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書記が法学やるだけ#17 行政事件訴訟法における執行停止・教示

問題


解説

(1)正しい:行政事件訴訟法においても執行不停止の原則が適用される。なお,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については,民事保全法に規定する仮処分をすることができない(44条)ことから,執行停止が認められることがある。

(2)誤り:執行停止の決定は口頭弁論を経ないですることができるが,当事者の意見をきかなければならない(25条6項)。執行停止の決定が確定した後に,その理由が消滅し,その他事情が変更したときは,裁判所は,相手方の申立て(職権×)により,決定をもつて,執行停止の決定を取り消すことができる(26条1項)。

(3)正しい内閣総理大臣は,執行停止の決定をした裁判所に対して異議を述べることができ(27条1項,5項),異議があつたときは,裁判所は,執行停止をすることができず,また,すでに執行停止の決定をしているときは,これを取り消さなければならない(27条4項)。また,内閣総理大臣は,やむをえない場合でなければ,第一項の異議を述べてはならず,また,異議を述べたときは,次の常会において国会にこれを報告しなければならない(27条6項)。

(4)正しい仮の義務付け・仮の差止めについて,するための要件;「償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がある」かつ「本案について理由があるとみえる」こと,できない場合;「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」。

(5)誤り:行政事件訴訟法においても教示が適用される。行政不服審査法との違いとして,利害関係人への教示義務がないこと,誤った教示などの救済規定がないこと,などが挙げられる。


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