春と風と空は幼馴染だ。
同じ季節に産まれ
一緒に育ってきた。

思春期になり、春への感情が
「恋」だと気づいた。
どちらが春に告白するか
そんな事ばかりを考えるようになった。

春は方向音痴で、
料理も下手で偏食だ。
レトルト食品や
インスタント食品ばかり食べる。

俺達は嫌われる事を覚悟で
自分達が作った食事を
食べてくれるように頼んだ。

最初は嫌がっていたが
少しづつ食生活を改善してくれた。

春の髪も大きな瞳も
白い肌も好きだ。

俺達は未だに「好きだ」と
伝えられずにいた。

春がカレーを作ったから
3人で食べようと連絡をくれた。

食卓に並ぶカレーは
見た目普通のカレーだ。


「「美味しい！」」
俺達がびっくりすると
春はテーブルの下から
レトルトカレーを出して見せた。

「レトルト食品もイケるでしょ♡」
レトルト三角関係から俺達が
抜け出すのは、まだ先のようだ。

笑っている春の長い髪が揺れる。


春の両親に出させた
「失踪宣告」がもうすぐ確定される。
これで永遠に俺達だけの春になる。

【410文字】

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