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哲学的パネルでポン1 -パネポンの速度とは?~現代技術と数学・スポーツ精神を添えて~-

『速ければ速いほど良い』

世界では、現在進行系で無線通信システムを5Gにしようという動きが加速していたり、技術向上による速度のアップデートが日々行われています。
これらによって、少なくとも日本では我々の生活もものや技術の速度に頼れるようになっているんだなぁと、特にガジェットを買い替える度に実感させられます。
生活で言うと、Amazonの恩恵はとてつもないですし(運送会社さんいつもありがとうの気持ち)、パソコンのCPUで最近発売されたもので言えば、M1 MAXやintel第12世代が高く評価されているようです。
5年前まで最大クロック4Ghz前半あれば「ええやん」だったのに、今では5Ghzまで出せるようになっており、「かがくのちからってすげー!」という某ゲームの台詞が自然と出てしまいます。
動画でCPUのレビューを視聴すると、「やっぱり速ければ速いほど良いよね」といった言葉が耳に入り、『速ければ速いほど良い』は現代における1つの指標になっているんだなぁと思います。

さて、その指標を用いてパネルでポン(以下パネポン)のお話をしましょう。
パネポンにおける『速ければ速いほど良い』とは何でしょうか?
一応中級者以上向けぐらいのお話です、ご了承ください。
またこの記事では、上級者とは

・Lv10対戦を常に天井に着いた状態で3分以上戦える方
・スコアアタックで20000点以上出せる方(難易度不問)
・その他読んでる方が「この人パネポン上手いなー!」と思ってる方々

とさせてください。
(それぞれのモードでゲーム性が違うので、これらの例えは一部です。)

”速い”の種類

まず、パネポンにおいての速いとは何があるか?を考えていきましょう。

1番に挙げられるのは『操作速度』だと思います。
上級者の操作速度を見てると、本当に人間が操作してるのか?と思うぐらい速いですよね。
(見たことがない方は、是非スコアアタックやレベル10同士の対戦の動画などを見て感動して欲しい、という勝手な想い。)
それを見て「あのぐらい操作速度があれば楽しいだろうなぁ」「このぐらい操作速度があれば何でもできそう」と思う方も多少いらっしゃるかと思います。
そして「何でそのパネルが見えてるの?」「どこからそのパネルが生えてきたの?」という部分が出てきます。
これらは、決して操作速度だけで賄えるものではありません。

続いて、パネポンにおける速いの種類に『パズルの思考速度』が挙がってきます。
パズルの思考が速い、とは何でしょう?
例えば、10-2という式を出されて答えを求められたとき、多くの方は8であると即答できるかと思います。
これは10-2=8であると知っている、覚えているから即答できるのです。
引き算を覚えるとき、「りんごが10個ありました。2個食べます。残りのりんごはいくつ?」と例題が出され、

🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎から
🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎🍎    になった

「元々10個あったけど2個食べちゃった。残ったりんごを数えたら8個になっていた。」と、ある程度の理屈をもって先生から教わったはずです。
(お腹には2個あるから、見えないものも含めたら10個ある!というのは今は勘弁してください。)
しかし、慣れてくればこの理屈を端折って「残りのりんごはいくつ?」の答えが出てくるようになっているのは、身をもって体験していると思います。

パネポンにおいても、「この形があった場合、この配置にすれば、同時消しまたは連鎖になる」ということを覚えておけば、理屈を端折って即答ができるはずです。
これが、個人的な『パズルの思考が速い』の解釈です。
逆に言えば、「"どの"形があった場合、"どの"配置にすれば、同時消しまたは連鎖になる”のか”」と思っていると、思考から結果に反映させるまでの速度の低下に繋がってしまいます。
とは言え、理屈で考えることは、物事を成長させるにおいては非常に大事な工程です。
もし「パネポンを手っ取り早く上手くなりたいな~」とこの記事を読んでる方の中でいらっしゃいましたら、まずは「この数式が出てきたら、こうすれば良いんだ!」と覚えるのと同じように、パネル配置を記憶してみてはいかがでしょうか?
ですが、形は覚えたは良いけど理屈を説明できない、というのは大抵応用が利かないので避けましょう(自戒)。

さて、実はもう1つ速度についてのお話をしなければなりません。
それは『パズルの思考に対する正誤の判断速度』です。
これは13連鎖まで繋げられる力や、対人戦におけるお邪魔パネルを解凍する力などに直結します。
また数式を例に出しますと、「$${x^2+4x+6}$$を因数分解せよ。」と問われたとします(数学苦手な方は「つまり何が言いたいか?」まで飛ばして読んでも大丈夫です)。
これを解こうとしたとき、恐らく『たすき掛けを用いる』『解の公式を用いる』という2つの方法を思いつくかと思います。
(解の公式:$${x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}}$$)
そして、これは大抵の場合『解の公式を用いる』方法を採られるはずです。
たすき掛けを用いて解こうとすると、

