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本を書く3 #本を書く #シロクマ文芸部 #小説

本を書く為に、本を買いにいく。
『猿でも書ける本』
『小学生が大作家』
『明日から印税生活』
なんとも、甘いタイトルが並んでいる。

もう会社は辞める!
俺は、これから作家を目指す。
小説なんて書いた事がないが
小学生でも、猿でも書けるなら
俺が本気を出せば
明日から印税生活だ。

とりあえず、どの本を
買えばいいんだろうか。

あれ?なんで俺、
本を書こうと
思ったんだ?

書店の一角で立ち止まり
考える。


ああ…部長に怒られて
辞表書こうとしたんだ。

本を書く前に、
辞表を書かなくちゃいけない。
スマホを取り出し
[辞表 書き方]で
検索する。

本なんて買わずに、
ネット見りゃ良かったな。
とスマホをいじっていると

「お客様、すいません。
店内での撮影は御遠慮願えますか?」
と女性店員に声をかけられ
慌てた俺は、
「すいません。辞表書こうと思ってて!!
撮影してたんじゃないです」
なんて馬鹿でかい声で言ってしまった。

口元を押さえる店員と
気まずくなって真っ赤になる俺。



結局、辞表は書けないまま
本屋を後にした。


作家になれば
仕事を辞められるのかな。
なんて思いながら
色々な本を買いに本屋に通い続けた。




結局、本を書いたのは妻だった。

今日は妻の働いていた書店に
妻の新刊を買いに来た。
すでに1冊本人から貰っている。
だから、今日行われるサイン会に
俺が来るとは思わないだろう。

通い続けた書店でのサイン会。
列に並びながら
スマホ画面で開始時間を確認する。
もちろん、スグにスマホは
ポケットへ入れた。


朝、緊張している
妻を送り出した事を
思い出しつい
ニヤけてしまった。


スマホの待受画面の
妻と対面するまで後、数分だ。



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