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書記が法学やるだけ#15 取消訴訟の審理手続

問題


解説

(1)誤り行政不服申立てにおいては処分の違法性・不当性が審理の対象となるのに対し,行政事件訴訟では処分の違法性のみが審理の対象となる。また,取消訴訟においては,自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができず,これに違反した場合は棄却判決となる(10条1項)。

(2)正しい:行政事件訴訟に関し,この法律に定めがない事項については,民事訴訟の例による(7条)。例えば「当事者は,訴訟について,裁判所において口頭弁論をしなければならない」(民事訴訟法87条1項)。

(3)正しい裁判所は,必要があると認めるときは,職権で,証拠調べをすることができる。ただし,その証拠調べの結果について,当事者の意見をきかなければならない(24条)。

(4)正しい:裁判所は,訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは,当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で,決定をもつて,その第三者を訴訟に参加させることができる(22条1項)。また,裁判所は,処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは,当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で,決定をもつて,その行政庁を訴訟に参加させることができる(23条1項)。

(5)誤り:取消訴訟については,処分又は裁決が違法ではあるが,これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において,原告の受ける損害の程度,その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ,処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは,裁判所は,請求を棄却することができる(事情判決)。この場合には,当該判決の主文において,処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない(31条1項)。

(6)正しい:処分又は裁決を取り消す判決は,第三者に対しても効力を有する第三者効,32条1項)。また,処分又は裁決を取り消す判決は,その事件について,処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する(拘束力,33条1項)。


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