乗算して1になる組み合わせが ±(1,1)
加算して4になる組み合わせが (1,3) (2,2) (-1,5)
乗算して6になる組み合わせが ±(1,6) ±(2,3)

と、共通する組み合わせが存在しておらず、たすき掛けでは解くことが苦しいと分かります(色々と省略しています、ご了承ください)。
ですが、慣れてくると$${x^2+4x+6}$$という数式をパっと見たときに「あっ、たすき掛けでは無理だから、解の公式で計算しよう」と瞬時に判断できるようになるのです。

つまり何を言いたいのか?ですが、『答えを導くことを目標としたときに、選択肢がある中で特定の工程を用いなければ、上手く事が進まない』ということです。
これをパネポンに置き換えると、例えば『13連鎖を目標としたときに、選択肢がある中で”この連鎖をしていかないと”後に続かない』といったことになります。
先述した数式は、単純明快で答えが出やすい一種の”綺麗なもの”なのですが、パネポンの盤面はもっと現実世界のように、多くの数式が絡み合ったものがプレイヤーに見えています。
紐解いていけば答えは絞ることができるのですが、多くあるパネルの中で選んだパズルに対する正誤の”瞬時の”判断が、対人戦やスコアタなどで多く求められます。
何気なく見ているプレイも、経験によって選び抜かれたパズルの答えなのです。

心技体

ここまで『操作速度』『パズルの思考速度』『パズルの思考に対する正誤の判断速度』の3種類の速度を見てきました。
プレイヤーはこれらの速度を用いてパネポンをプレイするのですが、では実際にプレイとして上手になっていくためには何が1番重要なのでしょうか?

スポーツなどで使われる、心技体という言葉があります。
これは『心=精神力、技=技術、体=体格・体力の3要素をバランス良く鍛錬すれば、能力が発揮される』などと言われております。
しかし、バランス良く鍛錬すれば、とは言いますが、そう器用にできる人は恐らく一握りですし、何事も優先順位というものが存在していると思います。

3要素と言われると、例えば人間の三大欲求というものも浮かびます。
これは『食欲、睡眠欲、性欲(排泄欲または集団欲)で構成される人間が抑えられない欲求』などと言われております。
「お腹が空いて食べたら眠くなってきたから、性欲処理は後日で良いや」とか「眠いからご飯食べるの良いや」とか、不足している欲求の優先順位が場合によって変わってくるのは、身をもって体験しているでしょう。
これと同じで、心技体にも場合による優先順位が存在しているはずです。
極端な話、ベンチプレス100kgを上げられるような体にしても、パネポンが超絶上手くなるかといえば大半はそうではないでしょう。

といったように、3種類の速度にも例に漏れず優先順位がありそうと言えそうです。
速度を全て書くと、文章が間延びしそうなので

心 = パズルの思考に対する正誤の判断速度
技 = パズルの思考速度
体 = 操作速度

と置き換えさせてください。
一応理由を説明しておきますと、

心 = パズルの方向性を意志決定する力
技 = 経験や知識を積み重ねた力
体 = 思考を操作に反映させる力

といった感じです。

パネポンにおける鍛錬の優先順位を考えていくと『技≧心>体』ではないか、という私個人の感覚があります。

技の優先順位も高い理由ですが、「パネポンというゲームの本質は、やはりパズルである」ということに起因しています。
先程のりんごの例で書いたことの繰り返しになりますが、覚えているから即答できるのは、それまでの経験や知識があるからです。
経験や知識が蓄積されていればパズルが解けますし、解けるならばパネポンの本質的な部分はクリアできる、ということにもなります。

続いて心は、≧としていますが>は本当にごく僅かな記号で、技とほぼ同等であると思っています。
ですが、ごく僅かに優先順位を落としたのは、「技を鍛えていれば自ずと心も鍛えられるであろう」というところです。
『心=パズルの方向性を意志決定する力』は、あくまで経験論ですが、簡単に鍛えられるものではないと思っています。
心の力を極限まで鍛錬したならば、ある種の”直感”になり得ます。
パズルの方向性が全て正しければ、13連鎖&マルチ3回や、お邪魔パネル解凍の最適解&最大攻撃力を常に叩き出せるような、凄い力になります。
大変魅力的ではありますが、優先して鍛錬しようとすると、恐らくパネポンが楽しくなくなってしまうのではないかと思います。
といったところで、「技を鍛えるついで」ぐらいの気持ちでいて欲しいという意味で、ごく僅かに優先順位を落としました。

