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忘れ去られた探偵たちの競演。確かに知らんキャラ満載w:読書録「帝都探偵大戦」

・帝都探偵大戦
著者:芦辺拓
出版:創元推理文庫

江戸末期、捕物帳の主人公たちが活躍する「黎明編」
第二次対戦開戦間際、大正・昭和初期に活躍した探偵たちが開戦を回避しようと共闘する「戦前編」
戦後混乱期を背景として、少年探偵たちを交え、探偵・警部たちと、伝説の犯罪者との戦いを追う「戦後編」


この3編に、鮎川哲也パスティーシュの一編を加えた作品。
国家統制の前に存在を忘れ去られた探偵たちを登場させる「戦前編」、戦後の一時期に隆盛を迎えながら、社会派推理の登場にその活躍の場を奪われた本格推理の探偵たちを描く「戦後編」。
この2編は「忘れ去られた探偵たち」を紹介する意図もあるので、登場する探偵たちのほとんどが「知らんな〜」って存在でした。
まあ、「明智小五郎」周り(小林少年や二十面相)はわかりますが、他だと「法水麟太郎(黒死館殺人事件)」「神津恭介(刺青殺人事件)」くらいかしらん?
(ま、イギリスから来た二人は分かるとして)
作品としては読んだことがあるのもパラパラあったんですが、「探偵役」の方は記憶に残ってないんですよねぇ。
(明智に並ぶ日本の探偵二大巨頭の片割れ「金田一耕助」が登場しないのは著作権がらみかしら?
明智小五郎も「顔出し」程度だったので、「有名なんだからええやろ」ってとこかな。
芦辺さんは「明智小五郎対金田一耕助」を書いているし)


もっとも「黎明編」に登場するメンバーは全員分りましたw。
これは時代劇の影響もありますかね。
僕の好みもありますが。



本格推理は社会派に追いやられたのは確かですが、その後「新本格」の巻き返しもあります。
その観点からは「復活編」(w)とかで、「新本格」の面々を登場させての一編があっても面白いとは思うんですが、それこそ「大人の事情」で難しいかしらん?
ま、似たようなのは「竹本健治」さんあたりが書いてるとも言えますがw。



本格推理小説好きなら読んでも面白いんじゃないですかね。
紹介されてる探偵たちの作品は、最近だと結構手に入りやすくもなってるように思います(主に短編集で、ですが)。
まあ、そこまでやるのは「物好き」といえば「物好き」。
僕もそこまではチョット踏み込む元気はないですなぁ。




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