会社が死ぬ時は一緒に沈む運命共同体なのだから、同じ船に乗っているのは間違いないのだ。だから、誰に訊いてもいいし、何度訊いてもいいのだ。図々しく話しかけて、(それが仕事にとって必要なこと、会社にとって必要なこと)なら無鉄砲に声をかけまくればよかったのだ。社員にしたって、そんなふうに無鉄砲に話しかけまくってるやつのことの方が覚えやすいし、声をかけたくなるのだから。

そしてー必ずこの話をするなら僕は必ず付け加えたい。勘違いしてはいけないのだけれど、社員は全員もれなく君の味方だけれど、友達じゃないよ、と。確かに会社で働いていれば共通の趣味が判明して、たとえば一緒に釣りに行く仲になったり、帰りに映画に行ったり、何ならそこから恋愛に発展してーというケースだってあるだろう。しかし、もし釣りに行っても映画に行っても、マジしんどい現場を共にやり遂げたとしても社員は友達ではない、と僕は思う。「いや友達やねん!」と言う方もいらっしゃろうが、僕はこれまでに痛い目にあったり、痛い目にあった人を見るに、やはり社員というのは仕事を一緒にする人であって、自分の家族でもなければ友人でもないと完全に線引きした方が身のためだなとはっきり思ったのだ。

それは例えば「どういう人がタイプ?会社でいうと?」と言う質問や、自分の性的嗜好、過去のやらかしたエピソード、浮気歴、若い頃の軽犯罪自慢など、とにかくあらゆる事象が破滅に直結している。前述の通り、会社の人間はもれなく味方なので、(よほど劣悪な環境でない限り)根掘り葉掘り自分の破滅の粗を探してくる人はいないだろうけれど、しかし人の弱みや失敗談ほど良い「酒の肴」と言うのもそうそうなく、そもそもあらゆる職場において他者の噂話が最も広がりやすい特性を持っているため仕方のないことだ。仕方のないことってくらい普遍的なことなので、やはり友達や家族に話すようなことは友達や家族に話すべきであり、職場の人間は断じて友達ではないのでそこは冷静に線引きをするべきなんだなあ、と思っている。10年くらい会社員をして得た数少ない知見だ。



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