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書記が経済やるだけ#15 寡占市場における均衡

複数の企業により支配される状態である寡占について分析する。


問題


説明

寡占とは,ある商品やサービスに係る市場が少数の売り手に支配されている状態であり,以下に示す複数のモデルがある。


クールノー競争では,企業が互いに独立して同時に生産量を決める。この場合も均衡供給量は完全競争の場合に比べて低くなり,均衡価格が増加するため総余剰は減少する。一方でベルトラン競争は他の企業の意思決定を所与に自社の価格を選択する。


シュタッケルベルグ競争とは先導者とされる寡占企業が価格決定した後に
追随者が価格決定を行うモデルで,後で示すように先導企業のほうが利潤が高くなる。


解答

x財が2企業のみが支配する状況において,価格pは2企業の供給量x1,x2から決まり,それぞれの企業は相手の供給量を一定とした上で利潤を最大化するよう自身の供給量(反応関数)を決める。ここで,反応関数の交点がクールノー均衡となる。


ベルトラン均衡では,相手の価格を一定として自身の利潤を最大にする自身の価格を決める。


シュタッケルベルク均衡について,追随者である企業2は反応曲線にしたがって行動し,先導者である企業1はその行動を前提として供給量を決めることができる。もし先導者と追随者が固定されているなら均衡が達成されるが,お互いが自身が先導者と考えている場合は均衡が成立しない。


最後に具体的な計算を示す。クールノー均衡に比べ,シュタッケルベルク均衡では先導者の利潤が多いことがわかる。なお,共謀により利潤の和が最大になるように行動することで,より少ない供給量で利潤を得ることが可能であるが,このようなカルテルは規制されることが多い。



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