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本格派を期待したんですが…。面白かったですけどw!:読書録「木曜殺人クラブ」

・木曜殺人クラブ
著者:リチャード・オスマン 訳:羽田詩津子
出版:ハヤカワミステリ

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この題名で連想するのは、もちろんクリスティの「火曜クラブ」。
集まった面々が語る「謎」を解くのは、いつも耳を傾けているおばさん(ミス・マープル)。
アシモフの「黒後家蜘蛛の会」も同じ構図ですね。錚々たるメンバーが集まりながら、「謎」を解くのはウェイター…という。
言ってみればある種の「なめて〜た〜」物語なんですが、コレがまあ、面白いんですよねw。


この題名でイギリスの作家、クラブのメンバーは引退した老人たち…ということで、新手の「なめて〜た〜」物語の誕生を期待してたんですが…ちょっと違いましたw。
第一、本作。「長編」なんです。
「火曜クラブ」も「黒後家蜘蛛」も短編集ですからね。
さらにそれらが、いわゆる「本格もの」であったのに対して、本作は「ミステリー」ではあるけど、「本格派推理」ではない…。
コレまた、ちょいとアテが外れました。


でもねぇ。
いや、外されたんだけど(勝手なこっちの思い込みですけどw)、面白いんですよ、コレ。
ちょっと謎めいた過去もありそうな高齢者主人公たちが、若干オフビート気味に殺人事件の捜査にのめり込みつつ、それでもシッカリと「真相」に近づいていく。
その「真相」には、時に「時間の経過」が絡み、そこに「年齢」や「老い」、「過ぎ去って行くものへの想い」のようなものが重なって…。


本格推理小説ではない。
でも現代ミステリーとして、上出来な内容になってると思います。
そんでもって、「なめて〜た〜」物語としても、コレがまた…。


イギリスらしい、
「全てを言い尽くさない」
スタイルが、「過ぎ去った時間」を抱えた主人公たちの姿にいい具合に陰影を与えてくれてるんですよ。
エンタメ本なんで、基本は面白く読めるんですけどw。


続編もあるらしいです。
楽しみだな〜。


#読書感想文
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#ハヤカワミステリ

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