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ソレが捨てれないのは何故なのか?:読書録「あなたの人生、片づけます」

・あなたの人生、片づけます
著者:垣谷美雨 ナレーター:白妙あゆみ
出版:双葉文庫(audible版)

先日、読んだ(聴いた)「あなたのゼイ肉、落とします」の姉妹編。
こっちの作品の方が先なんですけどね。
「ゼイ肉」の姉・大庭十萬里が、「片付け屋」として登場します。


「ダイエット」の基本が「消費カロリー>摂取カロリー」であるとしたら、「片付け」の基本は「捨てる」。
「そんなの分かってる!」
…じゃあ、なぜ出来ないのか。
その精神的・心理的な澱みや歪みを解き明かすと言うのがこのシリーズ。
原因やキッカケに、登場人物だけでなく、その家族との関係が強く影響してる…ってのも共通しています。


本作も4つの短編の連作。

・不倫をしている30代の女性(清算)
・妻を亡くして、一人暮らしをしている職人(木魚堂)
・子供たちは独立して独立し、自分は田舎の豪邸で独り生活する女性(豪商の館)
・息子を亡くした悲しみから立ち直れず、家事も家庭も顧みなくなった女性(きれいすぎる部屋)


「片付け」には当然ある種の「スキル」があるんですが(だからこそアレだけ「片付け」本がシュッパンされている)、そこはほとんど触れられず、登場人物たちの精神的・心理的な傷を十萬里が探りあて、それを解いていくことに焦点が当てられています。
まあ、ノウハウ本じゃなくて、小説ですからねw。


どの短編も面白かったけど、一番グッときたのは4作目かなぁ。
この作品は他とはちょっと違ってて、視点が「十萬里」視点になってて、彼女がお客さんの「謎」を解いていく…というスタンスが強く出ています。
「ちょっと立ち入りすぎでは…」
と思いつつ、終盤の展開にはグッときて、ラストには明るい気持ちにも。
この読後感の良さが垣谷さんの持ち味ですね、やっぱり。

まあ、「捨てる」しかないんだよな〜。
その基準となる「要る/要らない」「使う/使わない」の価値判断のところに、その人を縛る<何か>がある。
その<何か>はその人を形作ってきたものでもあって…
…って、こうなると「自分(=僕)」の話ですなw。
本棚の整理、せんとな〜。



#読書感想文
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