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ヨーロッパの雑草


「今日は振替休日でお休みなんだ〜」と同棲中の彼女さまに伝えたら、「ふーんそうなんだ、今夜はさぞかし豪勢な夕飯なんだろうなぁ。楽しみだなぁ、フランス料理かなぁ!」と言われてしまい、ちょっぴりカチンと来たので「今夜は絶対フランス料理つくったる」と意気込み、本当に作った。

お料理アプリ「クラシル」と睨めっこしながら作ったのがベックオフとエチェベだった。乱暴に説明してしまうとベックオフはフランスの肉じゃが、エチェベは蒸した野菜だ。その必要な食材を見ていくと「タイム」とあり、タイムって何よ!と思って調べてみると料理の最後にそっと乗っける草のことだった。バジルとかパセリみたいなもんか。ふーん。
フランス料理としてやり切るならやはり必要だろうな。でも近所にそんなオシャレなものが果たして置いてあるだろうかー。

そう思ってスーパーに行ったら果たしてあった。けっこうびっくりした。瀬戸内レモンの隣くらいにあった。意外とあるものなのだ。すごいなスーパーって。


仕事から帰ってきた彼女さまとフランス料理を食べた。彼女さまは「まさか本当に作るとは…冗談だったのに」みたいなことを言っていた気がする。タイムはそのまま口に入れるものではない(maybe)のでよけて食べたけれど、香りがすごく爽やかな感じで、ちゃんと料理に加えてよかった、と思った。これが僕のタイムの思い出。



「鈴木さん、タイムです!ほら!ビニール袋に包んでおいたので!持って帰ってください!」と言われて袋いっぱいのタイムを受け取った。
ロケの撮影が終わって、そこで使った植栽の余りで、袋を覗くと黒いビニール製の鉢にぎっしりとタイムが生えていて良い匂いがした。タイムってこんなふうに生えるんだ、と思った。
「タイムって日当たりとか水とか、どんなふうに育てたらいいですか?」と聞いてみると、「うーん、まぁ、ヨーロッパでは雑草だから!勝手に増えるよ!」という豪快な返事が帰ってきた。日本でいうシソとかよもぎの類らしい。確かに放っておけば勝手にたくましく育っていくイメージがある。

さっそく鉢を買ってタイムを移し替えて眺めてみる。
いい感じだ。ヨーロッパの雑草。それでもやはり日本に生えているものではないので、異国情緒というか、ちとオシャレなものを家に置いている気持ちになる。いざとなったらまたフランス料理を作ってみることにしよう。




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