体の優先順位が1番低い理由ですが、こちらもまた「パネポンというゲームの本質は、やはりパズルである」ということに起因しています。
パネポンの本質的な部分がクリアできているならば、”操作速度に依存しないパズル”を完遂することが可能なはずです。
先程のりんごや2次式の例を解くのに、例えばノートに書く速度は、目の前の先生が板書が早くて追いていかれるとか、夏休みが明日で終わるのに宿題が終わっていないとか、そうでない場合は優先順位が高いとは言えません。
こういった場合もあるので、『操作速度に依存しない』ということの全てを蔑ろにすると、痛い目を見るのは私自身も体験済みです。
ですが、それは自らの能力を見誤っていたに過ぎませんし、心と技をパネポンのゲーム内に反映させた時点で何かを間違えていることに他なりません。
また、「パネポンには反射神経(身体能力)が必要だ」と仰っている方を散見しますが、私の中での数少ない「それは絶対違う」と思う意見です。
でなければ、万年体育の評価が1か2の私がパネポンVSのRTAで世界一になれる訳がありません。
パズルに対する正誤の”瞬時の”判断のことを「反射神経」という表現にしている可能性もありますが、改めてこれは身体能力に依存するものではなく、経験値に依存するものであると言い切りたいです。

操作速度は不要なのか?

話の冒頭に「現代社会は通信システムを5Gにアップデートしようとしている」と書きました。
ですが、「果たして本当に5Gほどの速度が必要なのだろうか?」と個人的な感覚があります(技術向上に対して否定的ではない)。
ただ「4Gでも十分なのに、無理に5Gにしようとしていないか」をパネポンで言い換えますと、「必要以上に操作速度を出して、無用に頭や体のリソースを割こうとしていないか」ということになります。
5Gは『通信は速いが、電波が飛ぶ距離が短い』という特性があります。
パネポンで置き換えますと『カーソル速度は出るが、速度を出せる時間は短い』となります。
そして、これが必要な場面は意外と限定的です。
必要な場面でサッと速度を出せるならば出せる方が対応力が広がって良いことなのですが、速度に依存した結果パズルができなくなっているのでは、本末転倒です。

では、「4Gも不要なのでは?」という議論になると、”この記事ではNo”と言っておきます。
当然と言えば当然ですが、ゲームスピードに比例して必要な操作速度の一定ラインも上がってきますし、自分のミスの量に対しても比例して操作速度が求められます。
パネポンは『アクションパズルゲーム』と銘打たれていますので、一定以上は『アクション』に対するプレイヤーのフィジカルは必要だと思っています。

余談ですが、アクションゲームの『適時に適切に入力をする』動きはパネポンにもある程度の応用が利くのではないでしょうか。
私自身、アクションゲームはそこまで得意じゃないので絶対そうとは言えないのですが、いかがでしょう?
もしそうだと言えるならば、『パネポンのアクション要素は他に応用できるし、逆もまた然りである』と提唱できます。
更に言えば、『応用できるならば、他のアクションゲームが上手くなると結果的にパネポンも上手くなるし、これもまた逆も然りである』とも提唱できます。
そこまでパネポンに入れ込んでいる方がどれだけいるかは、想像が及びませんが・・・。

話を戻しまして、「4Gも不要なのでは?に対して”この記事ではNo”」と強調しました。
これは、もっと先の話をするときには寧ろ『如何にアクションしないか』といった主旨で話さなければならないからです。
勿論ゲームの特性上、全くアクションしないというのは不可能です。
ですが、パズルが多少組み上がっているのならば、自分は1手パネルを入れ替えた後は全く動かさずとも、多少は勝手に連鎖は行われるのです。
その間にプレイヤーは別のパズルに集中することができ、やろうと思えば複数個所で連鎖を組むことも可能です(複線発火と呼ばれています)。

ここまで考えると「ぷよぷよでよくね?」となる可能性もありますが、極論は目指すべきはぷよぷよ、と言えてしまうかも知れません。
ぷよぷよのことはよく分からないので、ここでは言及を避けさせてください。
あくまで『頭のリソースを現在解消すべきパズルに割くためには、他のパズルは既に済ませておく』が本意です。

最後に

色々と書きましたが、「速く動かすことがパネポンをプレイする上で快感なんだ!」という場合は、楽しんでプレイできる条件があるという意味で、個人的には拍手を送りたい気持ちです。
また、操作速度の美というのもあり、それを否定するつもりは全く無いと念のため明言させてください。
そして、フレーム連鎖などの難しいアクション要素もパネポンの醍醐味であり、これも全く否定するつもりはありません。

ですが、もし「操作速度が無ければパネポンを上手くプレイできないんだ!」と思っていらっしゃる方がいれば、それはちょっと違うかも?というのが、私がこの記事で伝えたかったことです。
また、偉そうに優先順位だのなんだのと言っておりますが、この文章を読んでくださってる方自身が最終的に『己のパネポン論』を持ってくだされば嬉しいなぁ、と思う次第です。

長文&理想論が多めでしたが、ここまで読んでくださりありがとうございました!
そして、何かしらの気付きに貢献できれば幸いに思います。

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