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書記が法学やるだけ#34 債権譲渡,債務引受,債権の消滅

問題


解説

(1)正しい:債権は,原則として自由に譲り渡すことができる(債権譲渡,466条)。ただし,債権の性質が譲渡を許さないときは,債権譲渡はできない。債権の譲渡は,譲渡人が債務者に通知をし,又は債務者が承諾をしなければ,債務者その他の第三者に対抗することができない(467条)。

(2)誤り併存的債務引受の引受人は,債務者と連帯して,債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。併存的債務引受は,債権者と引受人となる者との契約,あるいは債務者と引受人となる者との契約によってすることができる(471条)。一方で,免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し,債務者は自己の債務を免れる。免責的債務引受は,債権者と引受人となる者との契約によってすることができる(472条)。

(3)誤り:債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは,その債権は,消滅する(473条)。債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において,弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは,これを順次に費用,利息及び元本に充当しなければならない(489条)。

(4)誤り弁済の提供は,債務の本旨に従って現実にしなければならない(現実の提供)。ただし,債権者があらかじめその受領を拒み,又は債務の履行について債権者の行為を要するときは,弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる(口頭の提供,493条)

(5)正しい:弁済者が,債権者との間で,債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において,その弁済者が当該他の給付をしたときは,その給付は,弁済と同一の効力を有する(代物弁済,482条)。判例(最判昭40.4.30)によると,金銭債務の債務者が,債権者の承諾を得て,金銭の代わりに不動産で支払う場合,登記その他引渡し行為を完了し,第三者に対する対抗要件を具備したときに代物弁済による債務が消滅する。

(6)誤り二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において,双方の債務が弁済期にあるときは,各債務者は,その対当額について相殺によってその債務を免れることができる(505条)。なお,相殺が禁止される事例として,悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務,人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務などが挙げられる(509条)。


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